CHOLESTEROLとは? わかりやすく解説

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cholesterol

別表記:コレステロール

「cholesterol」の意味・「cholesterol」とは

「cholesterol」は、生物体内で見つけることができる脂質一種である。動物細胞の膜の主要な成分であり、ビタミンDステロイドホルモン生成にも関与している。しかし、血液中のコレステロール増えると、動脈硬化原因となり、心臓病脳卒中リスクが高まる。

「cholesterol」の発音・読み方

「cholesterol」の発音は、IPA表記では/kəˈlɛstəˌroʊl/となる。IPAカタカナ読みでは「カレスタロール」であり、日本人発音するカタカナ英語では「コレステロール」と読む。発音によって意味や品詞が変わる単語ではない。

「cholesterol」の定義を英語で解説

Cholesterol is a type of lipid found in the body of organisms. It is a major component of animal cell membranes and is also involved in the production of vitamin D and steroid hormones. However, an increase in cholesterol in the blood can lead to atherosclerosis, increasing the risk of heart disease and stroke.

「cholesterol」の類語

「cholesterol」の類語としては、「lipid」、「fat」、「sterol」などがある。これらはいずれ生物体内存在する脂質関連する単語である。

「cholesterol」に関連する用語・表現

「cholesterol」に関連する用語としては、「LDLLow-Density Lipoprotein)」や「HDLHigh-Density Lipoprotein)」がある。これらはコレステロール運搬するための脂質タンパク質であり、それぞれ悪玉コレステロール」、「善玉コレステロール」とも呼ばれる

「cholesterol」の例文

1. Eating too much fatty food can increase your cholesterol.(脂肪分の多い食事をしすぎるとコレステロール増える
2. High cholesterol can lead to heart disease.(高コレステロール心臓病引き起こす可能性がある)
3. I need to lower my cholesterol.(私は自分コレステロール下げ必要がある
4. My doctor advised me to check my cholesterol level.(医師は私にコレステロール値のチェック勧めた
5. HDL is known as good cholesterol.(HDL善玉コレステロールとして知られている)
6. LDL is often referred to as bad cholesterol.(LDLはしばし悪玉コレステロール呼ばれる
7. Regular exercise can help reduce cholesterol.(定期的な運動コレステロールを減らすのに役立つ)
8. A diet high in cholesterol can lead to health problems.(コレステロールが多い食事は健康問題引き起こす可能性がある)
9. Certain foods can help lower cholesterol.(特定の食品コレステロール下げるのに役立つ)
10. Cholesterol is necessary for the body, but too much can be harmful.(コレステロールは体に必要だが、過剰になると有害である)

コレステロール【cholesterol】

読み方:これすてろーる

動物性ステロール代表的なもの細胞膜構成成分で、主に肝臓生合成される。副腎(ふくじん)皮質ホルモン・ビタミンD・胆汁酸などの材料となる。血管壁多量に沈着すると動脈硬化要因となる。コレステリン。→HDLコレステロールLDLコレステロール


コレステロール

分子式C27H46O
その他の名称コレステリンCholesterin、Cholesterol、Cholest-5-en-3β-ol、コレステリルアルコール、3β-Hydroxycholest-5-ene、ジトール、Dythol、Cholesteryl alcohol
体系名:3β-ヒドロキシコレスタ-5-エン、コレスタ-5-エン-3β-オール、コレステロール


コレステロール ( cholesterol )

細胞膜素材ステロイドホルモン原料となる血清脂質のこと。おもに肝臓つくられますが、小腸皮膚副腎などでもつくられています。平均的な食事から取っているコレステロールの量は1日300mg程度ですが、体内つくられている総量その3程度のぼります。コレステロールには細胞膜原料となる(1)遊離型コレステロールと、体内での不足分を補うために貯蔵される(2)エステル型コレステロール(コレステロール・エステル)があります。からだに悪さをおよぼすのは(2)のコレステロールで、一定の限界超える血栓起こし脳卒中心臓病発作原因となります

コレステロール

【仮名】これすてろーる
原文】cholesterol

肝臓作られる様の脂肪様物質で、血液中および体内全ての細胞中にみられる。コレステロールは健康には重要であり、細胞壁組織ホルモンビタミンd、および胆汁酸生成に必要である。コレステロールは卵黄、肉、乳製品などの動物性食品摂取でも得られる血液中の過剰なコレステロールは血管壁蓄積して組織および臓器への血流遮断し心臓病脳卒中発生リスク高める。

コレステロール

(CHOLESTEROL から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/08/16 21:55 UTC 版)

コレステロール
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ECHA InfoCard 100.000.321 ウィキデータを編集
KEGG
PubChem CID
RTECS number
  • FZ8400000
日化辞番号
  • J2.804E
性質
C27H46O
モル質量 386.65 g/mol
外観 白色または微黄色固体[1]
密度 1.052 g/cm³
融点 148–150 ℃[1]
沸点 360 ℃(分解)
0.095 mg/L (30 ℃)
溶解度 アセトンベンゼン
クロロホルムエタノール
ジエチルエーテルヘキサン
ミリスチン酸イソプロピル
メタノールに溶解
比旋光度 [α]D 31.5° (c = 2, Et2O, 20 ℃)[2]
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。

コレステロール: cholesterol)は、ステロイドの一種で、ステロール(ステロイドアルコール)に分類される有機化合物である。ステロール類は脂質のうちのステロール脂質に分類される。コレステロールの分子式C27H46Oで、白色もしくは微黄色の結晶性粉末であり、水にはほとんど溶けない[3]。コレステロールは18世紀後半に初めて胆石から単離された[4][5]

動物では、アセチルCoAからメバロン酸経路を経てトリテルペンスクアレン、次いでラノステロールが合成され、さらに多段階の反応を経てコレステロールが生合成される[4]。 コレステロールはリン脂質とともに動物細胞膜の主要な構成成分であり、膜の物理化学的な性質の調節や脂質ラフトの形成、細胞内のシグナル伝達などに関わる重要な生体分子の一つである。また、ステロイドホルモン胆汁酸などの前駆体でもあり、コレステロール生合成中間体の7-デヒドロコレステロールビタミンD3の前駆体ともなる[6][7]

産業的には、コレステロールやその誘導体は、化粧品医薬品などに用いられるほか、誘導体の一部は液晶の材料として利用される[8]

医学的にはアテローム性動脈硬化との関連が特に重要であり、血中の低密度リポタンパク質(LDL)に含まれるコレステロール(LDL-C)値の上昇が動脈硬化性心血管疾患の主要な危険因子であることが確立されている[9]。 なお、高密度リポタンパク質(HDL)に含まれるコレステロール(HDL-C)は「善玉コレステロール」、LDL-Cは「悪玉コレステロール」と俗称されるが、これはどのリポタンパク質に含まれるかの違いであり、コレステロール自体に差があるわけではない[9]

名称と語源

1815年、フランスの化学者ミシェル=ウジェーヌ・シュヴルール(Michel Eugène Chevreul)は、胆石から分離されたこの物質を古代ギリシア語の χολή(kholḗ、「胆汁」)と στερεός(stereós, 「固体」)に由来する「cholestérine(コレステリン)」と命名した[10]。その後、1859年にマルセラン・ベルテロ(Marcellin Berthelot)が、コレステリンはヒドロキシ基をもつアルコールであることを示し、アルコールを表す化学命名法上の接尾辞「-ol」を用いる「cholestérol(コレステロール)」を提唱した[11]。これが現代の英語「cholesterol」や日本語「コレステロール」の起源となっている。 しかし、ドイツ語[12]のように現在もコレステリンに由来する名称を使用している言語もあり[注 1]、 日本語でもかつては旧称として「コレステリン」が用いられていた[13]。複合語の「コレステリン肉芽腫」[注 2]は現代でも使用される [14]

生命とコレステロール

生物界における分布

ほとんどの生命体の細胞は脂質二重層[注 3]からなる細胞膜に囲まれている。 ほとんどの真核生物の細胞膜には相当量(20〜40 mol%)のステロールが存在しており[注 4]、 動物ではコレステロール、植物では植物ステロール(フィトステロール)、菌類ではエルゴステロールが一般的である。一方、原核生物では細胞膜にはステロールは存在しない [15] [16] 。 コレステロールの合成には酸素分子の存在が必要であり、コレステロール合成経路は酸素発生型の光合成以降に進化したと考えられている[17]

人体における分布

ヒトのあらゆる組織細胞膜に見出される脂質である。ヒトを始めとした哺乳類においては、コレステロールの大部分は食事に由来するのではなく、体内で合成され、血漿に含まれるリポタンパク質と呼ばれる粒子を媒体として輸送される。コレステロールはそれを生産する臓器や細胞膜や小胞体のような膜組織が密集している細胞で構成される臓器、例えば肝臓脊髄に高濃度に分布している。成人の体内にはコレステロールが100〜150 g[18](約2100 mg/kg[19])存在し、そのうち約1/4が脳に集中している[20] 動脈硬化叢に形成されるアテローム(血管の内側に詰まるカスのようなもの)にも高濃度で存在する。また、コレステロールが胆汁中で結晶化すると胆石の原因となる。

ヒト組織 コレステロールの重量比[21] 胆石(コレステロール結石)
胆石(コレステロール結石)
胆石(コレステロール結石) 98%–99%
上皮脂肪 13%–24%
毛髪 1%–5%
2.7%
神経 1.5%
血液 0.015%–0.025%

資源

コレステロールは、工業製品原料として化粧品医薬品液晶などに利用される。これらは全て天然物から精製し原料に供される。コレステロールを多く含む高等動物の組織、あるいはイカ内臓からも抽出され、工業原料として利用される。

精製

コレステロールを多く含む天然物から抽出すると、ヒドロキシ基(OH基)の部分に脂肪酸が結合したエステル体であるアシルコレステロール、さらに他のステロイド(コレスタノール7-デヒドロコレステロール)のアシル体などが含まれる粗精製物が得られる。この混合物から純粋なコレステロールを取り出すには、脂肪酸を鹸化して取り除いたあと、鹸化されない分画を抽出し、アセトンあるいはアルコールを用いて再結晶する。二重結合を持たないコレスタノールや7-デヒドロコレステロールなどを取り除くために、臭素付加してコレステロールの二臭素体とすることがある。二臭素体は難溶性を示すので再結晶などで容易に精製することが可能であり、そのあと二臭化物を脱臭素化してコレステロールに戻すことにより、純粋なコレステロールを得る[22]

化学

瓶に入ったコレステロール

物性

単離された純粋なコレステロールは白色ないしは微黄色の固体で味は無い。クロロホルムジエチルエーテルに溶けやすく、1,4-ジオキサンにやや溶けやすく、エタノール (99.5%)、石油エーテル、冷アセトンにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。含水エタノールからは一水和物が板状晶として析出する。比旋光度コレステリック晶の顕微鏡像

コレステリック晶の顕微鏡像
  • コレステリック(晶)状態の分子配列
    コレステリック(晶)状態の分子配列
  • 生化学

    コレステロールのステロイド核は六員環A・B・Cと五員環Dの4環からなり、構成する炭素は1から17まで番号が振られている。ステロイド核には、さらにメチル基(C18、C19)および側鎖(C20〜C27)が結合している。
    コレステロールはA環の3位にβ配置のヒドロキシ基を持つ。
    メバロン酸経路[注 5]
    ステロイド骨格形成反応[注 6]
    ラノステロール合成酵素により2,3-オキシドスクアレンが環化してラノステロールが生成する

    コレステロールは疎水性の四環性ステロイド核に親水性のヒドロキシ基と疎水性の8炭素側鎖が結合した両親媒性の分子であり、生体膜の構成成分として重要な役割を果たす。 ヒトは必要量のコレステロールをアセチルCoAから新規合成することができる。細胞内のコレステロール量は合成・取り込み・排出の各段階で精密に調整されている。 また、コレステロールは、ステロイドホルモン胆汁酸の前駆体でもある[28][29]

    構造

    コレステロールはステロイド核(骨格)を持つ脂質ステロール脂質)である。 分子式はC27H46O、分子量は386.65である[30][31]

    ステロイド核

    ステロイド核は3つの六員環A〜Cと1つの五員環Dが縮合した四環構造をもち、17個の炭素から構成されている。この基本骨格はゴナン核、シクロペンタノペルヒドロフェナントレン核とも呼ばれる。 ステロイド核を持つ化合物を総称してステロイドと呼ぶ。コレステロールもステロイドに含まれる[32][4][33]。 また、ステロイド核はトリテルペンスクアレン(5炭素のイソプレン単位6つが結合)を前駆体とするので、ステロイドも広義のトリテルペノイドに含める場合がある[4]

    官能基

    コレステロールは、A環の3位にβ配置[注 7]のヒドロキシ基を持つ。 したがって、コレステロールはステロイドアルコールであり、ステロールに分類される[注 8][32]

    二重結合

    ステロイド核のB環の5位と6位の間に二重結合(不飽和結合)を持つ[32]。 なお、環内に二重結合をもたないステロールはスタノールと呼ばれる[注 9][30]

    側鎖

    8個の炭素を持つ炭化水素の側鎖(C20〜C27)がステロイド核の17位炭素に結合している。 10位炭素にはメチル基C19、13位の炭素にはメチル基C18が結合している。 コレステロールは、ステロイド核の17個に側鎖とメチル基をあわせて合計27個の炭素を持つ[32]

    両親媒性

    3位のヒドロキシ基は親水基である一方、ステロイド核と側鎖は疎水性であり、コレステロールは両親媒性の化合物である(ただし、水への溶解度は低い)。 細胞膜などの脂質二重層においては、ヒドロキシ基がリン脂質の極性基付近に、ステロイド核と側鎖が膜内部(リン脂質の脂肪酸鎖から成る疎水性領域)に配置される[29]

    なお、リポタンパク質等に含まれるコレステロールエステル(エステル化コレステロール、コレステリルエステル)は、 コレステロールの3位のヒドロキシ基に脂肪酸がエステル結合したものであり、コレステロールに比べ疎水性が高い[29]

    立体異性体

    コレステロールは8個のキラル中心(C3、C8、C9、C10、C13、C14、C17、C20)を持つので、 理論的には最大256(28)種の立体異性体が存在しうるが、天然のコレステロール(nat-コレステロール)は一種類の立体異性体のみである。 天然のコレステロールの鏡像異性体ent-コレステロール)は人工合成されており、タンパク質などとの立体選択的相互作用の研究などに使用されている[34]

    生合成

    本節では、ヒトを中心とする動物のコレステロール生合成経路につき述べる(多くの植物ではラノステロールではなくシクロアルテノールを経由してステロールを合成するのが主要経路である[35])。

    コレステロール生合成は、主に細胞質と小胞体にまたがって行われる[注 10]アセチルCoAを出発基質として、経路や反応の数え方にもよるが、およそ30段階の酵素反応を介して、 概略、以下の経路で合成される[28][36]

    アセチルCoA → HMG-CoA → メバロン酸 → イソペンテニル二リン酸 → ファルネシル二リン酸 → スクアレン → ラノステロール → コレステロール

    なお、1分子のコレステロールの合成には、文献にもよるが、18個のアセチルCoA分子、18個[37]〜36個[38]アデノシン三リン酸(ATP)分子[注 11]、11個の酸素分子が必要とされる[38]ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)も必要であるが、その総数は文献により異なる[38][39][40])。

    メバロン酸経路

    メバロン酸経路は、コレステロールなどのステロール合成のみならず、非ステロール系イソプレノイドの合成に重要な役割を果たしている(ユビキノンドリコール、タンパク質のプレニル化など)[28][36]テルペンも参照。

    メバロン酸経路では、まず、細胞質において、アセチルCoA(2炭素アセチル基と補酵素Aチオエステル結合したもの)から3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)が合成される[36]

    アセチルCoA + アセチルCoA → アセトアセチルCoA + CoA-SH (遊離の補酵素A)
    アセチルCoA + アセトアセチルCoA + H2O → HMG-CoA + CoA-SH

    小胞体膜に存在するHMG-CoAレダクターゼ(HMG-CoA還元酵素)によりHMG-CoAはメバロン酸に変換される。 この反応がコレステロール生合成の主要な律速・調節段階の一つである。 脂質低下薬のスタチンはHMG-CoAレダクターゼを阻害することによりコレステロール合成を抑制する[28]。(#細胞内コレステロール量の調節も参照。)

    6炭素のメバロン酸は2段階のリン酸化に続き、ATP依存性リン酸化と脱炭酸反応を経て[注 12]イソプレン単位である5炭素のイソペンテニル二リン酸(IPP)になる(この過程でメバロン酸1分子あたり3分子のATPを消費する)。イソペンテニル二リン酸の一部はジメチルアリル二リン酸(DMAPP)に可逆的に異性化する[36]

    HMG-CoA + 2 NADPH + 2 H+ → メバロン酸 + CoA-SH + 2 NADP+
    メバロン酸 + 3 ATP → イソペンテニル二リン酸 + CO2 + 3 ADP + Piリン酸
    イソペンテニル二リン酸 ⇄ ジメチルアリル二リン酸

    イソプレノイドの合成

    以降は、5炭素のイソプレン単位の縮合により炭素鎖が5個ずつ延長してテルペンを構成していく。 ジメチルアリル二リン酸がイソペンテニル二リン酸と縮合して10炭素のゲラニル二リン酸モノテルペン前駆体)が生じる。 これが再度イソペンテニル二リン酸と縮合して15炭素のファルネシル二リン酸(FPP) (セスキテルペン前駆体)が合成される[36] [注 13]

    イソペンテニル二リン酸 + ジメチルアリル二リン酸 → ゲラニル二リン酸 + PPi (ピロリン酸
    イソペンテニル二リン酸 + ゲラニル二リン酸 → ファルネシル二リン酸 + PPi

    なお、ファルネシル二リン酸は、ユビキノンのイソプレニル側鎖の前駆体であり、また、Rasなどの低分子量Gタンパク質プレニル化(ファルネシル化)の基質として広く用いられる[41]。また、ファルネシル二リン酸から生成するゲラニルゲラニル二リン酸は、RabRhoなどのプレニル化(ゲラニルゲラニル化)や、ビタミンK2の一つであるメナキノン-4の側鎖形成に用いられる[42][43]

    スクアレンとラノステロールの合成

    ここから、非ステロール系のイソプレノイド合成経路から分岐してステロール合成経路となる。この段階以降の反応は主として小胞体膜上で進行する。 15炭素のファルネシル二リン酸の2分子がスクアレン合成酵素により縮合して30炭素のスクアレントリテルペン)が生成する。 スクアレンは、スクアレンモノオキシゲナーゼ(スクアレンエポキシダーゼともいう、SQLE)によりエポキシ化されて2,3-オキシドスクアレンが作られる [注 14]ラノステロール合成酵素英語版により 2,3-オキシドスクアレンの環化反応が起こり四環性のラノステロールが生成する[36] [注 15]

    2 ファルネシル二リン酸 + NADPH + H+ → スクアレン + 2 PPi + NADP+
    スクアレン + O2 + NADPH + H+ → 2,3-オキシドスクアレン + NADP+ + H2O
    2,3-オキシドスクアレン → ラノステロール

    なお、ラノステロールは動物のみならず多くの菌類においてもステロールの前駆体として重要である[44]

    ラノステロールからコレステロールへの変換

    30炭素のラノステロール(C30H50O)から27炭素のコレステロール(C27H46O)への変換には、 3つのメチル基除去[注 16]、環構造の二重結合の異性化・還元・導入[注 17]、側鎖の二重結合の還元が必要であり、 約19段階の複雑な経路を経て、コレステロールが完成する[45][36]。ネスによれば[4]、この過程は下記の形で表現しうる(水分子は14個生成するが省略)。

    ラノステロール + 15 NADPH + 4 H+ + 10 O2 → コレステロール + 2 CO2 + HCOOH (ギ酸) + 15 NADP+[4] 

    ラノステロールからコレステロールへの変換には、Bloch経路とKandutsch–Russell経路が知られている。 これらの経路は相互に排他的ではなく、Bloch経路の様々な段階の中間体を経由する修飾Kandutsch–Russell経路が広く見られる。 各経路の相対的寄与は、組織や細胞種により異なる[46][47]

    古典的なBloch経路は、側鎖(C24位)の二重結合を最後に還元し、最終中間体がデスモステロール[注 18]である。精巣副腎では主にBloch経路を使用すると考えられている(マウスでの実験による)[36][46][48]

    古典的なKandutsch–Russell経路は、側鎖の二重結合を最初に還元し、最終中間体が7-デヒドロコレステロール(ビタミンD3前駆体)[注 19]である。 実際には、修飾Kandutsch–Russell経路、すなわち、Bloch経路のさまざまな段階の中間体を経てから側鎖の二重結合が還元される経路が広く見られる。 皮膚などは主に修飾Kandutsch–Russell経路を用いると考えられている(マウスでの実験による)[36][46][49]

    細胞内コレステロール量の調節

    細胞内コレステロール量は、コレステロールの生合成・取り込み・排出の各段階で調節されており、主要な調節機構を以下に述べる。

    SREBP経路

    小胞体(ER)膜上のSREBP-SCAP複合体は、ステロール存在下ではINSIGと結合して小胞体に保持される(SSDはステロイド感知領域)。ステロール低下時には複合体はゴルジ装置に移動し、S1PとS2Pにより逐次切断され遊離したN末端が核へ移行してSRE配列に結合、標的遺伝子転写を促進する。

    細胞内のコレステロール生合成量は主として小胞体膜中のコレステロール量により調節されている[50][28]。コレステロール量は小胞体膜上のSCAP (SREBP切断活性化タンパク質:SREBP cleavage-activating protein)により検出される。 SCAPには小胞体膜のコレステロール含量4〜5 mol%の閾値があり、それ以上になるとスイッチ様に応答して[51]、SCAPとステロール調節配列結合タンパク質(SREBP; sterol regulatory element-binding protein)[注 20] の複合体に小胞体膜タンパク質INSIG(insulin-induced gene protein)[注 21]が結合して小胞体膜に留まる[52]

    1. 小胞体膜のコレステロールレベルが減少すると、INSIGが遊離することでSREBP-SCAP複合体はゴルジ装置へと移動する。
    2. ゴルジ装置に移行したSREBPは二種類のプロテアーゼ、S1P(site-1 protease)とS2P(site-2 protease)により順次切断され、SREBPは活性型となる。
    3. 活性型SREBP(N末端断片)は核へ移動しSRE (sterol regulatory element) と結合して転写因子として作用し、いくつかの遺伝子発現させる。これらの遺伝子の中にLDL受容体遺伝子とHMG-CoAレダクターゼ遺伝子が含まれる。また、LDL受容体分解を促進するPCSK9英語版も同時に誘導される[53]
    4. LDL受容体は血流中を循環するLDLの細胞内取り込みを増加させる。同時に、コレステロール生合成の律速酵素であるHMG-CoAレダクターゼの発現増加によりコレステロール生合成が促進される[54]

    HMG-CoAレダクターゼの分解

    細胞内のステロール量(特にコレステロールの前駆体ラノステロール)が増加すると、小胞体膜上のHMG-CoAレダクターゼとINSIGが結合し、HMG-CoAレダクターゼのユビキチン化が促進される。その結果、HMG-CoAレダクターゼはプロテアソームによる分解を受ける。すなわち、HMG-CoAレダクターゼは分解と遺伝子の転写(SREBP経路)の二重の制御を受けている[28]

    オキシステロール

    コレステロールの酸化産物であるオキシステロール英語版がINSIGに結合してSCAPを小胞体膜に留めてコレステロール合成を抑制する経路[55]、オキシステロールが核内受容体肝臓X受容体英語版(LXR)と結合して活性化し、コレステロール逆転送系のABCA1、ABCG1などを誘導してコレステロールの排出を促進する経路などもある[56]


    なお、上記を含むコレステロール恒常性の研究はマイケル・ブラウンジョーゼフ・ゴールドスタインによって推進された。彼らはLDL受容体などのコレステロール代謝調節に関する業績により1985年ノーベル生理学・医学賞を受賞し、その後もさらにSCAP、SREBP、INSIGなどによるコレステロール恒常性維持機構を解明していった[54]

    代謝

    ヒトではコレステロールはステロイドホルモンや胆汁酸の前駆体となる[57]。 詳細は、#異化・排泄と腸肝循環および、#コレステロールとホルモンを参照。

    生理学

    ヒトにおいてコレステロールは広範な生理機能を持ち、生命を維持するには欠かせない物質である。ヒトは必要量のコレステロールを合成できるが、食事からも摂取している。 コレステロールは、小さな親水性のヒドロキシ基が剛直な四環性骨格(ステロイド核)で疎水性の炭化水素鎖と結ばれた両親媒性分子であり、 生体膜の脂質二重層に組み込まれてさまざまな調節機能を果たす。 また、コレステロール自体がステロイドホルモン胆汁酸前駆体でもある。 一方で、血管壁に蓄積した低密度リポタンパク質(LDL)などに由来するコレステロールは動脈硬化症を引き起こし、世界の死因の重要な部分を占める動脈硬化性心血管疾患をもたらす [58][59][60]

    生体膜

    脂質二重層:リン脂質は親水性のリン酸部分を外に、疎水性の脂肪鎖を内側にして二重層を形成。コレステロールのヒドロキシ基は極性頭部基の領域に配置され、ステロイド骨格と炭化水素側鎖は内側のリン脂質の脂肪酸鎖の間に埋め込まれる。
    脂質ラフト:①通常の膜領域、②脂質ラフト領域、③④膜貫通タンパク質(緑)、⑤糖鎖(青)、⑥GPIアンカー型タンパク質、⑦コレステロール(黄)、⑧糖脂質。

    細胞内の遊離コレステロールは主に細胞膜に分布している。細胞種により異なるが、細胞全体の遊離コレステロールの40〜90 %程度が細胞膜に存在するとされる[61]。 細胞膜は厚さ5 nm前後の脂質二重層から形成されている[62][6]

    生体膜の構造維持と透過性の調節

    細胞膜などの脂質二重層に含まれるコレステロールは膜の物理化学的な特性の調整に中心的な機能を担う。親水性を示すコレステロールのヒドロキシ基は脂質二重層の極性頭部基の領域に配置されてリン脂質のカルボニル基リン酸基、水分子などと水素結合などにより結びついている。そして嵩高いステロイド骨格と炭化水素側鎖は内側のリン脂質の脂肪酸鎖の間に埋め込まれる [61][63]。 コレステロールはリン脂質の配列密度を高めて膜を厚くし、物質透過性を低下させる。また、多くの場合、膜の剛性を高める(リン脂質の不飽和度などの条件によっては柔軟性を高める場合もある)[64] [65]

    細胞内外の生体膜はその機能に応じ、異なるコレステロール含有量をもつ[58][60][66]。 細胞を囲む細胞膜(形質膜)は、通常、10〜30 mol%と、細胞内膜系よりコレステロール含量が高い[67]。 細胞内小器官の膜はコレステロール含量が低く、膜脂質全体に対するモル分率で0〜10 mol%程度である[67]。重量比ではゴルジ装置で約8 %、小胞体で約6 %、ミトコンドリアでは約3 %[注 22]である[6]

    細胞種によっては細胞膜のコレステロール含量がさらに高いことがあり、赤血球の細胞膜やシュワン細胞ミエリン膜で50 mol%近くに達し、 眼球の水晶体線維細胞では66 mol%に達しうる[68] (水晶体の細胞膜の多量のコレステロールは水晶体を老化による白内障形成から保護している可能性が指摘されている [69])。

    膜のマイクロドメイン

    コレステロールは、スフィンゴ脂質などとともに脂質ラフトなどの膜のマイクロドメイン[注 23]を形成し、細胞外のリガンドとの結合やシグナル伝達などに重要な機能を果たす[70]。 またクラスリン被覆ピットやカベオラを始めとするいくつかのエンドサイトーシス機構の機能にもコレステロールは重要な役割を果たしている[71]

    ミエリン鞘

    脳の冠状断面。脳の白質灰白質に比べ白く見えるのは有髄神経線維の脂質に富むミエリン鞘が白い色をしているためである。
      白質

    ヒトの脳の重さは体重の2 %程度であるが、全身のコレステロールの25 %程度が脳に存在する[72][73]。 また、脳はコレステロール含有量が他の臓器より高く、成人脳の湿重量の2 %前後がコレステロールで占められ、さらに脳のコレステロールの70〜80 %がミエリン鞘に含まれているとされる[74]。 ミエリン鞘は神経細胞軸索を取り囲む、コレステロールに富む膜構造であり、電気的絶縁性を高める。絶縁されたミエリン鞘の切れ目であるランヴィエの絞輪ごとの跳躍伝導により神経活動電位の高速な伝達が可能となる[75]。 なお、脳のコレステロール代謝は血液脳関門により末梢のコレステロールプールとは独立している[73]。詳細は、#コレステロールの生合成の節参照。

    細胞のシグナル伝達・発生

    生体膜でマイクロドメイン形成等に関与する以外に、コレステロール自体がシグナル伝達の機能を発揮する場合もある。

    細胞内のコレステロール量は小胞体上のタンパク質SCAP(SREBP切断活性化タンパク質)やINSIG(insulin-induced gene protein)が検知し、コレステロール合成量は遺伝子転写と合成酵素分解の二重の制御を受けている(#細胞内コレステロール量の調節を参照)[28]

    ヘッジホッグシグナル伝達経路は胚の発生の制御に重要な役割を果たすが、シグナル伝達にはヘッジホッグ前駆体のコレステロールによる共有結合性修飾やSmoothened(スムーズンド:Smo)へのコレステロール結合が重要である[76]。 このために、スミス・レムリ・オピッツ症候群英語版などのコレステロール合成が障害される疾患では、コレステロールの欠乏のためヘッジホッグシグナル伝達の異常が生じ、各種の先天奇形がみられる[77][17]

    ステロイドホルモン・ビタミンD

    コレステロールは各種のステロイドホルモン(糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、性ステロイドなど)の前駆体である。また、コレステロールの前駆体である7-デヒドロコレステロール(7-DHC)がビタミンD3(コレカルシフェロール)合成の出発点となる[58][59]。 詳細は、#コレステロールとホルモンの節参照。

    胆汁酸

    コレステロールは脂質や脂溶性ビタミンの消化吸収に重要な役割を果たす胆汁酸の前駆体である[58]。 詳細は#異化・排泄と腸肝循環を参照。

    脂質の輸送

    水に不溶性の脂質を血中で輸送するために、コレステロールはアポリポタンパク質やリン脂質とともにリポタンパク質を構成し、 脂質の輸送に重要な役割を果たしている。一方で、LDLなどのリポタンパク質が血管内膜に入り込むことが、 アテローム性動脈硬化の初期段階と考えられている[58][59]。 詳細は#体内輸送#動脈硬化症とコレステロールリポタンパク質を参照。

    生合成と吸収・貯蔵

    人体のコレステロールの供給源は、体内での生合成(内因性)と食事からの吸収(外因性)に大別される。 文献により異なるが、食事から吸収されるコレステロール量は体内で合成される量の七分の一から三分の一程度とされ、比率としては内因性の方が多い[78]

    コレステロールの生合成

    コレステロールはアセチルCoAを起点として合成されるが、主要な律速酵素はHMG-CoA還元酵素である。コレステロールの合成量の調節は主にHMG-CoA還元酵素を介して行われており、代表的な脂質降下薬であるスタチンはHMG-CoA還元酵素を阻害することによりコレステロール産生を低下させる[79][28]。(合成経路等の詳細については#構造と生合成の節、およびメバロン酸経路参照。産生量の調節については#調節の節参照。)

    人体のコレステロール合成量は文献により異なるが、およそ1 g/日前後[80]、ないし、約12〜13 mg/kg/日(体重60 kgに換算すると750 mg/日前後)[81][82]とされる。ただし、食事からのコレステロール摂取量が増えると、その程度には個人差があるが、フィードバック調節により合成は抑制される[78]#調節の節も参照)。

    人体の有核細胞のほとんどはコレステロールを合成する能力を持っているが、主要な合成臓器は肝臓であり、それに次ぐのが腸管と考えられている [注 24] [59] [83]

    血液脳関門のために脳にはLDLがほとんど移行しないため、脳のコレステロールはほぼ全て脳内で合成される。コレステロール合成は主にアストロサイトオリゴデンドロサイトが担っており、ニューロンでの合成量は相対的に少ない。オリゴデンドロサイトによるコレステロール合成はミエリン形成に重要である。また、脳内のコレステロールの輸送は、アポリポプロテインEを含む独自のリポタンパク質粒子により行われている。脳は人体のコレステロールのおよそ25 %を含むが、脳のコレステロールは代謝回転が遅いため、全身のコレステロール合成量に対する脳での合成量の比率はそれほど高くない[84][72][85]

    脳以外の末梢組織は血中のLDLをLDL受容体を介して取り込みそのコレステロールを利用することができるが、 自らもコレステロール合成は行っており、全てのコレステロール供給をLDLに依存しているわけではない[83][86]

    コレステロールの吸収

    食事から吸収される外因性のコレステロールは、一般に食事中に含まれるコレステロールの50 %前後とされるが、個人差が大きい(29〜80 %)と報告されている[87][88]。 なお、腸管を通過して吸収の対象となるコレステロールは、食品に含まれるものだけではなく、 胆汁に含まれるもの(約800〜1200 mg/日)や、剥離した腸管上皮細胞に含まれるもの(300 mg/日程度)もあり、 腸管内では人体由来のコレステロールの方が食事由来のコレステロールよりもはるかに多い[87] [注 25]

    食品や胆汁に含まれるコレステロールは主に遊離型である。エステル型コレステロールも存在するが、膵液中の膵コレステロールエステラーゼ[注 26]により加水分解されて遊離型となってから吸収される。 コレステロールは、主に小腸内で、消化液の作用により中性脂肪(トリアシルグリセロール)の消化産物である脂肪酸やモノアシルグリセロール、リン脂質などと混合したエマルジョン(乳化液)となる。エマルジョンに含まれる脂質はさらに胆汁の胆汁酸塩により混合ミセルを形成し、小腸上皮細胞の刷子縁(微絨毛)に接触することにより、コレステロールの吸収が可能となる(エマルジョンは大きすぎて腸管上皮細胞には直接取り込まれない)。 腸内の胆汁酸は回腸で再吸収され、腸肝循環する(#異化・排泄と腸肝循環の節も参照)[注 27] [87] [89]

    小腸でのコレステロール取り込みに重要な役割を果たすのは、小腸上皮細胞の刷子縁膜に高発現している輸送タンパク質 NPC1L1(Niemann-Pick C1-like 1)である。脂質降下薬のひとつであるエゼチミブはNPC1L1依存性のステロール取り込みを阻害することにより コレステロールの吸収を抑制する[89]

    植物や植物油に含まれる植物ステロール(フィトステロール)[注 28]もコレステロールとともに取り込まれるが、 大部分がATP結合カセット輸送体(ABC)のABCG5/ABCG8ヘテロ二量体によって、再度、腸管腔に排出されるので、正味の吸収率は低い。 植物ステロールはミセルへの溶解に際しコレステロールと競合するなどの機序でコレステロールの吸収を減らすとされている。 植物ステロールの摂取量は食習慣により大きく異なるが、日本人については、平均 378 mg/日程度との報告がある[90]。 なお、稀な疾患のシトステロール血症英語版では、ABCG5やABCG8の変異のために植物ステロールが体内に蓄積し、黄色腫や早発性冠動脈疾患を呈する[87][91]

    吸収されたコレステロールは小腸上皮細胞内でSOAT2(ステロールO-アシルトランスフェラーゼ2、または、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ2、ACAT2ともいう)によりエステル化されて、細胞内で合成された中性脂肪やリン脂質とともに、MTP(ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質)によりカイロミクロンに取り込まれる[注 29][87][92]。 カイロミクロンはリンパ液中に放出され、胸管を経て循環血液中に出現する[93]。その後の代謝は#体内輸送を参照。

    コレステロールの体内分布と貯蔵

    ヒトで体内の全コレステロール量はおよそ100〜150 gほどである[18]。 ヒトの体のコレステロールの大部分は細胞膜に存在しており、リン脂質とともに生体膜の重要な構成成分である[29]。哺乳動物の細胞膜の脂質の30 mol%前後はコレステロールで構成されているとされる(細胞種や膜の種類により異なる)[94][67]。コレステロールは、膜以外には、血中のリポタンパク質(主にエステル化コレステロール)、細胞内の脂肪滴、胆汁(主に遊離型コレステロール)などに分布している[87][93]

    細胞内に遊離コレステロールが過剰に存在すると膜機能の障害等の毒性を発揮するため、細胞内の余剰なコレステロールはSOAT(ACAT)[注 30]によりエステル化されて中性脂肪等とともに細胞内脂肪滴の疎水性コアに貯蔵される[95][96] [97] [注 31] なお、脂肪滴表面のリン脂質単分子層には遊離コレステロールも分布する[95]

    なお、脂肪組織は人体中の主要なコレステロールプールの一つであり、人体内の全コレステロールの25 %から肥満者では50 %以上が脂肪組織に存在しているとされる[98]

    体内輸送

    リポタンパク質の構造:親水性の外殻(アポリポタンパク質・コレステロール・リン脂質)と疎水性の脂質コア(コレステロールエステル・中性脂肪)から構成されている。

    コレステロールや中性脂肪は疎水性の脂質であり、水にはほとんど溶解しないため、血中ではリポタンパク質により輸送される。 リポタンパク質は、アポリポタンパク質・コレステロール・リン脂質からなる親水性の外殻が、 主にコレステロールエステルと中性脂肪からなる疎水性の脂質コアを包む構造をとっている(リン脂質は親水性の頭部と疎水性の脂肪鎖をもち、血漿側に頭部、脂質コア側に脂肪鎖という配置になっている) [注 32] [93][99]

    リポタンパク質は、古典的には、比重超遠心法の主要分画により、カイロミクロン(chylomicron)[注 33]超低比重リポタンパク質(very-low-density lipoprotein : VLDL)、 中間比重リポタンパク質(intermediate-density lipoprotein : IDL)、低比重リポタンパク質(low-density lipoprotein : LDL)、および、高比重リポタンパク質(high-density lipoprotein : HDL)の5種類に大別されている[注 34]

    リポタンパク質の種類と含まれる成分[99] [93]
    リポタンパク質 比重 粒子径 アポリポタンパク質 中性脂肪重量比 コレステロール重量比
    (エステル体重量比[注 35]
    補足
    カイロミクロン 〜0.93 75〜1,200 nm B-48, A, C, E 86 % 5 % (3 %) 小腸粘膜で合成され、主に食事性の中性脂肪を輸送する。
    VLDL 0.93〜1.006 30〜80 nm B-100, C, E 55 % 19 % (12 %) 肝臓で合成される。肝臓由来の脂質の輸送に関与している。分泌後、末梢において酵素リポタンパク質リパーゼの作用でトリグリセリドを失って、IDLを経由しLDLへと変化する。
    IDL 1.006〜1.019 25〜35 nm B-100, C, E 23 % 38 % (29 %) VLDLがLDLに代謝される中間体。健常人の場合の存在量は僅か。
    LDL 1.019〜1.063 18〜25 nm B-100 6 % 50 % (42 %) 末梢組織へのコレステロールの輸送の主要な担い手である。
    HDL 1.063〜1.210 5〜12 nm A, C, E 4 % 20 % (15 %) 肝臓および小腸で合成される。末梢組織のコレステロールを肝臓に輸送する(逆輸送)。

    リポタンパク質の表面のアポリポタンパク質は、リポタンパク質の構造維持、リポタンパク質受容体への結合、脂質代謝酵素の補酵素ないし活性調整など、 さまざまな機能を果たしており、各リポタンパク質の機能の差は主にアポリポタンパク質に由来している[93][99]

    リポタンパク質の代謝経路は、外因性代謝経路、内因性代謝経路、コレステロール逆輸送系の3つに大別される[93][99]

    外因性代謝経路

    食事のうちトリグリセリド中性脂肪の一種)の摂取量は50–125 g/日[100] であるのに対して、コレステロールは200–300 mg/日程度である。 食事で摂取した脂質を全身組織および肝臓に輸送するのが外因性代謝経路であり、カイロミクロンにより担われている。 小腸粘膜では吸収した脂質から大量の中性脂肪を含むカイロミクロンが合成され、リンパ管経由で胸管から大循環に入る。 血中のカイロミクロンは血管内皮上のリポタンパク質リパーゼ(LPL)により中性脂肪が加水分解されて末梢組織に脂肪酸を供給しながら、より小さなカイロミクロンレムナントとなる。 カイロミクロンレムナントはLDL受容体などを介して肝細胞に取り込まれる[93][99]

    内因性代謝経路

    肝臓で合成した脂質を末梢組織に輸送するのが内因性代謝経路であり、VLDL、IDL、LDLが担当する。 肝臓では、中性脂肪を多く含む大きな粒子であるVLDLが合成・分泌される。 VLDLは血管内皮細胞表面に結合しているリポタンパク質リパーゼ(LPL)により中性脂肪が加水分解されて末梢組織に脂肪酸を供給しながら、より小さなIDLとなる。 IDLは肝臓で一部は取り込まれ、一部はHTGL(肝性リパーゼ)により中性脂肪が加水分解されて減少し、さらに小さなLDLとなる。 LDLは主に肝臓のLDL受容体により血中から除去される。また、末梢組織の細胞もLDL受容体などが発現しており、LDLなどを細胞内に取り込む[93][99]

    コレステロール逆輸送系

    末梢組織の細胞は基本的にコレステロールを分解できないので、余剰のコレステロールは肝臓に逆輸送して処理する必要がある。これを担うのがHDLである。 HDLは肝臓および小腸で合成される。HDLは末梢組織の細胞膜のコレステロールを除去しエステル化して内部に蓄える。このエステル化を担うのが LCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)である。HDLに蓄えられたコレステロールの一部は、VLDL(IDL・LDL)にCETP(コレステリルエステル転送タンパク質)の作用により中性脂肪と交換で取り込まれ、さらに、肝臓のLDL受容体を介して肝細胞に取り込まれる。また、HDL中のコレステロールエステルを直接肝細胞に取り込む経路も存在する[93][99]

    LDL受容体
    セルビア語の説明:
    LDL reseptor - LDL受容体
    LDL patikula - LDL粒子
    klatrin - クラスリン
    lizozom - リソゾーム

    血中LDLを除去する役割は主にLDL受容体が担っており、血漿中LDLコレステロール濃度の主要な調節機構としての役割を果たしている[101]。 LDLはアポB100を介して細胞膜表面の糖タンパク質であるLDL受容体と結合すると、受容体介在性エンドサイトーシスによりクラスリン被覆ピットから細胞内に取り込まれ、 エンドソーム内の低pHによりLDLが受容体から解離する。解離後のLDLは後期エンドソームを経てリソソームで分解され、コレステロールエステルは加水分解されて遊離コレステロールとなる[102]。 一方、内在化されたLDL受容体は、大部分が細胞膜へリサイクルされ、再びLDLの取り込みに利用されるが、一部はPCSK9英語版と結合してリソソームで分解される[102]家族性高コレステロール血症の大部分は、LDL受容体遺伝子LDLRの病的バリアントにより引き起こされており、 小児期から著明なLDL-C高値が持続し、若年期から動脈硬化性心血管疾患を発症するリスクが高い[101]

    異化・排泄と腸肝循環

    胆管周辺の模式図
    肝臓、右肝管、左肝管総肝管胆嚢管総胆管胆嚢オッディ括約筋ファーター膨大部膵管膵臓十二指腸
    肝臓から分泌された胆汁は一時的に胆嚢で濃縮される。食事によりCCKホルモン等が放出されると総胆管を通じて胆汁は十二指腸中に分泌される。
    ヒトの代表的な胆汁酸、コール酸の構造式
    胆汁酸(bile acid)は親水性(hydrophilic)の側面と疎水性(hydrophobic)の側面を持ち、脂質(lipid)を囲んでミセルを形成し、脂質の吸収を促進する。

    ヒトをはじめとする哺乳類はコレステロールの環構造を分解することはできず、主に肝臓でコレステロールを水酸化して胆汁酸に変換することにより処理している。胆汁酸は一日300〜600 mg前後合成されている[103]。胆汁酸はグリシンやタウリンなどと抱合して胆汁成分となる[103]。 胆汁は胆嚢に蓄えられ、総胆管を経由して十二指腸乳頭から消化管内に放出される。胆汁中の胆汁酸は疎水性のコレステロール環と親水性のカルボキシル基やヒドロキシル基をもち、食事中の脂質をミセル化して吸収するのに重要な役割を果たす[103][104]

    胆汁には胆汁酸、ビリルビン、の他、コレステロールそのものも含まれている。 (胆嚢胆汁には胆汁酸 12 %、リン脂質 4 %、コレステロール 0.7 %が含まれている[105]。) 胆汁の中のコレステロールは胆汁酸やリン脂質によりミセルを形成して溶解しているが、 胆嚢で胆汁が濃縮される際に何らかの原因でコレステロールが沈殿し、胆嚢あるいは胆管においてコレステロール胆石を形成することがある[105]。(#胆石症とコレステロールも参照。)

    胆汁中の胆汁酸およびコレステロールは、大部分が回腸で再吸収されて肝臓に戻る。 これを腸肝循環とよぶ。胆汁酸は、約95 %が門脈経由で肝臓に戻って、再度、胆汁中に分泌される。人体内の胆汁酸総量は2〜4g程度であるが、一日あたりの胆汁酸分泌量は20〜40g程度であり、胆汁酸は一日に10回程度は腸管循環を行っていると考えられている。便中に排泄される胆汁酸は一日300 mg程度である[103]

    便中に排泄されるコレステロール、および、腸内細菌によりコレステロールが代謝されて生じるコプロスタノールは、あわせて、一日 600〜1300 mg程度である。これは食事中のコレステロールや胆汁中のコレステロールで吸収されなかったものと、脱落する腸管上皮細胞に含まれるコレステロールを合わせたものに由来する[103]

    食物繊維を多く含む食事は食物繊維が胆汁酸の吸収を抑制することにより、コレステロールや他の脂質の吸収も抑制すると考えられている[106]。また、植物由来のフィトステロールはコレステロールのミセル溶解を阻害すると考えられている[87]

    上記の胆汁酸への異化以外にコレステロールが代謝される経路としては、ステロイドホルモンの合成経路もあるが、一日50 mg前後で、胆汁酸と比較するとごく少量である[103]。) また、皮膚あるいは髪の毛など上皮細胞が脱落するとその細胞膜のコレステロールも失われることになるが、皮膚から失われるコレステロールは一日約 80 mg程度で僅かである[107]

    コレステロールとホルモン

    ステロイドホルモン

    コレステロールはステロイドホルモンの前駆体である。ステロイドホルモンの産生は、コレステロールがStAR英語版(ステロイド産生急性調節タンパク質)によりミトコンドリアの外膜から内膜に供給されて、内膜に存在するP450scc(CYP11A1)によりプレグネノロンに変換されるところから始まる。 ステロイド産生の急性調節ではStARによるコレステロール供給が主要な律速・調節段階とされる。 プレグネノロンは、さらに、各組織に発現する酵素の組み合わせに応じて各種の経路でステロイドホルモンに変換されていく[108]

    副腎皮質では副腎皮質ホルモンコルチゾールアルドステロン、副腎アンドロゲンなど)が合成される。 また、性ホルモンとして、精巣ではテストステロン卵巣ではエストラジオールエストロンプロゲステロンなどが合成される。 また、妊娠中の胎盤では、主に母体由来のコレステロールからプロゲステロンが合成される。胎盤ではエストロゲンの前駆体となるC19ステロイドが十分合成できないため、母体および胎児副腎由来のアンドロゲン前駆体(デヒドロエピアンドロステロン硫酸(DHEA-S)など)からエストリオールエストラジオールなどが合成される[108][58][109][110]

    副腎皮質・性腺などは、血中のLDLからコレステロールを得るほかに、自らもコレステロールを合成する能力をもっているため、スタチンによる脂質降下療法においては、通常、ステロイドホルモンの欠乏は問題にならないとされる[111]。 重篤な低コレステロール血症を来す家族性低βリポ蛋白血症のホモ接合体では、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)刺激に対する副腎皮質の反応低下が報告されている[112]

    コレステロール代謝の先天異常では、二次的にステロイドホルモンの合成が障害される場合がある。 例えば、スミス・レムリ・オピッツ症候群(7-デヒドロコレステロール還元酵素の異常)では、ステロイドホルモン合成障害がみられる場合があり[113]。 また、先天性リポイド副腎過形成症(ミトコンドリアの外膜から内膜へのコレステロール供給を促進するタンパク質、StARの異常)[114]では、 副腎や性腺のステロイドホルモンの合成が広範に障害される。

    ビタミンD

    ビタミンD3の構造式。

    ビタミンDセコステロイド(環の切断が生じているステロイド)であり、活性体のカルシトリオールはステロイドホルモン(セコステロイドホルモン)の一つとみなされる。 ビタミンDは食物から摂取されるほか、皮膚でも日光の作用により生成される。 コレステロールの前駆体である7-デヒドロコレステロール(7-DHC)[注 36]は、皮膚においては、紫外線(UV-B)によりプレビタミンD3に変換され、熱異性化によりビタミンD3となる。ビタミンD3は主として肝臓で水酸化されて25-ヒドロキシビタミンD3(カルシジオール)になり、さらに主として腎臓での水酸化を経て、最終的に生理活性をもつ 1,25-ジヒドロキシビタミンD3(カルシトリオール)となる[115][116]

    コレステロールに及ぼすホルモンの影響

    甲状腺ホルモンは肝臓のLDL受容体を増加させる。 甲状腺機能低下症では高コレステロール血症が、甲状腺機能亢進症では低コレステロール血症がみられる[117]

    エストロゲンはLDL受容体を増加させることが知られている。女性は閉経に伴い総コレステロールが増加する傾向がある。一般にLDLコレステロール(LDL-C)が増加するがHDLコレステロール(HDL-C)の変化は一定しない[118][117]。 経口エストロゲン製剤投与[注 37]でLDL-C減少とHDL-C増加がみられる一方、中性脂肪も増加することがある[117][119]

    動物におけるコレステロール

    動物において、コレステロールは細胞膜を構成する主要なステロールであり、生理的に重要な役割を果たしている。 コレステロール合成能力は、動物の祖先となる真核生物から継承されたものと考えられており、 ヒトなどの脊椎動物棘皮動物ウニヒトデなど)を含む後口動物のほとんどではコレステロールの新規合成に必要な遺伝子群を保持している。 一方、後口動物以外の動物の複数の系統ではしばしばコレステロール新規合成能が失われている。その代表例は、節足動物昆虫甲殻類など)や線形動物線虫など)を含む脱皮動物である[120]昆虫は体内で必要とするステロール骨格の新規合成ができないため、肉食性の昆虫では食物からコレステロールを得ている。草食性の昆虫の食物となる植物にはコレステロールが乏しいため、多くの草食性昆虫ではシトステロールなどの植物ステロールを体内でコレステロールに変換していることが知られている[121][120]

    植物におけるコレステロール

    ステロール類の構造式

    植物の細胞膜を構成する主要なステロールは植物ステロールであるが、広範な植物種でコレステロールも合成されることが知られている。 例えば、ナス科植物では、ジャガイモソラニントマトトマチンのようなステロイド性糖アルカロイドの前駆体としてコレステロールを産生している[122]。 ベールマン (Behrman) とゴパラン (Gopalan)は、教科書を含む書籍で植物にはコレステロールが含まれないという誤った記述が見られ、誤解の一部は、米国の食品医薬品局が食品中のコレステロール含有量が少ない場合はゼロと表示してよいとしていることに起因すると指摘している。実際には植物性食品にも少量のコレステロールは含まれ得る(ベールマンとゴパランによれば、総脂質1 kgに対するコレステロール量が、動物由来脂質では約5 gなのに対し、植物由来脂質では約50 mg である)[123]。動物とは異なり、植物ステロールの生合成と複数の段階を共有する植物特有のコレステロールの合成経路も解明されている[122]

    真菌におけるコレステロール

    大部分の真菌は膜のステロールとしてエルゴステロールを利用している。 ただし、ニューモシスティスのように、コレステロールを膜ステロールとして利用するものも存在する[44]

    抗真菌薬の中にはエルゴステロールをターゲットとするものがある。アゾール系(フルコナゾールなど)はエルゴステロール合成を阻害し、また、 ポリエン系(アムホテリシンB)は細胞膜のエルゴステロールとの相互作用により細胞膜に孔を形成する[124]

    細菌におけるコレステロール

    細菌の細胞膜は基本的にリン脂質と糖脂質で構成されており、多くの種ではステロールは含まない(ステロールの代替としてホパノイドを含むことはある。) ほとんどの細菌はコレステロールを合成できない[125](例外はある[126])。 また、大部分の細菌はコレステロールを必要としないが、 例外的に膜成分としてコレステロールが必要な細菌としては、マイコプラズマエールリキアアナプラズマブラキスピラ英語版ヘリコバクターボレリアなどがあげられる。これらの菌は宿主から必要なコレステロールを得ている[125]

    その他、結核菌はコレステロールを炭素源・エネルギー源として利用でき、この能力が慢性感染期において、活性化マクロファージ内での持続感染に必須と報告されている[127]

    健康とコレステロール

    コレステロールが生命維持に必須な役割を果たす物質であるという事実は、科学者以外にはあまり知られていない。むしろ、一般社会には健康を蝕む物質として認知されていることが多い。すなわち、脂質異常症を介して循環器疾患の一因になるとの認識が強い。

    血液検査におけるコレステロール

    血液検査で脂質代謝の評価をする場合、よく用いられる項目としては、コレステロール関連では、総コレステロールTC、または、T-Cho)、HDLコレステロールHDL-C)、LDLコレステロールLDL-C)の3項目がある。これに、さらに中性脂肪TG)を加えた4項目が、標準的な脂質代謝のスクリーニング検査となる。 なお、LDL-Cはリポタンパク質LDLに含まれるコレステロール(俗称「悪玉コレステロール」)、HDL-Cはリポタンパク質HDLに含まれるコレステロール(俗称「善玉コレステロール」)を意味する。コレステロール分子自体の違いではない。 その他、TC値からHDL-C値を引いたnon-HDLコレステロール(non-HDL-C)も指標として用いられることがある。non-HDL-Cは、動脈硬化惹起性リポタンパク質全般(LDLに加え、IDLVLDL、レムナントリポタンパク質[注 38]Lp(a)[注 39])を反映すると考えられている[9][128]

    検査法

    TCは、通常、酵素法で定量される。HDL-CはHDL以外のリポタンパク質との反応を抑制した上で、酵素法で測定する。 LDL-Cについては、他のリポタンパク質との反応を抑制した上で酵素法で測定する方法(直接法)もあるが、 TC、HDL-C、TGから計算によって求めることも多い。伝統的に用いられてきたのはフリードワルド(Friedewald)式である[128][9] [注 40]

    フリードワルド式: 
          
    アテローム動脈硬化
    動脈を切り開いたところ。内面一面は黄色のアテロームに覆われ正常な内膜(通常は無色)は見られない
    動脈のアテローム硬化の顕微鏡像:白く抜けているのはコレステロール結晶が存在した跡(標本作成時にコレステロールが溶出したため)
    動脈構造の模式図
    内側から動脈基底膜(basement membrane;黄緑)
    動脈内膜(Tunica intima;緑)
    動脈中膜(Tunica media;黄橙)
    動脈外膜(Tunica externa;褐色)
    アテローマは内膜中で増大する
    冠動脈疾患
    閉塞 (1) した先の心筋 (2) が障害される

    血液中のコレステロール値 (TC) は動脈硬化症と単純に結び付けて語られることが多かったが、現在はTC値そのものよりも、LDL-CやHDL-Cなどリポタンパク質に関連するコレステロール値が危険因子(リスクファクター)として重視されている。

    アテローム性動脈硬化心筋梗塞脳梗塞、末梢動脈疾患など様々な疾患を引き起こし、主要な死因の要因となっている。 リポタンパク質LDL(コレステロールそのものではない)が動脈内膜に入り滞留するのがアテローム性動脈硬化の最初の段階であると考えられている。内膜に滞留したLDLは酸化・変性して炎症を惹起するとともにマクロファージに貪食されて泡沫細胞アテローム性プラークの形成に関与する[注 42]。逆にリポタンパク質HDL(コレステロールそのものではない)は、動脈硬化巣を含む末梢組織からコレステロールを除去する作用があると考えられている[132]。 詳細は、動脈硬化アテローム性動脈硬化アテローム脂質異常症体内輸送およびリポタンパク質変性LDL血中コレステロールを参照のこと。

    冠動脈疾患 (CHD) とコレステロール

    総コレステロール(TC)が冠動脈疾患狭心症心筋梗塞など)の危険因子であることは確立されている。 約100万人のデータを対象としてメタ解析で、総コレステロール 1 mmol/L(約38.7 mg/dL)上昇による冠動脈疾患のリスク比[注 43]は、男性で 1.24、女性で 1.20 と報告されている[133]。日本人を対象とした研究においても、総コレステロールが220 mg/dL以上では、冠動脈疾患死亡のハザード比は 1.55 倍とされている[9][注 43][134]。 しかし、近年の日本および海外のガイドラインでは、総コレステロールではなく、 LDLコレステロール(LDL-C)、HDLコレステロール(HDL-C)、non-HDLコレステロール(non-HDL-C)などのコレステロール分画を 動脈硬化性疾患のリスク評価や管理目標に用いるのが一般的である[9][135]

    LDL-C(俗称「悪玉コレステロール」)は、動脈硬化性疾患を引き起こす最も重要な危険因子である[135]。 日本人では、LDL-C 30 mg/dL上昇の冠動脈疾患発症のハザード比は、男性で 1.3 倍、女性で 1.25 倍と報告されている[9][136]。 また、治療によるLDL-C低下が動脈硬化性疾患のリスクを低減させることは確立されており[135]、 日本(2022年)および米国(2026年)のガイドラインではLDL-C値が管理目標値として設定されている[135][9]

    non-HDL-Cは、LDL-Cに加えて、レムナントリポタンパク質[注 38]などその他の動脈硬化惹起性リポタンパク質(アポB[注 44]を含むリポタンパク質)のコレステロールを含む指標であり、日本人において、心筋梗塞発症予測能はLDL-Cと同等であり、総コレステロールより優れていたと報告されている[9]。また、高中性脂肪血症のある例や糖尿病において、LDL-Cをコントロールした後の残余リスクの評価に有用とされる[9]。non-HDL-CもLDL-Cに準じて、管理目標値が設定されている[135][9]

    HDL-C(俗称「善玉コレステロール」)は、観察研究において[注 45]、低値は冠動脈疾患のリスクと関連するとされている。 日本人においても、HDL-C 40 mg/dL未満では冠動脈疾患発症リスクが上昇することが報告されている[9]。 ただし、HDL-Cについては、単純に「高ければ高いほど良い」とは言えず、 HDL-C 90 mg/dL以上の著しい高値では、逆に、冠動脈疾患や脳梗塞の死亡リスクが上昇することが報告されている[9][137]。 (HDL-Cの著高値は飲酒者でよく見られることから、飲酒による動脈硬化リスクの上昇を反映している可能性も指摘されている[9]。) また、総コレステロール高値または中性脂肪高値を伴わないHDL-C低値単独では冠動脈疾患や脳卒中のリスク因子にならないとの報告もあり[138][9]、 HDL-CとHDLの抗動脈硬化作用の関係は単純ではない[9]

    日本の脂質管理目標値の概要(動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版)[9]
    リスク区分 LDL-C目標値(mg/dL) non-HDL-C目標値(mg/dL) 中性脂肪目標値(mg/dL) HDL-C目標値(mg/dL)
    一次予防(低リスク) 160未満 190未満 空腹時150未満
    (随時175未満)
    40以上
    一次予防(中リスク) 140未満 170未満
    一次予防(高リスク) 120未満 150未満
    一次予防(特に高いリスク) 100未満 130未満
    二次予防(既往あり) 100未満 130未満
    二次予防(特に高いリスク) 70未満 100未満
    • まずLDL-Cの管理目標値を達成し、次いでnon-HDL-Cの管理目標値達成を目指すとされる。HDL-C低値については、薬物治療ではなく、基本的に生活習慣の改善で対処するものとされている。
    • リスク評価は「久山町研究によるスコア」(年齢・性別・収縮期血圧・糖代謝異常(糖尿病以外)・LDL-C・HDL-C・喫煙有無から算出)などによる。詳細は文献[9]および日本動脈硬化学会の計算サイト参照。
    • 一次予防の「特に高いリスク」は糖尿病に末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症など)合併、または喫煙ありの場合を指す。二次予防の「特に高いリスク」は、急性冠症候群、家族性高コレステロール血症、糖尿病、冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞合併の4病態の何れかを合併する場合[9]
    米国のリスク区分別LDL-C/non-HDL-C管理目標値より一部を抜粋
    (2026 ACC/AHAガイドライン)[135]
    リスク区分 LDL-C<100 mg/dL
    non-HDL-C<130 mg/dL
    LDL-C<70 mg/dL
    non-HDL-C<100 mg/dL
    LDL-C<55 mg/dL
    non-HDL-C<85 mg/dL
    一次予防 中等度リスク以下 高リスク 該当せず
    糖尿病 リスク因子なし リスク因子あり 該当せず
    二次予防(既往あり) 該当せず 特に高いリスク以外 特に高いリスク

    胆石症とコレステロール

    胆石

    胆汁の中のコレステロールは胆汁酸やリン脂質により混合ミセルを形成して溶解しているが、胆汁構成成分のバランスが崩れたときにコレステロールが沈殿してコレステロール胆石を形成することがある[105][140]胆石症は通常は無症状であるが、胆石により胆嚢頸部や胆管の閉塞が起こると胆石疝痛胆嚢炎胆管炎膵炎閉塞性黄疸などを来すことがある[140]。 胆石のうち、約7割がコレステロール結石であり、残りの大部分はビリルビンに由来する色素結石である[105]。コレステロール結石は胆汁酸のうちのウルソデオキシコール酸(やケノデオキシコール酸)を経口服用することにより溶解する場合がある(経口胆石溶解療法)。しかし、適応例は多くなく、近年はあまり行われない[140]。 (#異化・排泄と腸肝循環の節も参照。)

    がんとコレステロール

    コレステロールとがんの関係は複雑であり、疫学研究の結果も一貫していない[141]。現状では、食事からのコレステロール摂取や脂質異常症の予防・治療において、がんとの関係を特別に考慮する必要があるとは一般的には考えられていない[135][78]

    がんとコレステロールの生化学

    コレステロール自体に明確な発がん作用があるとはされていないが、コレステロールやその代謝産物は、既に生じたがんの増殖(膜合成、シグナル伝達)や浸潤・転移・アポトーシス回避などには重要な役割を果たすと考えられている。 がん細胞においてはコレステロール合成や取り込みが亢進していると報告されており、がん細胞内のコレステロール代謝ががんの増殖や進展に関与する可能性が示唆されている。また、血中コレステロールの高値ががんの増殖や転移を促進しうる可能性についても検討されている[141][142][143]

    コレステロール高値とがん

    観察研究においては、 前立腺がんなど、一部のがん種とコレステロール高値の関連を示唆する報告[144]もあるが、がんとコレステロール値の関係を認めない報告も多い[141][145]。 関連があるとしても、交絡因子(たとえば、発がんとコレステロール高値をともに促進するライフスタイル)の影響を否定することは困難であり、 因果関係についての結論は出ていない[141][143]

    コレステロール低値とがん

    肝細胞がんなど一部のがんについては、観察研究でコレステロール低値との関連が報告されることがある[146][147]。 しかし、コレステロール低値は、がん発症前の病態によるもの(たとえば、肝細胞がんの多くは肝硬変など肝臓のコレステロール合成能が低下しうる病態を背景に発症する)、 または、診断前のがんの有害作用による栄養障害の結果とも解釈されている。現在のところ、コレステロール低値そのものががんのリスクを高めるとは一般的には考えられていない[144][141][145]

    スタチンとがん

    高コレステロール血症で広く使われているスタチンは、がんのリスクを高めないと考えられている[148][149]。 また、コレステロール代謝ががんの進展に関与している可能性から、スタチン等によりコレステロールを低下させることががんの発症予防や予後改善に有用かどうかも検討されているが、 観察研究の結果は一貫しておらず、現状では、がんの予防や治療を目的として積極的にスタチンを投与することを推奨するに足る証拠はない[141][149][150]。 米国の2026 ACC/AHAガイドラインでは、がん患者においても動脈硬化性心血管疾患予防目的のスタチン投与を行うことができるとしている[135]

    低コレステロール血症

    血中コレステロール基準値を下回る状態を低コレステロール血症(低脂血症)と呼ぶ。 低コレステロール血症の多くは、肝硬変などの重症肝障害、栄養状態不良悪性腫瘍などに続発するものであり、原発性の低コレステロール血症はまれな遺伝性疾患である[113]

    寿命とコレステロール

    寿命・総死亡リスクとコレステロールの関係は複雑であり、解明されていない点も多い。

    寿命と総コレステロール

    観察研究では、総コレステロールと死亡の間にはU字型の関係が報告されている。すなわちコレステロールの高値と低値の両方が死亡リスクに関連するとの報告が多い[151]。 高齢者においては、コレステロール高値が死亡リスクと逆相関するとの観察研究結果がしばしば報告されている[152]

    疫学的には、コレステロール低値は、がん、うつ状態、脳出血、感染症と関連することが指摘されており、その生理学的機序としては、膜や血管の安定性、神経ステロイドの合成、免疫能への影響などの仮説が提案されている。しかし、コレステロール低値でみられる死亡リスクの上昇は、むしろ、コレステロールの低下を伴う慢性疾患や栄養状態不良などによるもので、コレステロール低値は原因ではなく結果である可能性が指摘されている(コレステロール低値が死亡リスクに強く結びついているのは全身機能低下の著しいグループであるとの報告もある[153])。

    寿命とLDL-コレステロール

    LDL-コレステロール(LDL-C)は、俗に「悪玉コレステロール」と呼ばれることがあり、動脈硬化性心血管疾患のリスク因子である。 ランダム化比較試験により、LDL-C低下療法が動脈硬化性心血管疾患を減少させることが示されている[135]。ただし、総死亡への影響は、年齢、心血管疾患の既往の有無、基礎疾患、併用薬、その他のリスク因子などにより、異なると考えられる。

    メンデルランダム化研究[注 46]においても、一般人口でのLDL-C高値と死亡リスク上昇の関連が報告されている[154]。(なお、メンデルランダム化研究でも、LDL-Cは心血管疾患と相関するが神経変性疾患とは逆相関し、総死亡とは関連しないとの報告もある[155]。LDL-Cと死亡リスクとの関係は単純ではないと考えられる。)

    60歳以上の高齢者におけるLDL-Cと死亡リスクの関係の系統的レビューでLDL-Cは死亡とは逆相関(ないしは無関係)との報告[156]もあるが、この報告の解釈には方法論上の批判もある。すなわち、生存者バイアス[注 47]、併存疾患や栄養状態、治療介入、逆因果関係などの影響を考慮する必要が指摘されている[157]。 コレステロール低値と死亡リスク上昇の関係と同様に、LDL-C低値は慢性疾患や栄養状態不良の結果であり、それが寿命短縮につながっている可能性も指摘されている[157][153]

    コレステロール低値と全死亡リスクの関連を解釈する上で、観察期間中のスタチン治療の影響の有無が問題になるが、スタチンを使用しない場合にU字型、すなわち、 高値と低値で死亡リスクがあるとの報告がある[158]。また、無作為化試験では、スタチンPCSK9阻害薬などでLDL-Cを低下させても、少なくとも試験期間中には、観察研究でコレステロール低値との関連が疑われたような病態の増加は示されていない[151][159]。 現在のところ、動脈硬化性心血管疾患の治療においては、試験で到達された程度のコレステロール(LDL-C)低下は有害とみなす根拠はないが、 ポリファーマシーの問題やリスク・ベネフィットを考慮すると、 どのような高齢者において脂質降下療法が有用であるかについてはさらなる研究が必要と指摘されている[135][157]

    寿命とHDL-コレステロール

    HDL-コレステロール(HDL-C)は、俗に「善玉コレステロール」と呼ばれることがあり、高いほどよいと考えられがちである。 しかし、観察研究では、U字型の関係、すなわち、HDL-C低値のみならず、著しい高値においても、心血管疾患による死亡や全死亡リスクの増加が報告されている[160][161][162]。その理由としては、大量飲酒によるHDL-C高値群で大量飲酒の有害作用が影響している可能性、HDL-CとHDL機能は別であり著しいHDL-C高値はHDL機能不全の徴候である可能性や、HDLの免疫・炎症調節機能が関連している可能性などが提案されている[162][160]

    なお、HDLの主要アポリポタンパク質であるアポA-Iについては総死亡リスクやがん死リスクと逆相関するとの報告もある[155]

    食事性コレステロールと健康

    卵黄には多量のコレステロールが含まれる

    コレステロールは必須栄養素ではなく、体内のコレステロールの過半は肝臓で合成されており、食事から吸収される外因性のコレステロール量は体内で合成される量の三分の一から七分の一程度とされる。また、生体には恒常性を保つ調節機構があり、コレステロールの経口摂取量が増えても、肝臓でのコレステロール合成がフィードバック機構により抑制されるため、健康な成人であれば体内におけるコレステロール量は大きくは変化しにくい(個人差はある)[78]。逆に、食事からコレステロールを取らなかったとしても脂肪炭水化物などを摂取すれば体内でアセチルCoAからスクアレンを経てコレステロールに転換されることになる[163][9]

    食物由来コレステロール

    食物由来コレステロールのほとんどは動物性食品に由来する。たとえば、卵黄(約1200 mg/100 g)、するめ(乾物; 約980 mg/100 g)、エビ類(約 170 mg/100 g)などがあげられる[164]。卵黄に多量に含まれるため、卵の摂取量と血中コレステロールや心血管疾患との関連については、多数の研究がある(後述)[165][166][167][168]

    植物性食品(亜麻仁種子やピーナッツ)では、コレステロール類似化合物のフィトステロールが含まれ、腸管でのコレステロール吸収を阻害することにより、血中LDL-コレステロール(LDL-C)量を下げるとされている[169]

    食品に含まれるコレステロールと脂肪酸(可食部100 gあたり)
    「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」[164] 第2章本表[170]および脂肪酸成分表編第2章第1表[171]より抜粋
    食品番号 食品名 エネルギー
    (kcal)
    コレステロール
    (mg)
    飽和脂肪酸
    (g)
    一価不飽和脂肪酸
    (g)
    多価不飽和脂肪酸
    (g)
    12010 卵黄(鶏卵、生) 336 1200 9.39 13.00 4.54
    10353 するめ(乾物) 304 980 0.60 0.12 0.89
    10057 たたみいわし 348 710 1.53 1.41 1.35
    12020 ピータン 188 680 3.06 8.19 1.64
    10032 あんこう(きも、生) 401 560 9.29 14.15 11.88
    10141 すじこ 263 510 2.72 4.02 6.17
    12002 うずら卵(全卵、生) 157 470 3.87 4.73 1.61
    12004 鶏卵(全卵、生) 142 370 3.12 4.32 1.43
    11166 豚レバー(生) 114 250 0.78 0.24 0.76
    14017 バター(有塩) 700 210 50.45 17.97 2.14
    10321 えび(くるまえび、養殖、生) 90 170 0.08 0.05 0.12
    17043 マヨネーズ(卵黄型) 668 140 10.37 27.69 31.54
    11221 鶏肉(もも、皮つき、生) 190 89 4.37 6.71 1.85
    11130 豚肉(もも、脂身つき、生) 171 67 3.59 4.24 1.24
    11019 牛肉(和牛肉、もも、脂身つき、生) 235 75 6.01 9.51 0.54

    食事性コレステロール摂取量と健康

    コレステロール摂取量の現状

    日本人成人のコレステロール摂取量の中央値[注 48]は、男性 370 mg/日、女性 321 mg/日とされる(平成30年・令和元年国民健康・栄養調査)[78]

    コレステロール摂取量は世界的には大きなばらつきがあるが、日本人は摂取量上位グループに属する。 NutriCoDE(世界の疾病負荷(GBD)栄養・慢性疾患専門家グループ)による2010年の集計では、世界各国のコレステロール摂取量は最低の 97 mg/日(バングラデシュ)から最高の440 mg/日(ルーマニア)と大きなばらつきがあり、平均は 228 mg/日であった。日本は347 mg/日で、米国の296 mg/日を上回っていた [172]。 日本人のコレステロール摂取量が比較的多い理由の一つとして卵の摂取の多さがあげられている[173]

    コレステロール摂取量と血中コレステロールの関係

    コレステロールは体内で12〜13 mg/kg/日(体重50kgなら600〜650 mg/日)程度合成されている。経口摂取したコレステロールは、およそ半分が吸収される(個人差が大きい)[88]。すなわち、食事から吸収されるコレステロールより体内で合成される量の方がはるかに多い。さらに経口摂取の増減に適応してコレステロール合成も増減するため、コレステロール摂取量と血中コレステロールの関係は単純ではない[174]

    コレステロール摂取が増加すると血中コレステロールも増加する傾向があり、欧米の研究のメタ解析では、コレステロール摂取量が100 mg/日増加すると血中コレステロールが2.2〜2.56 mg/dL増加[174]、血中LDL-Cが1.9〜4.6 mg/dL増加[175][176]すると報告されている。

    ただし、コレステロール摂取の変動に対する血中コレステロールの変動の大きさは、遺伝的要因や日常の食事パターンにより、個人差が大きい。コレステロール摂取量が多い状況では、さらにコレステロールを増やしても血中濃度の上昇は鈍ってくる[174][176]。脂質異常症ではコレステロール摂取の増加によりLDL-Cが上昇しやすい傾向が指摘されている[177]。 また、日本におけるINTERLIPID研究では、教育程度が低く雇用されていない集団でのみコレステロール摂取量と血清LDL-Cの関連が認められる一方で、 教育程度が高い被雇用者(会社員等)においてはコレステロール摂取量と血清LDL-Cの逆相関がみられ[178]、 健康意識による因果の逆転(血中コレステロールが高いのでコレステロール摂取を控えている)の存在も疑われている[78]

    コレステロール・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸

    血中LDL-C値上昇には、コレステロール摂取量そのものよりも飽和脂肪酸トランス脂肪酸の摂取量の影響のほうが大きいことが多くの研究で示されている[179][180]。 例えば、卵2個を含む高コレステロール低飽和脂肪酸食(EGG)と卵を含まない低コレステロール高飽和脂肪酸食(EGG-FREE)のクロスオーバー試験では、EGGでのみLDL-C低下が認められている[181]。 また、LDL-Cは、食事の飽和脂肪酸由来のエネルギーの5 %を多価不飽和脂肪酸に変更することにより 10.5 mg/dL低下、 一価不飽和脂肪酸に変更することにより 8.0 mg/dL低下、 炭水化物に変更することにより 6.5 mg/dL低下するとされる。機序としては肝臓のLDL受容体発現の増加があげられている[180]

    トランス脂肪酸については、LDL-C/HDL-C比への悪影響(上昇)が飽和脂肪酸の2倍程度大きいとされる[78]。日本人のトランス脂肪酸摂取量はエネルギー摂取量の 0.3 %程度と欧米に比較して少ないが、海外ではエネルギー摂取量の1 %未満が推奨されている[78]

    コレステロール摂取量と心血管疾患

    前述のように、コレステロール摂取量が増加すると血中LDL-Cも増加する傾向があるので、心血管疾患のリスクも増大する可能性が考えられる。 しかし、実際には、食事性コレステロール量と心血管疾患のリスクの一貫した関連は示されていない。

    観察研究では、食事性コレステロール量と心血管疾患のリスクは関連しないとする報告が多い[182][78]。 一方で、コレステロール摂取量と心血管疾患や死亡のリスクが関連するとの報告[183][184][注 49]もあるが、因果関係は確立されておらず、観察されたリスクはコレステロールの量そのものよりは食品や食事パターン全体(例えば飽和脂肪酸の多さなど)の影響を反映している可能性が指摘されている[182][135]

    近年のガイドラインでは、食事からのコレステロール摂取量だけに注目するのではなく、健康的な食事パターンを重視する傾向にある[179][182][78][9]

    コレステロール摂取に関する過去のガイドライン

    かつては食事性コレステロール量のコントロールが動脈硬化性心血管疾患の予防において重視され、 国内外のガイドライン等では健常人の食事性コレステロール量の上限が目標量として設定されていた。 例をあげれば、2003年の世界保健機関による生活習慣病予防に関する報告書では、1日のコレステロールの摂取目標を300 mg未満と設定している[185]アメリカ合衆国農務省保健社会福祉省の"Dietary Guidelines for Americans 2010"では、健康な人の場合 300 mg/日 未満が推奨されていた[186]。また、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、コレステロールの摂取目標量の上限は、成人男性で1日当たり750 mg、成人女性で600 mgと設定されていた[174][注 50]

    コレステロール摂取に関する近年のガイドライン

    近年の海外のガイドライン(たとえば、アメリカ心臓協会の「2026年版心血管健康向上のための食事ガイダンス」[179]や米国の「2026年版脂質異常症管理ガイドライン」[135])は、コレステロール摂取量の制限を一義的な目標とはせず、むしろ、健康的な食事パターンが重視されるようになってきている。 その理由としては、以下の三点があげられている[179][182]

    ① 観察研究では、一般に、食事性コレステロール量と心血管疾患のリスクの有意な相関はみられない。

    ② 血中コレステロールには、食事性コレステロール量そのものよりも、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取量の影響が大きい。

    ③ 食事性コレステロール量の制限を実行するのは煩雑であるが、健康的な食習慣(たとえば地中海食DASH食 [注 51])を採用することにより、コレステロール含有量が相対的に少なくなるので、間接的にコレステロールの制限も達成できる。

    なお、アメリカ心臓協会は、心血管系の健康を推進する健康的な食事パターンとして、適切な体重を維持できるエネルギー量を基本に、野菜・果物、魚介や植物性のタンパク質、全粒粉食品、不飽和脂肪酸の摂取を勧め、一方で、砂糖、食塩、超加工食品、アルコールなどを控えることを推奨している。また、健康的な食事には適度の卵の摂取を含めることができるとしている[179]

    近年の日本のガイドライン

    近年は、日本においても、健常人に対するコレステロール摂取の目標量は設定されていない。

    厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食事性コレステロールに目標上限量は設定していない。 理由として、コレステロールの大部分は体内で合成されており、摂取量と血中コレステロール値の関連について明確な閾値は知られておらず、 また摂取量と循環器疾患の発症や死亡についての疫学研究では一貫した関連が示されていないことをあげている [注 52]。 ただし、脂質異常症の重症化予防目的では、日本動脈硬化学会のガイドラインに従い、 コレステロール摂取量を200 mg/日未満に留めることが望ましいとしている[78][9]

    日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」は、 高LDL-C血症患者については、飽和脂肪酸を摂取エネルギー比率7%未満とし、コレステロール摂取量を 200 mg/日未満とすることを推奨している。 健常人(高LDL-C血症がない場合)については、目標量を設定する科学的根拠は不十分とし、 コレステロール摂取を低めに抑えることを推奨するにとどめている[9]

    卵の位置づけ

    鶏卵はコレステロール含量が多く、ばらつきはあるが、中ぐらいの大きさのもので1個あたり225 mg前後のコレステロールを含んでいるとされる[187][注 53]。 かつてのガイドラインは1日コレステロール摂取量の制限を重視していたことから、卵の摂取を避けることが推奨されることがあった[188]。しかし、観察研究においては、卵摂取量と心血管疾患の関連は一貫していない[189]。卵の摂取の血中脂質への影響は飽和脂肪酸の量などの食事のパターンに大きく左右されるとも考えられている[189]。メタ解析では、1日1個程度までの卵消費は心血管疾患のリスクとは関連せず、アジア人ではむしろ保護的な作用の可能性が指摘されている[190]

    近年は、コレステロール摂取量そのものよりも健康的な食事パターンが重視されるようになり、脂質異常症のない健常人には適度の卵の摂取が心血管疾患リスクを増加させる明確な根拠はないと考えられるようになっている[179]

    歴史

    コレステロールの存在自体は18世紀から知られていたが[33]、20世紀に入るまでその構造は長い間不明であった。1927年にコレステロールのステロイド骨格が4つの環構造6, 6, 6, 5員環が繋がっているものであると決定したのはオットー・ディールスである。彼はセレンを使った脱水素反応を利用した炭化水素の構造に関する系統的な研究を行っている。すなわち構造が未知の炭化水素を脱水素して二重結合を生成したり骨格を切断したりして既知の炭化水素に導き、元の炭化水素の構造を推定していくのである。ステロイド骨格もその一環でディールスの炭化水素と呼ばれる化学式 C16H18 の炭化水素から現在の立体配置を除くステロイド骨格の構造を決定した。この方法では構造変換の過程で立体構造に関する手掛かりが失われるため、コレステロールの立体構造は解明されないままであった。

    1930年代はステロイドホルモンの単離と構造決定が相次いで研究された。この段階ではディールスの研究では立体構造が不明なため、これらのステロイドホルモンの構造はコレステロールを化学的に構造変換してステロイドホルモンへ変換しそれによって立体構造を決定している。

    立体構造を最終的に決定したのはE・J・コーリーである[要検証] 。彼の天然物合成の研究方法に基づき、ほとんど立体構造が分からない状態から天然物の生成経路ならびに中間体立体配座反応機構からステロイド骨格の生成反応が立体特異的に進行することを見出した[191][192][193]

    年表

    ディールスの炭化水素

    脚注

    注釈

    1. コレステリンに由来する名称が使われている言語の例: ドイツ語: Cholesterinハンガリー語: koleszterinロシア語: холестерин
    2. コレステリン肉芽腫とは、コレステロール結晶を中心に形成された肉芽腫で、中耳などにみられる。英語ではcholesterol granulomaである。
    3. 例外的に古細菌(アーケア)では細胞膜(の一部)が脂質一重層であることがあるJain, S., Caforio, A., Driessen, A. J. M. (26 November 2014). “Biosynthesis of archaeal membrane ether lipids”. Frontiers in Microbiology 5: 641. doi:10.3389/fmicb.2014.00641. ISSN 1664-302X.
    4. 例外的に原生動物の中にはテトラヒメナのように膜にステロールを持たないものも知られている
    5. 図中のEC 4.1.3.5(HMG-CoAシンターゼ)は、近年は、EC 2.3.3.10に再分類されている。
    6. 図中のEC 1.14.99.7(スクアレンモノオキシゲナーゼ)は、近年は、EC 1.14.14.17に再分類されている。(過去には、EC 1.14.13.132と分類されたこともある。)
    7. β配置とは、ステロイド核の基準面より上(紙面に対し観察者側)という意味である。その反対向きがα配置である。構造式では、しばしば、実線のくさび形でβ配置、破線のくさび形でα配置を表現する。
    8. ステロールは、ヒドロキシ基を少なくとも一つ、通常、C3に持ち、カルボニル基を持たないステロイドで、通常はC17に脂肪族側鎖を持つとされる。たとえば、胆汁酸は側鎖にカルボキシ基を持つのでステロールには含まれない。
    9. 代表的なスタノールは、コレステロールから腸内細菌の代謝により生じるコプロスタノールである。
    10. コレステロール生合成へのペルオキシソームの関与を示唆する報告もある。Kovacs, W. J., Olivier, L. M., Krisans, S. K. (1 September 2002). “Central role of peroxisomes in isoprenoid biosynthesis”. Progress in Lipid Research 41 (5): 369–391. doi:10.1016/S0163-7827(02)00002-4. ISSN 0163-7827.
    11. ATPについては、アセチルCoA以降の段階で消費されるATPは18個であるが、厳密にはアセチルCoAの供給経路により異なる。ミトコンドリアからアセチル基をクエン酸として細胞質に輸送しATPクエン酸リアーゼでアセチルCoAを生成するのにもATPが必要であり、全てのアセチルCoAがミトコンドリア由来と仮定すれば、さらに18個のATPが必要となる。そのため、文献により36個のATPが必要と記載される場合がある。
    12. この過程の最初の段階の酵素であるメバロン酸キナーゼの遺伝子変異は、メバロン酸尿症や高IgD症候群(自己炎症性疾患)をきたすことがある。
    13. 窒素を含むビスホスホネートは、ファルネシル二リン酸合成酵素を阻害することにより破骨細胞を抑制すると考えられている。Dunford, J. E., Thompson, K., Coxon, F. P., Luckman, S. P., Hahn, F. M., Poulter, C. D., Ebetino, F. H., Rogers, M. J. (February 2001). “Structure-activity relationships for inhibition of farnesyl diphosphate synthase in vitro and inhibition of bone resorption in vivo by nitrogen-containing bisphosphonates”. The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 296 (2): 235–242. ISSN 0022-3565. PMID 11160603.
    14. スクアレンモノオキシゲナーゼもステロール合成の律速酵素の一つである。抗真菌薬テルビナフィンなどは真菌のスクアレンモノオキシゲナーゼの阻害剤である。
    15. かつては、ラノステロールのA・B・C・D環が一気に閉環すると考えられていたが、今日では、図のように、連続的に閉環が進行すると考えられている。英語版en:Lanosterol synthaseも参照。27.7 Biosynthesis of Steroids”. NC State University Libraries. 2026年8月13日閲覧。 
    16. C14のメチル基はラノステロール-14α-脱メチル化酵素英語版によりギ酸として除去される。真菌の同酵素がアゾール系抗真菌薬の標的である。C4のメチル基二個は、C4-脱メチル化酵素群によりCO2として除去される。
    17. C8とC9の間の二重結合Δ8 は Δ7に異性化されたのち還元され、 Δ5 に新たに二重結合が導入される。なお、順序は経路により異なる。
    18. デスモステロール症英語版は、デスモステロールをコレステロールに変換する24-デヒドロコレステロール還元酵素遺伝子DHCR24の異常による。
    19. スミス・レムリ・オピッツ症候群は7-デヒドロコレステロール還元酵素の遺伝子DHCR7の異常のため、コレステロール生成が障害される病態である。
    20. SREBPにはSREBP-1とSREBP-2のアイソフォームがあるが、コレステロール恒常性には主にSREBP-2が関与する。
    21. INSIGには別遺伝子にコードされるINSIG1とINSIG2があり、発現の仕方は異なる(INSIG1はSREBPで誘導)が、作用は共通するところが多い。
    22. Mouritsenは、ミトコンドリアの膜のコレステロールが少ない事実は、ミトコンドリアが真核生物の細胞に取り込まれた細菌に由来することと整合するとしている。
    23. マイクロドメインとは、生体の脂質二重層上に形成される、特定の脂質やタンパク質が集積した構造的・機能的領域である。
    24. コレステロール合成に関する各臓器の寄与率については、動物種・年齢・栄養状態・測定法の影響が大きく、文献により記載は様々である。
    25. この理由により、食事中のコレステロール量と便中のコレステロールやコレステロール代謝産物の量のみから吸収率を計算することはできない。
    26. 膵コレステロールエステラーゼは基質特異性が広い酵素であり、カルボキシルエステルリパーゼ、胆汁酸塩依存性リパーゼ英語版とも呼ばれる。
    27. 胆汁酸吸着薬が脂質降下薬として用いられることがある。
    28. 植物ステロールは人体で合成されず、人体で植物ステロールがコレステロールに転化することもない。
    29. ホモ接合型家族性高コレステロール血症の脂質降下薬としてMTP阻害薬が用いられる場合がある。また、SOAT2/ACAT2阻害薬が研究されているが広く実用されるには至っていない。
    30. 肝臓や小腸では主にSOAT2(ACAT2)、その他の組織では主にSOAT1(ACAT1)が発現する。
    31. 脂肪酸が中性脂肪(トリアシルグリセロール)として貯蔵(脂肪滴)・輸送(リポタンパク質)されることがあるのと同様に、エステル化コレステロールはコレステロールの主要な貯蔵・輸送形態とみなすことができる。
    32. リポタンパク質はリン脂質の単分子層に包まれているという意味ではミセルに似ているが、 外殻にアポリポタンパク質をもっており、コアは疎水性が強い。 また、自然に生成するのではなく生体が構築する複合粒子であるという点で、通常のミセルとは異なる
    33. かつてはキロミクロンと呼ぶこともあったが、近年は、日本医学会医学用語辞典等も含め、カイロミクロンと表記することが多い。
    34. 「ー比重リポタンパク質」を「ー密度リポタンパク質」と呼ぶこともある。
    35. リポタンパク質のコレステロールのうち、遊離コレステロールはリポタンパク質の外殻、コレステロールエステルは脂質コアに存在する。
    36. ビタミンDの前駆体である7-DHCは、コレステロールから作られるのではなく、コレステロール生合成経路から7-DHCの段階で分岐する。
    37. 経口エストロゲンは門脈経由で肝臓に直接到達するため(初回通過効果)、経皮エストロゲン製剤に比べ、LDL-C低下効果が大きいことが知られている。
    38. 1 2 レムナントリポタンパク質とは、中性脂肪の多いカイロミクロンやVLDLのようなリポタンパク質が部分的に中性脂肪を除去されて小さくなったものである。リポタンパク質参照。
    39. Lp(a)(リポタンパク質(a))とは、動脈硬化惹起作用が強いとされる特殊なリポタンパク質で、その血中濃度には遺伝の影響が強い。
    40. LDL-C測定法のゴールドスタンダードアメリカ疾病予防管理センターが組織する脂質基準分析室ネットワーク(CRMLN)のベータ定量法であるが、測定過程に超遠心を用いており、費用と時間がかかるため、日常的な検査では用いられない。
    41. フリードワルド式よりTG高値やLDL-C低値の状況でLDL-C予測の精度が高いとして米国で近年推奨されている計算式としては、マーチン・ホプキンス式やサンプソン・NIH式がある。詳細は血中コレステロール参照。
    42. 血管壁内のLDLを貪食したマクロファージはコレステロールを分解できないため、血管壁内にコレステロールが蓄積することになる。
    43. 1 2 リスク比(相対危険度)とは、一定期間内の累積発症率を比較したもの、ハザード比は単位時間あたりの発症確率を比較したものである。
    44. アポリポタンパク質B(アポB)をもつリポタンパク質である、LDL、VLDLレムナント、IDL、カイロミクロンレムナントは、動脈内膜に入り込んで滞留し、アテローム性動脈硬化を発症させると考えられている。アポBはリポタンパク質ごとに1個あることから、動脈硬化惹起性リポタンパク質数を反映するマーカーと考えられている。
    45. HDL-Cを薬剤で増加させる治療の研究では、必ずしも一貫した効果が得られていない。
    46. メンデルランダム化研究とは、ある要因(たとえばLDL-C高値)を促進する遺伝子変異の有無を基準にして、その要因と調査対象となる病態(心血管疾患)の関係を調べる疫学研究の手法である。交絡因子(たとえば、LDL-C高値と心血管疾患の両方を促進するライフスタイル)や逆因果関係(たとえば、慢性疾患や低栄養によりLDL-Cが低下しており、慢性疾患や低栄養のために死亡リスクも増えている)の影響を比較的受けにくいとされる。ただし、その遺伝子変異が、検討している病態以外の経路でアウトカムに影響している場合など、バイアスが発生する可能性は残されている。
    47. LDL-Cが高値でありながら高齢に達するのは心血管疾患を生じにくい人に偏っている可能性がある。
    48. 一般に、コレステロールの摂取量の分布は右(高い方)に長く尾を引く形になっており、中央値より平均値が高くなることが多いとされる。
    49. たとえば、300 mg/日の摂取量増加で、Zhaoらによれば心血管疾患死リスクが13 %相対的に増加、Zhongらによれば心血管疾患発症リスクが17 %、全死亡リスクが18 %相対的に増加と報告されている。
    50. 日系のハワイ人男性でコレステロール摂取量が325 mg/1000kcal以上で虚血性心疾患が増加すると報告されていることに基づく。
    51. DASHとは"Dietary Approaches to Stop Hypertension"の略で、米国国立心肺血液研究所が推進している、野菜・果物、全粒粉食品、低脂肪乳製品を豊富にとり、赤身肉・鶏卵・食塩を減らす食事パターン。「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」参照。
    52. ただし、目標上限量は設定しないが、だからといって許容されるコレステロール摂取量の上限が存在しないとするものではないとしている。
    53. 鶏胚体内のコレステロールは、脳を除き、ほとんどが卵黄に由来している。Connor, W. E., Johnston, R., Lin, D. S. (July 1969). “Metabolism of cholesterol in the tissues and blood of the chick embryo”. Journal of Lipid Research 10 (4): 388–394. ISSN 0022-2275.

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    200. 1 2 CYP51について


    関連項目

    • コレステロールから生体内で誘導される化合物

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