2000年代前半 クロック数競争の終焉とマルチコア時代の到来
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1999年にパソコン分野のCPUクロック競争は激しさを増し、インテルとAMDは互いに前倒しでより高い周波数のCPUを発表する熾烈な競争を繰り広げた。そして、ついに2000年春にはCPUの周波数はAMDがわずか先に1GHzの大台に到達した。周波数競争がヒートアップしてピークに達していた頃、奇しくもほぼ同じ時期に株式市場ではITバブルの最盛期となり、崩壊が始まろうとしていた。 1GHzの大台への到達では先んじたAMDだが、増大し続ける消費電力に耐えられずクロック競争に見切りをつけ、処理効率をアピールするためモデルナンバーを導入する。一方インテルは、より高クロックを意識したPentium 4を展開した。デスクトップパソコン向けCPUの消費電力が増大の一途をたどったため、モバイルパソコン向けに専用のプロセッサを設計することが行われるようになった。クロック周波数当たりの性能を稼ぐために、処理を並列化するSIMDの導入も進められた。 2002年にはPOWER4によりサーバ分野でマルチコアCPUが導入された。2003年には、PowerPC 970とAthlon 64により、パソコンにも64ビットの時代が到来した。 2004年末、インテルのPentium 4が採用していたNetBurstマイクロアーキテクチャは、発熱と消費電力の増加が抑えられず、ついに一般向けCPUの周波数が3.8GHzで頭打ちになった。インテルは周波数向上をあきらめ、64ビット・SIMD・プリフェッチ・マルチコアなどの技術で性能向上を図ることになる。これに関連して、インテルもAMDに続きプロセッサー・ナンバーを導入することになる。インテルは開発中のCPUをキャンセルしてクロックあたりの性能を重視した路線への転換を余儀なくされた。 業務用CPUでは、x86ベースのPCサーバが広がり、インテルがIA-64をリリースして本格的にサーバCPUの牙城へと乗り出した。高性能CPUを製造するための投資が莫大なものとなり、従来ワークステーション分野やサーバ分野をリードしてきたRISC CPUのメーカーも、他社との提携を行ったり組み込み分野に重点を置くなどの方向転換を行った。 2000年 2000年問題、大きな混乱なし。 2000年 サン・マイクロシステムズ 、UltraSPARC III 2000年1月 米Transmeta Crusoe発表内部的にはVLIWだが、コードモーフィングと呼ばれる命令変換技術で、x86系CPU互換を実現する。低消費電力を指向し、モバイル分野を意識したCPU。高密度サーバにも多く採用された。 2000年3月 AMD Athlon の動作周波数が1GHzに到達。 2000年10月 IBM、RS64-IVを発表64ビットPowerPCマイクロプロセッサ。市場に出回った製品としては初めて同時マルチスレッディングを実装した。RS64ファミリとしては最後の製品であり、その後はPOWER4に道を譲ることとなった。 2000年11月 インテル Pentium 4 発表32ビットCPU。高い周波数の動作を強く意識。マルチメディア用演算機能を拡張したSSE2を搭載。 2001年5月 インテル Xeon 発表 サーバ用32ビットサーバ用CPU。 2001年5月 インテル Itanium 発売開始初めてIA-64アーキテクチャを実装したCPU。構想は1999年10月に発表していた。新開発のIA-64命令に加えて、IA-32命令デコーダを搭載した64ビットサーバ用CPUで、他社のRISCプロセッサの置き換えを狙った。 2002年 IBM POWER4サーバ/メインフレーム用CPU。業界に先駆けて対称型マルチコアを採用した64ビットプロセッサで、その設計は後のPowerPC 970のベースとなった。 2002年5月 ヒューレット・パッカード (HP) とコンパックが合併 2002年4月 インテル Itanium 2 発売開始64ビットサーバ用CPU。メモリアクセス機能を改善、演算ユニットを増加させ性能を向上させた。IA-32性能を改善したものの、同時期のx86プロセッサの性能には遠く及ばず、後継のプロセッサではIA-32命令デコード機能が削除された。 2003年3月 インテル Pentium M 発売開始。32ビットCPU。モバイルパソコンに特化したプロセッサであった。 2003年4月 AMD Opteron 発表。x86を独自に64ビットに拡張したアーキテクチャーAMD64搭載。 2003年8月 アップルコンピュータがPowerPC G5 (PowerPC 970) を搭載したPower Mac G5を発売。世界初の64ビットパソコンであった。 2003年9月 AMD Athlon 64 発表。AMD64を搭載したパソコン向けプロセッサ。 2004年2月 サン・マイクロシステムズ UltraSPARC IV同時マルチスレッディング(SMT)機能を搭載し、ワンチップで2つのスレッドを実行可能。 2004年 IBM POWER5サーバ/メインフレーム用64ビットCPU。マルチコアに加えて、同時マルチスレッディング (SMT)などの新技術を投入し、ワンチップで4つのスレッドを実行可能となった。 2004年6月 インテル Intel 64搭載のPentium 4、Xeon発表。 2004年8月 HP Alpha EV7z 発表。最後のAlphaプロセッサ。1.3GHz。 2004年10月 サン・マイクロシステムズ「UltraSPARC IV+」UltraSPARC IVプロセッサのデュアルコア版。
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