ヒメスズメバチとは? わかりやすく解説

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ヒメスズメバチ

和名:ヒメスズメバチ
学名Vespa ducalis Smith, 1858
    ハチ目スズメバチ科
分布本州四国九州対馬石垣島西表島
 
写真(上):左から女王働きバチオス
写真(下):鳥の巣箱の中につくられ初期
説明
女王体長2437mm働きバチ平均的に女王より小さいが,しばしば中間的な大きさのものが見られ外形だけの区別困難なことが多い。日本産スズメバチ属の中では最も小規模な巣を作る。人に対す攻撃性も弱い。最大特徴は,餌としてアシナガバチ属やホソアシナガバチ属の巣を,ほぼ専門的に襲うことである。本州以南アシナガバチにとっては,本種は最大天敵といえる営巣開始一般に6月以降働きバチ7月下旬ころ羽化し,9月には営巣終える。すなわち他のスズメバチより営巣開始遅く,巣の解散早い。これはアシナガバチ営巣間に合わせるためと言われる営巣規模小さく,育室数は通常300以下。
本種はかつてVespa tropicaとされてきたが,現在ではtropica熱帯アジア分布する別種とされている。ducalistropicaは巣の規模その他の生活史に関して大きな違いがある。
左から女王,働きバチ,オス

鳥の巣箱の中につくられた初期巣


ヒメスズメバチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/17 23:58 UTC 版)

ヒメスズメバチ[1]
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ハチ目 Hymenoptera
亜目 : スズメバチ亜目
上科 : スズメバチ上科 Vespoidea
: スズメバチ科 Vespidae
亜科 : スズメバチ亜科 Vespinae
: スズメバチ属 Vespa
: ヒメスズメバチ V.ducalis[1]
学名
Vespa ducalis[1]
Smith1852[1]
和名
ヒメスズメバチ[1]

ヒメスズメバチ学名Vespa ducalis)は、ハチ目スズメバチ科昆虫である[2]

形態

成虫

体長は働きバチで25~33mm、女王バチで32~35mm[1]

亜種ツシマヒメスズメバチ以外は腹部末端の2節は黒く[1][3]、他のスズメバチとの区別は容易とされる[3]

生態

巣の規模は、日本産スズメバチ属の中では最小で[2]、総育房数は100から450程度[1]。巣は木の枝のような開けた場所ではなく、土中や樹洞のような閉鎖空間に造る[1]。働きバチの数は他種に比べ非常に少ない10から40ほどで、営巣期間は短い[1]

主にアシナガバチ属やホソアシナガバチ属の巣を襲い[2]、ヒメスズメバチの巣1つに対し、150から200のアシナガバチの巣が必要とする推定もある[4]

分布

日本(本州・四国・九州・佐渡島伊豆諸島大隅諸島対馬琉球諸島)・台湾・中国・朝鮮・ロシアの沿海州[1]。ただし、沖縄本島では見つかっていない[5]

人間との関わり

攻撃性は低く、スズメバチの中で最もおとなしい[3]。被害報告も最も少ない[3]

学名

種小名のducalisには、「公爵の」や「指導者」という意味がある[3]

以前、本種はVespa tropica(ネッタイヒメスズメバチ)の亜種とされてきたが、後にVespa tropicaは本種とは別種とされている[1][3][2]

亜種

  • Vespa ducalis pulchra 日本本土亜種 Buysson, 1905[3]
本州から北琉球に分布[6]し、四国、九州、佐渡島、屋久島トカラ列島中之島などでも見られる[3]
亜種名のpulchraは「美しい」という意味[3]
  • Vespa ducalis esakii ツシマヒメスズメバチ Sonan, 1935[7]
対馬にのみ分布[7]
亜種名のesakiiは、昆虫学者の江崎悌三にちなむ[7]
他の亜種では黒色の腹部末端節が他のスズメバチのように黄色であり、かつ腹部全体として黒色よりも黄色となっている[7]。性質は本土亜種同様におとなしい[7]
  • Vespa ducalis loochooensis リュウキュウヒメスズメバチ Bequaert, 1936[5]
石垣島西表島に分布[5]
  • Vespa ducalis pseudosoror Van der Vegt, 1959[3]
原名亜種のシノニムとして扱われる場合もある[3]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『日本産有剣ハチ類図鑑』東海大学出版、328頁。ISBN 9784486020752 
  2. ^ a b c d 森林生物 ヒメスズメバチ”. 国立研究開発法人 森林研究・整備機構. 2018年11月12日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 上野高敏. “ヒメスズメバチ”. 九州大学大学院 農学研究院 生物的防除研究施設. 2018年11月12日閲覧。
  4. ^ アシナガバチ一家、襲撃される”. 多摩動物公園昆虫園. 東京ズーネット (2011年9月23日). 2018年11月12日閲覧。
  5. ^ a b c d 上野高敏. “リュウキュウヒメスズメバチ”. 九州大学大学院 農学研究院 生物的防除研究施設. 2018年11月12日閲覧。
  6. ^ a b 平嶋義宏、森本桂『新訂原色昆虫大圖鑑III』(新訂版初版)株式会社北隆館、2008年1月25日。 ISBN 978-4-8326-0827-6 
  7. ^ a b c d e 上野高敏. “ツシマヒメスズメバチ”. 九州大学大学院 農学研究院 生物的防除研究施設. 2018年11月12日閲覧。

外部リンク


ヒメスズメバチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 19:13 UTC 版)

スズメバチ」の記事における「ヒメスズメバチ」の解説

詳細は「ヒメスズメバチ」を参照 ヒメスズメバチ(姫雀蜂Vespa ducalis)は、オオスズメバチに次ぐ大型スズメバチで、体長は24-37mm。尾部が黒いことから他種スズメバチ区別付けられる都会でもよく見られるスズメバチだが、攻撃性大型スズメバチ属の中で最も弱く:70毒性それほど強くない(ただし威嚇性は強く、巣に近づく侵入者周りまとわりつくように飛び回る)。土中樹洞屋根裏等の閉鎖空間に巣を作るが、営巣規模は他のスズメバチ比べはるかに小さく働きバチの数は全盛期でも数十程度:70である。一般的なスズメバチは、サイズ女王蜂>オス>働き蜂の順だが、ヒメスズメバチには特に差は見られない。 ヒメスズメバチの幼虫基本的にアシナガバチ類のさなぎや幼虫のみを餌とするため、成虫アシナガバチの巣を襲って幼虫やさなぎを狩る。このとき、他のスズメバチ類のように筋肉部分だけを切り取って肉団子にするのではなく噛み砕いた獲物体液嗉嚢(そのう)に収めて巣に持ち帰り幼虫与える。また、キイロスズメバチコガタスズメバチなどの巣を襲ってそれらの幼虫やさなぎを狩る様子観察されている。 獲物となるアシナガバチ類の繁殖可能期間が短く、巣の規模個体群密度それほど高くならない日本のような温帯では、上述のように非常に小規模の巣しか形成出来ず貴重な少数働き蜂消耗を防がざるを得ないため攻撃性著しく低い。一方一年中アシナガバチ類が繁殖するため巣の規模個体群密度日本より大きな熱帯アジアでは、ヒメスズメバチの巣の規模著しく大きくなり、攻撃性も他のスズメバチ類と同様に高くなることが知られている。

※この「ヒメスズメバチ」の解説は、「スズメバチ」の解説の一部です。
「ヒメスズメバチ」を含む「スズメバチ」の記事については、「スズメバチ」の概要を参照ください。

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