電動車の発展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 05:20 UTC 版)
1970年代末になると、1/12縮尺の電動車レースの人気が、1/8縮尺燃料車同様に高くなった。当時は競技クラスが1つだけであったので、冬の競技シーズンを通して異質な両車が混走せざるを得なかった。そのために「ウインター・ナショナル・シリーズ」が発足成長し、自作車が多数登場した。 日本では、1976年にはタミヤが、精密な外観を持つプラモデルをベースとした1/12サイズのポルシェ・934のキットでRCカーに参入した。そのシリーズは、機構的にはシンプルなオンロード車であったが、RC用として販売されたシャーシキットは、高価ではあったが、高度に細かく模型化されたスケール感は、発売後1年間で10万台以上の売上を記録し爆発的に売れ(おりしもスーパーカーブームの真っ只中。TV番組の効果も有り、その後発売されるカウンタックやF1などのモデルも顕著な販売を続けることになる)、走行させるために必要なRC装置も同様に売れた。同社は続いて、もっと機能的で本格的な、サスペンションの付いた最初の電動オフロード車「コンバットバギー」を販売した。RCカーの新分野であるオフロードへの進出の始まりで、RCカーは舗装路面でなくても走れるようになり、ファンの人口を急増させることになったが、まだオフロードをガンガン走行させるアクティブ感は無かった。その後、本格的オフロード車は1979年発売の、バギーチャンプとワーゲンオフローダーで、レーシングデューンバギーの形を正確に再現、実車のように機能するサスペンション、強力なモーター、トレッドパターンの付いたオフロードタイヤなどを装備し、RC機構を埃や水分から守る防水機能を搭載した。その後もデューンバギー系の各種のオフロード車ラインナップを増やす一方、実物通りの3速ギヤ、リーフ・スプリング・サスペンションを装備した、トヨタ・ハイラックスも生産した。これらの車は、実物感、耐久性、簡単な組み立て、改造や修理が容易などの特徴があり、1980年代前半に広く普及してブームを作り、現在のRCカー市場の基礎となった。 大量に売れたタミヤ車の中には、デューンバギー系のグラスホッパーやホーネット、巨大トラックのブラックフットやクラッドバスターがある。同社の初期のRCカーは、クラシックRCカーの収集家の間では高い人気があり、未組立状態の美品は30万円以上の高価格で取引されることも珍しくない。このような人気に応えて、2005年以降に多少の変更点を加えた復刻版を出している。 イギリスのSchumacher Racing社は1980年に初めて、多くの路面状況に対応できるLSD効果のある調整式のボール式差動装置を開発した。当時は、大部分のオンロード車の駆動軸は差動装置が付かない固定式であり、オフロード車はLSD効果の無い歯車式の差動装置を使っていた。Associated Electrics社は、1984年にRC10レーシングバギーに追随し採用した。(後記) 1991年タミヤがオフロードバギーを基に、実車に近い縦横比のボディ・リアルなゴムタイヤ・4輪独立サスペンションを装備したオンロード車「ニッサン スカイラインGT-Rニスモ (TA01)」を発売した。当時のオンロード車は競技志向が強く空気力学的に有利になるような実車とはかけ離れた形のボディ、軽量且つ効率を高めるための簡素な構造のサスペンションが主流だったなか、実車の雰囲気を良くあらわしている当製品は画期的だった。後に他社からも同様な構成の製品が多数発売され、バギーブーム以来のRCカーブームが訪れる。4輪独立サスペンションを採用し、リアルなボディ、ゴムタイヤを用いるオンロードカーは、ツーリングカーという新たなジャンルを確立し世界選手権も行われるようになった。
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