雨量計の起源を巡ってとは? わかりやすく解説

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雨量計の起源を巡って

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 23:38 UTC 版)

測雨器」の記事における「雨量計の起源を巡って」の解説

1910年朝鮮総督府観測所初代所長務めていた和田雄治は、「韓国観所学報文」を発行し、「世宗英祖兩朝測雨器」という論文測雨器紹介した。これには英・独・仏語の概要付けられており、日韓のみならず西欧諸国関心を惹いた。それまで西欧では、初め雨量計用いたのはイタリア数学者ベネデット・カステリ(英語版)(1639年)だと信じられていたが、和田朝鮮測雨器がカステリに200年先行していたことを広く認知させた。 韓国北朝鮮において、測雨器世界で初め科学的な気象観測行った輝かし事例としてたびたび言及される:198:167:1285月19日韓国測雨器発明記念する発明の日」に制定されており、2018年5月19日には「蔣英実記念」として測雨器Google Doodle取り上げられた。 測雨器一般に史上初の雨量計だと考えられているが、この見方には異論もある。古来降雨量測定様々な時代様々な文化で(おそらく相互に無関係に行われていた。紀元前4世紀インド書かれた『実利論』には、器に雨水溜めて土地ごとの年間降雨量を測っていたことや、それに即して作物種類選んだことがすでに記録されている。中国では遅くとも南宋時代には雨量測定が行われていた。1247年南宋書かれ数学書『数書九章』の「天地」と題する節では、天地盆と呼ばれる円錐台形の容器溜まった雨水の量を計算する問題扱われていた。問題文には「今日、どの郡・県にも多く天地盆が設置されており、降雨量を知るために役立っている」という記述見受けられる。さらに明代には各地雨量記録皇帝上奏する制度があった。これらの事例は必ずしも専用の器を用いていたとは断言できないが、雨量計起源関連してしばしば紹介される測雨器成立中国先行例影響した可能性指摘されており、議論が行われてきた。1954年中国気象学者竺可楨は、測雨台遺物に清の元号乾隆庚寅」が刻まれていたことを理由に「朝鮮測雨器清代中国製造されたもの」という主張広めた。だが、李氏朝鮮でも清の元号を公式に用いていたため、この説は根拠が薄いと考えられている。また、『数書九章』見られるような雨量計測法が韓国移入され測雨器となった可能性もある。山田慶児朝鮮使節明朝科学技術積極的に学んでいたことを指摘して、「測情報がまったく伝わっていなかったと考えるほうがむしろ難しいようにおもわれると書いている:483Kim Sung Samはこの説に対して反論加え、あくまで朝鮮独自に開発されたと主張している。Kimによれば『数書九章』内容数学上練習問題にすぎず、雨量観測実践されていた証拠はない。さらに、当時中国人には降雨量定量測定という発想がなかったという。 とはいえ、仮に朝鮮測雨器中国起源持っていたとしても、その独自性標準計器制定し科学的な観測行った点にある:170『数書九章』によれば天地盆の形状一定しておらず、明代までの中国文献にも雨量計形状についてほとんど記述がない。したがって標準規格制定という思想や、容器形状円筒形にして測定の便を図るといった創意世宗代の朝鮮帰せられる:483-484。 いずれにせよ近代以前長期にわたる降雨量記録は数少なく気候変動についての貴重な資料となっている。和田測雨器による観測データ月ごとまとめて1917年公刊したが、1990年代研究によってその信頼性確かめられている。2001年には、新たな史料調査基づいて1777年から1907年までの降雨量日変化明らかにされた。

※この「雨量計の起源を巡って」の解説は、「測雨器」の解説の一部です。
「雨量計の起源を巡って」を含む「測雨器」の記事については、「測雨器」の概要を参照ください。

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