関和久官衙遺跡とは? わかりやすく解説

関和久官衙遺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/24 14:16 UTC 版)

関和久官衙遺跡概観。左に南門、右奥に東門が所在。
関和久
官衙遺跡
関和久官衙遺跡の位置

関和久官衙遺跡(せきわくかんがいせき)は、福島県西白河郡泉崎村関和久にある古代官衙遺跡白河市借宿の借宿廃寺跡と共に国の史跡白河官衙遺跡群(しらかわかんがいせきぐん)」を構成する[1][2]陸奥国白河郡郡家跡と推定されるほか、白河関を統括する施設とする説もある[3]

概要

出土品
白河市歴史民俗資料館展示。

本遺跡は、阿武隈川の北岸にあり、川が形成した沖積地から河岸段丘上にかけて立地し、東西270メートル、南北約460メートルの長方形をしている。

この遺跡で採取された古瓦が大正末年に学会に紹介され、世に知られるようになった。その後も有志らによって、現地調査や出土遺物の集成が行われ、礎石が確認された。また、古瓦が多賀城で使われている瓦との類似が指摘され、本遺跡の性格付けについて論議された。

1965年昭和40年)以降に実施された発掘調査で、白河郡家であることが分かり、1984年(昭和59年)7月、国の史跡に指定された。

遺跡は長方形であり、その周りを大溝が廻っている。また、遺跡の中程を東西に川が流れており、遺跡を南北に分けている。南側の一帯から多くの倉庫建物が見つかっている。7世紀末か8世紀初めに、創建当時掘立柱建物であった倉が全面的に建て替えられ、礎石建ちの倉に建て替えられている。いずれも瓦葺きであり、校倉造高床建物であったと推定されている。これらの倉は南北に6軒、東西に3軒が整然と建てられている。その周辺から焼け籾が大量に出土していることから、税として納められた籾が収納されていたと考えられている。一方、北側一帯からは多くの掘立柱建物が見つかっている。ここは古代の役人が戸籍作りや税の出納事務を行った場所であり、この遺跡の中心的施設と考えられている。この一帯では中央部を掘で囲み、8世紀後半には東西に建物を配置する方式が出来上がり、9世紀にはもっと整備され、南や東の塀に門が取り付けられ、内部には2軒の桁行5間、梁行2軒の掘立柱建物を中心に、数軒の建物が配置される。これらの建物群は9世紀の後半に焼失し、10世紀前半に再興されるが、同世紀のうちに廃絶してしまう。

文化財

国の史跡

  • 関和久官衙遺跡(史跡「白河官衙遺跡群」のうち)
    1984年(昭和59年)7月21日 、「関和久官衙遺跡」として国の史跡に指定。
    2010年(平成22年)8月5日、史跡「関和久官衙遺跡」に借宿廃寺跡を追加指定して、指定名称を「白河官衙遺跡群」に変更。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 文化庁. “白河官衙遺跡群・関和久官衙遺跡・借宿廃寺跡”. 文化遺産オンライン. 2022年11月24日閲覧。
  2. ^ 泉崎村教育課. “関和久官衙遺跡”. 泉崎村. 2022年11月24日閲覧。
  3. ^ 高橋富雄「白河関と関和久遺跡」、『日本歴史』491号、1989年4月。木本雅康「古代伝路の復元と問題点」、『古代交通研究』7号、1997年。

参考文献

  • 辻秀人 著「関和久官衙遺跡」、文化庁文化財保護部史跡研究会監修 編 『図説 日本の史跡 第4巻 古代1』同朋舎出版、1991年。ISBN 978-4-8104-0927-7 

関連項目

外部リンク

座標: 北緯37度7分43.4秒 東経140度18分37.7秒 / 北緯37.128722度 東経140.310472度 / 37.128722; 140.310472




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