金沢文庫本とは? わかりやすく解説

金沢文庫本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 01:18 UTC 版)

白氏文集」の記事における「金沢文庫本」の解説

留学僧・恵萼会昌4年844年)に蘇州南禅院訪れ白居易直筆白氏文集』を寺僧協力得て書写し、承和14年847年)に帰国して齎した。博士家菅家)に伝えられたものを鎌倉初期寛喜3年1231年)頃~貞永2年1233年)にかけて、豊原奉重が一部(巻225463など)を自らの手で、残りは傭筆で書写し、全巻校正おこなった嘉禎2年1236年)に唐本以て校点を加え、更に建長4年1252年)に「貴所冷泉宮)」の御本以て再度校点を施した。これらは紀伝点が施されており、渋引表紙の装丁で奉重の外題手筆された巻子本であった想定される。のち、設立後間もない時期金沢文庫収められ、金沢文庫本『白氏文集』の中核となった。現在、奉重本として残るものは23巻あるが、「金沢文庫本」と称される白氏文集』は、奉重本の他に平安後期写本(数種あり)、江戸時代写本など年代伝来異にする諸本含んでいるため、区別が必要である。 その後伝来不明であるが、『経籍訪古志』には、活字本刊行した那波道円関わりの深い林羅山が、金沢文庫本を用いて途中まで校正おこなった旨が記載されており、京都公家何某かの手にあった推測されている。また慶長期(1596-1614年)までに一部流出しているが、それまでにも何度書写されたと考えられている。 金沢文庫本『白氏文集』は、明治になって大部分田中勘兵衛教忠の手渡り角坊(すみのぼう)文庫)、大正6年1917年1月26巻中の20巻和田維四郎)により久原文庫購入された。田中家残存6巻の内、巻23三井右衛門譲渡されたが、それ以外5巻は子・忠三郎、孫・穣と継承最終的に国に移管され、国立歴史民俗博物館収蔵された(「田中穣氏旧蔵典籍古文書」)。久原文庫購入20巻は、一時京都帝国大学図書館寄託されたのち、昭和22年1947年)に東急電鉄主宰五島慶太購入し大東急編成記念図書館所蔵となった三井右衛門譲渡された巻23は、既に三井家にあった38別本重複巻)と併せ平成23年2011年秋に三井依子新町三井家)より三井文庫寄贈され三井記念美術館収蔵している。また江戸後期考証学狩谷棭斎旧蔵の巻28および巻33があり、巻28久原文庫収蔵され、巻33天理大学附属天理図書館所蔵されている。この他保阪潤治旧蔵の巻40があるが、田中家から分離したのであるかは分かっていない。現在の所在不明

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金沢文庫本

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金沢文庫」の記事における「金沢文庫本」の解説

「金沢文庫本」は金沢実時、貞顕らが収集した典籍で、「金沢文庫」という蔵書印のある書物古くから有名であった。かつての蔵書はほとんどが散逸しており、一部各所所蔵されている。文化財指定されているものも多い。 文庫印が金沢氏の代に押され確証はなく、いつ、何の目的押されたかも不明であるが、室町時代文庫流出危惧した称名寺の僧らが押したではないかとも言われている。室町時代にも金沢氏旧蔵書称名寺蔵書と一応区別して保管されていたと見られる徳川家康持ち出した蔵書多く、現在、国立公文書館内閣文庫宮内庁書陵部蓬左文庫などに所蔵されている。 以下、各所に残る「金沢文庫本」を概観する文庫印のあるもの、及び(文庫印がなくても)実時、貞顕らの奥書がある写本も含む。

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