酒造米の精米歩合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/23 17:33 UTC 版)
酒造ではあまり「米を削る」と言わず、「米を磨く」と言うほうが多い。 一般に、この精米によって、米は、糠、また糠以外における籾の外側の環境に近い部分(糠部の成分及び田の土からの揮発・飛散した成分の吸収がある。要するに田の泥の成分が微量に(だがより内部の部分よりはずっと多く)混じり込んだ部分である。)の排除が行われ、またミネラル(※金属の他、塩素、硫黄なども広義のミネラルに含まれる。)や脂質、アミノ酸分(酒においては元々の米外側部分が持っていたアミノ酸分は雑味として捉えられる事が多い。(もっとも、この部分による重厚なアミノ酸成分の味を活かした酒造りもある。(良い意味での)泥臭さ、日本酒くささ、という表現が用いられる場合、このアミノ酸成分による重厚さ・味の複雑さ・米の成分を感じさせる性質の言及となっている可能性がある。またアミノ酸分は辛さ・切れ味にも関係がある。))の多い米粒外側の部分を削られ、酒にした時の性質が向上していく。 食用米の精米機と酒造米の精米機は構造的に大きく異なる部分があり、後者は昭和初期に縦型精米機が出現して以降、飛躍的に効率が高まった。真精米歩合など高い精度の精米が必要とされる大吟醸酒の醸造などのためには、今日ではコンピュータ制御の精米機が使われることもある。 1989年(平成元年)から2003年(平成15年)12月31日まで、日本酒の精米歩合は以下のように規定されていた。 普通酒 - 規程無し(一般に73~75%程度) 本醸造酒 - 70%以下 純米酒 - 70%以下 特別本醸造酒 - 60%以下 特別純米酒 - 60%以下 吟醸酒 - 60%以下 大吟醸酒 - 50%以下 しかし、2004年(平成16年)1月1日から、純米酒の精米歩合規定が撤廃された。理由は、それまでの70%以下という規定を満たさなくても、たとえば「お米だけで造った酒」という商品名の清酒のように、米と米麹と水だけを原料とし、純米酒の品質に匹敵する酒が多く流通するようになったため、消費者に選択をまかせるという観点から、純米酒に精米歩合規定を設けることの意味が見失われたためだとされている。[要出典] だが、この撤廃に関しては、普通酒なみに75%程度の精米歩合で純米酒を造ってコストダウンを図っても、味がわからない消費者は喜んで安価な酒を選択し、ひいては酒造技術と品質の低下につながり、ますます日本酒の国内消費減退が進むものとして危惧している専門家も多い。一方で、敢えて精米歩合を普通酒でも稀な80%程度としたことを前面に出した低精白酒も登場し、精米が機械化される以前の伝統的な日本酒が純米酒を名乗れることになったことを歓迎する声もある。[要出典]詳細は日本酒#特定名称酒を参照。 なお、酒造米の精米歩合は、正確には次の3つに分けて考えられる。
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