軌道上での活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/07 08:24 UTC 版)
スカイラブは、総計で171日と13時間に及ぶ3度の有人飛行の間に地球を2,476周した。滞在日数はスカイラブ2号が28日、スカイラブ3号が56日、スカイラブ4号が84日で、どれも1971年6月30日にソ連のソユーズ11号の乗組員がサリュート1号で達成した、23日間の人間の宇宙滞在記録を更新した。この間飛行士らは10回のEVAを実施し、その総活動時間は42時間16分だった。また約2,000時間に及ぶ科学と医療の実験を行い、127,000枚の太陽の写真と46,000枚の地球の写真を撮った:340。太陽観測実験では8回の太陽フレアの写真が撮影され、有益な結果を出した:155。コロナホールの存在はこれによって確認されたもので:357、科学者らはこれらは無人の宇宙機では得ることは不可能だったであろうと述べた:342–344。実験の多くは長期間の微少重力への飛行士の適合性を調査するために行われた。 1日は通常、米中部標準時の午前6時に始まった:307–308。トイレは小さくうるさかったが、宇宙開発初期のころの粗末な収集式のトイレを経験したことのあるベテランや、あるいは新人たちも不満は述べなかった:165,307:80。最初のころは飛行士らは一週間に一度シャワーを浴びたが、無重力状態の中で体を拭いたり余分な水滴を吸引して集めたりするのは困難であることがわかったため、後にはシャワーの代わりに一日に一度濡れタオルで体を拭くようになった。また無重力の中で靴下をはいたり靴ひもを結ぶために体を曲げると、腹筋に大きな負担がかかることも判明した:306–308。 朝食は午前7時に予定されていた。無重力状態で座った姿勢をとることもまた腹筋に負担をかけることがわかったので、飛行士らは立った姿勢で食事した。食事はアポロのころよりは大幅に改善されていたが、味が薄く内容もマンネリだと報告された。また無重力の中で食事をすると、食器や容器や食べ物のかけらが漂いだしてしまうことがあった。さらに水を飲むときに一緒に空気を飲み込むと、放屁の原因になった。朝食後には、昼食の準備、実験、試験、船体の修理などを行い、可能であれば90分間の身体運動などもした。船内には自転車などの運動器具もあり、また内壁の水タンクの上を歩いたりすることもできた。午後6時にスケジュールされている夕食のあとは、飛行士らは家事や翌日の実験の準備などをした。1日の業務指示はテレタイプ端末で地上から送られてきて、時にはその長さは15メートルにも達した。飛行士らは、睡眠時間を削らなければならなくなるほど忙しくなることもよくあった:309,334:2–7。 スカイラブの飛行は、どれも人間の宇宙滞在時間の記録を更新した。後の研究で、ステーションには十分な個室がありプライバシーも守られていたことから「飛行士にとってきわめて満足のいく居住および作業環境だった」と評された:2–4。船内には本や音楽プレーヤーに加えダーツやトランプなどの娯楽用具もあったが、飛行士にとっては窓から地球を眺めるのが最も好まれたリラックス法だった:79–80,134–135。
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