超国家組織の反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 17:26 UTC 版)
「ウイグル人大量虐殺」の記事における「超国家組織の反応」の解説
国際社会の反応は様々で、数十の国連加盟国が2020年に新疆における中国の政策を支持・非難する反対書簡を国連人権理事会に提出している。2020年12月、国際刑事裁判所は、疑われている犯罪のほとんどについて中国に管轄権がないことを理由に、中国に対する捜査措置をとることを断念した。 2021年6月22日に開かれた国連人権理事会で、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、日本、アメリカなど40カ国超が、新疆ウイグル自治区の人権状況について「深刻な懸念を抱いている」との共同声明を発表し、国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレの新疆ウイグル自治区訪問と調査を受け入れるよう中国に要求した。声明は「信頼できる報告では、新疆で100万人超が恣意的に拘束され、ウイグル族やその他少数民族に偏った監視が広がり、基本的な自由やウイグル文化への制限を示している」として、拷問や強制不妊手術や性的暴行や子供を親から引き離すなどの報告もあるとし、さらに「国家安全維持法下での香港の基本的自由悪化とチベットでの人権状況を引き続き深く懸念している」とも指摘した。 2021年6月10日、アムネスティは、ウイグル人などイスラム教徒の少数民族が暮らす新疆ウイグル自治区で、中国政府が人道に対する罪を犯しており、中国政府がウイグル人やカザフ人などイスラム教徒の少数民族に対し、集団拘束や監視、拷問をしていたとする報告書を公表した。報告書では、「中国当局が地獄のような恐ろしい光景を圧倒的な規模で作り出している」「ものすごい人数が強制収容所で洗脳、拷問などの人格を破壊するような扱いを受け、何百万人もが強大な監視機関におびえながら暮らしており、人間の良心が問われている」「(中国政府の行動は)新疆の人口の一部を宗教と民族に基づいてまとめて標的にし、イスラム教の信仰とテュルク系民族のイスラム教文化の風習を根絶するため厳しい暴力と脅しを使うという明らかな意図」「(強制収容所に入れられた人が)止まることのない洗脳と、身体的かつ心理的拷問を受けている」として、中国政府は「少なくとも以下の人道に対する罪」を犯しており、「国際法の基本ルールに違反する、収監など厳格な身体的自由の剥奪」「拷問」「迫害」を挙げ、拷問の方法として「殴打、電気ショック、負荷が強い姿勢を取らせる、違法な身体拘束(「タイガーチェア」と呼ばれる鉄製のいすに座らせ手足をロックして動けなくする)、睡眠妨害、身体を壁のフックにかける、極めて低温の環境に置く、独房に入れる」などがあり、タイガーチェアを使った拷問は、数時間~数日にわたることもあり、その様子を強制的に見せられたという証言も得たとしている。また、中国政府は強制収容所で行われているのは「職業訓練」であり、テロ対策として過激思想を解いたりするためのものだと主張しているが、アムネスティは、テロ対策は集団拘束の理由にならないと報告書で反論し、新疆ウイグル自治区の収容制度について、「中国の司法制度や国内の法律の管轄外で運営され」、強制収容所で拘束されていた人々が刑務所に移されたことを示す証拠があると主張した。 しかし2021年初めに米国務省法律顧問室は中国の行為は人道に対する罪に相当するものの、ジェノサイド条約は対象集団を生物学的または身体的に破壊する意図が加害者になくてはならないと決定していることから、立証が極めて難しくジェノサイドであることを証明する十分な根拠は存在しないとの結論を下した。
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