議会での動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 09:00 UTC 版)
「ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法」の記事における「議会での動き」の解説
オバマの提案を受けて起草された法律案は、ほぼ当該提案に沿ったものであったが、いくつかの追加条項や実施上の相違はあった。 ボルカー・ルールは2009年6月のオバマの当初の提案には含まれていなかったが、2010年1月に、すでに下院が法律案を可決した後にオバマはこのルールを提案した。このルールは、預金を取り扱う銀行が自己勘定取引を行うことを禁止するものであるが(グラス・スティーガル法における投資銀行と商業銀行の兼業禁止と類似するもの。)、これは上院でのみ可決され、協議委員会によってこのルールが緩和されることになった。すなわち、法律案619条においては、銀行はTier1資本の3%までプライベート・エクイティ・ファンドおよびヘッジ・ファンドに投資することを許容され、かつ、ヘッジ目的での取引もまた許容された。 最初の内容の法律案が12月に下院で党路線に従い223対202で可決され、その後上院で修正された内容が2010年5月に58対39で可決された が、これもまた党路線に従ったものであった。この法律案は、協議委員会(conference committee)に付され、そこでは上院で可決された法案がベースとして用いられた が、下院で可決された法案の条項も一部ベースとされた。 ある規定について、ホワイトハウスは立場を示さず、そのまま最終的な法案に至った。それは、証券取引委員会(SEC)に対して委任状アクセスに関する規則を定めさせるものであった。すなわち、一定の資格を満たす株主(株主グループを含む。)は、会社による株主向けの委任状説明書を改訂し、自らの取締役候補者を掲載させることとし、その規則をSECが定めるというものである。このルールは協議委員会においてがクリス・ドッドにより(ホワイトハウスの圧力の下で)反対され、委任状アクセスにより取締役候補者を掲載させることができる株主を、当該会社の株式の5%以上を2年間以上を保有する単独株主に限るとの提案がなされたが、これは不首尾に終わった。 ダービン修正(Durbin Amendment) は、最終法案における規定であり、デビット・カードのインターチェンジ・フィーと、支払処理における競争増加を図るものである。この規定は下院の法律案にはなく、ディック・ダービンによる上院の法律案に対する修正によるものであり、これに反対するロビイング活動をもたらした。この規定は、資産100億ドル超の銀行に適用があるもので、そのような銀行はデビット・カードについて「合理的で」取引処理の「実際の費用に対して比例的な」インターチェンジ・フィーを課さなければならないこととなる。この修正は反競争的な実務を規制して競争を奨励することを図るもので、小売店に対して少額購入についてはクレジット・カードの利用を拒絶することを許容しキャッシュ・カードやその他の種類のカードのインセンティブを与えるための規定も含むものであった。 ダービン修正は、連邦準備制度理事会(FRB)に対して、デビット・カードのインタチェンジ・フィーに対する規制権限を与えるものでもある。2010年12月16日にはFRBはインターチェンジ・フィーの上限額としてデビット・カード取引ごとに12セントを提案したが、これはCardHub.comの見積りによれば大銀行にとって年間140億ドルの損失となるものであった。2011年6月29日にFRBが発表した最終的な規則においては、単一のデビット・カード取引から発行会社が受領できるインターチェンジ・フィーの上限額は、12セントに、取引額に5ベーシスポイントを乗じたものを加えたものとされた。この規則はまた発行会社に対して、一定の詐欺予防措置を講じた場合にはインターチェンジ・フィーを5セント増額することを許容するものである。これが可能な発行会社は、したがって、FRBによれば、平均的なデビット・カード取引(取引価額38ドル)から24セントのインターチェンジ・フィーを得ることができることとなる。この上限額(事前に公表されていたとおり2011年7月21日ではなく2011年10月1日施行された。)は、CardHub.comによれば概算で年間94億ドルものフィー減額をもたらした。インターチェンジ・フィーからの収入が政府により規制された結果として、銀行はその補塡として口座維持手数料を増額することとした。 ニューヨーク・タイムズは、調整前の両院の法律案の比較を公表した。2010年6月25日、協議委員会は両院の法律案の調整を完了し、4日後に協議報告書を提出した。協議委員会はこの法律の名を「2010年アメリカ金融安定復活法」(Restoring American Financial Stability Act of 2010)から変更した。2010年6月30日には下院が協議報告書を237対192で可決し、7月15日には上院が60対39で可決した。この法律案は、2010年7月21日にオバマ大統領によって署名され、法律として成立した。
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