警察の対応への批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 18:43 UTC 版)
「熊谷連続殺人事件」の記事における「警察の対応への批判」の解説
任意同行ではあったが逃走を許したこと、住居侵入のみの時点で身柄が確保できなかったこと、さらに14日の殺人事件が起きたとき、関係性は不明ながらも当然ながら13日に逃走した男との関係が強く疑われ、住民への周知や検問などの対策がされるべきだったが、それらを行わなかったことにより、警察のミスが事態を深刻化させた可能性があると指摘されている。埼玉県警の捜査1課長は追わなかった理由を「犯罪の疑いがなかったから」としたが、熊谷署幹部は男が署内に持ち物を置いたまま赤信号を無視して逃走したことについて、「見つけないといけない特異事例との認識を持っていた」と明かしているほか、元警視庁捜査1課長の男性は「任意とはいえ、監視に問題があった。弁解の余地がない」「逃げたということは重大事件に関与している可能性も考えられる。県警を挙げて行方を捜すべきだった」と批判している。 埼玉県警察は「一連の対応に不備はなかった」との一点張りだが、日本大学名誉教授の板倉宏(刑法)は「大いに問題です。取り逃がさなければ、あんな事態にはならなかった。逃亡後、なぜ追わなかったのか」「取り逃がしは明らかにミス。浦和署員の殺人も含め、県警幹部の責任問題に発展するかもしれない」、甲南大学法科大学院教授の渡辺修(刑事訴訟法)は「警察から逃亡した不審者で挙動もおかしかった以上、自殺、事故、犯罪など不測の事態に備え、緊急配備するなど急いで身柄を確保する責任が県警にあった」「現代社会では、犯罪が起きてから動くよりも、防犯を重視する警察活動が重要。警察の意識改革が必要だ」と指摘した。また犯罪ジャーナリストの小川泰平(元神奈川県警刑事)は「外国人に事情を聞くときは逃走の可能性を視野に入れておくのが鉄則。不法滞在などの問題を抱えていた場合、強制送還を恐れて必死で逃げる。私が任意で話を聴いていた外国人は、交通量の多い国道1号を全力疾走で横切って逃げた。彼らは命がけなんです」「県警はこの男性が犯人だとにらんでいたはずだ。近隣住民に『不審な外国人が出没しているから注意してください』と広報したり、機動隊を投入して警戒を強めたりするべきだった」と述べた。 警察庁の金高雅仁長官は、被疑者が任意の事情聴取を受けていた際に逃走した件については「この時点では何らかの犯罪への関与は認められず、署に留める根拠はなかった」(刑事訴訟法の逮捕の要件や警察官職務執行法第3条の保護の要件に該当しない者を、強制力を用いて留置することはできない)とする一方、「非常に重い結果が生じている。県警は懸命に対応したと承知しているが、防ぐことができなかったかという観点から事案をよく見ていく必要がある」と述べ、埼玉県警の対応に問題がなかったか検証する必要があるとの考えを示した。 このように、埼玉県警熊谷署の不手際が指摘されているうえ、12日には同浦和署地域課の巡査部長が不倫相手との交際費捻出のために職権を悪用し、住居侵入及び殺人を行った疑いで逮捕(後に懲戒免職・強盗殺人及び住居侵入で起訴)されており(また、この事件を受けて会見を開いた本部長は「被害者」を「被疑者」と言い間違えたほか、部下への指導姿勢が問題視されたことがあった)、埼玉県警には12日から17日夕方の間だけで100件を超える苦情が殺到した。
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