警察の対応をめぐって
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 16:35 UTC 版)
「愛知長久手町立てこもり発砲事件」の記事における「警察の対応をめぐって」の解説
この事件で愛知県警察が行った捜査指揮に関して、報道・有識者・警察関係者などから批判が出ている。 かつてあさま山荘事件などの捜査指揮に携わった佐々淳行は愛知県警察の事件対応について、「強硬策をとるべきだった」として強く非難している。 一部ではこの事件について警察に対して、以下のような問題点が挙げられている。 民家の玄関付近で首を撃たれたまま動けなくなっていた交番勤務の巡査部長を放置したこと。撃たれた巡査部長に対して警察官が愛知県警察の緊急無線を使用して2時間ほど交信を行っていたが、巡査部長が弱って音信不通になっても3時間放置し、撃たれてから合計5時間以上も救出に行かなかった。 警察官救出時にSAT隊員が撃たれ、死亡した後も、狙撃や突入といった決断ができなかったこと。 ただし、警察側を擁護する以下のような見解もある。 犯人がテレビやラジオでニュースを聞いていたり見ていたりする可能性のある状況で、マスメディアは隠密での警察の動きを空撮やフラッシュ撮影を含め事件の様子を詳細に生中継で報道しており、犯人に警察の動きが読まれる可能性があった。 敷地内にセンサーライトが設置されていた、庭に1匹、室内に2匹の犬がいた、などの悪条件が重なり、解決が遅れた。 犯人はSAT隊員をブラインド越しに銃撃していたため、外からは姿がみえず、人質を盾にしている可能性があったので警察は反撃できなかった。 この事件について警察庁は、2007年6月15日、事件への対応をめぐる検証結果を愛知県警察から報告を受け公表した。 検証では負傷した警察官の救出に5時間以上がかかったことについて「時間短縮の余地があった」と結論づけた。またSATの隊員が殉職したことについては、「(捜査幹部が)現場に配置された各部隊に対し、より一層きめ細かな指示を行うことに配慮する必要があった」と指摘し、「防弾用装備品の改良も必要」とした。さらに、発砲事件発生の一報を受けて現場に向かった警察官が撃たれたことについては、「死傷事故防止への配慮を徹底する必要があった」とのことであった。 読売新聞2007年7月11日朝刊に掲載された記事によると、「事件発生から4時間半後に、刑事部長が県警本部長に対して、救出作戦を電話で報告するまで、検討中の作戦案の内容や議論の進み具合が報告されることはなく、本部長も報告を求めなかった」とされている。さらに、同紙によれば、刑事部長が県警本部長に対して報告した救出作戦の内容は、「SATが遠距離と近距離から狙撃支援を行う」といった程度のもので、具体的な報告は行われなかったとされている。また、現場には170人もの警察官が動員されていたが、トイレは大用・小用ともに1台ずつしか用意していなかった。緊張から多くの警察官がこのトイレを使用したが、これが作戦開始が遅れる一因になったとしている。
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