調理方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 10:07 UTC 版)
単独調理方式(自校方式) 学校に給食室を設置して校内で給食を調理する方式。長所自校で調理するので配送コストが不要である。 食数が少ないため万一食中毒が発生した場合でも最小限の影響に食い止めることができる。 給食の適温提供に適している。 調理者との交流や調理過程の学習を行うことができる。 短縮授業等の場合でも柔軟に対応することができる。 停電や断水など非常時の被害があっても最小限に食い止めることができる。 災害時には学校が避難所になる可能性が高く、炊き出し拠点として利用できる。 幼稚園や保育所は自治体の規定により緊急時を除き基本的に自校又は親子方式である。 学校が隣接又は近隣に所在している場合は他校の分も一緒に調理する事が多い。これを親子方式という。 短所設備投資のために多大な初期投資を要する。 人件費や維持管理費などに多額の費用を要する。 給食室の運営管理のため各校の事務負担が増大する。 共同調理場方式(給食センター方式) 複数の学校の給食を1つの調理場で調理し、専用の配送車で各学校へ配食する方式。長所施設・設備・人件費や給食事務を合理化して経費を節減できる。 短所給食施設の用地確保が必要となり、調理施設が「工場」扱いとなり用途地域の制約を受ける。 給食施設が大きくなるため建設に時間がかかる。 各校までの配送経費が必要となる。 配送車両の積載室を設ける必要があり、配送中・配送先での衛生管理が必要となる。 各校への距離と配送時間の関係から調理時間が限られ献立に制限がある。 給食を食べるまでに時間があるため温度管理などが難しい。配送時間が長くなると献立によっては食味を損なう。 各校の献立に対する要望が反映されにくい。 食中毒が発生した場合には広範囲に及んでしまう。 外部委託方式(デリバリー方式) 外部の給食業者に委託し給食業務を分散して行う方式。 食缶で提供する方式と弁当箱で提供する方式がある。長所既存の民間企業の施設を利用するため設備投資費用や人件費を抑制できる。 弁当で提供する方式の場合、短時間で配膳することができる。 弁当で提供する方式の場合、食数の流動化に柔軟に対応できる。 短所各校までの配送経費が必要となる。 配送車両の積載室を設ける必要があり、配送中・配送先での衛生管理が必要となる。 食缶で提供する方式の場合、弁当で提供する場合に比べて配膳に時間がかかる。 食缶で提供する方式の場合、配送時間が長くなると献立によっては食味を損なう。 弁当で提供する方式の場合、衛生管理上、副食についてはいったん冷却する必要がある。国の衛生管理基準等に基づくもので、副食については食中毒防止のため、調理後摂氏10度以下に急速冷却し、学校に運搬して配膳室の冷蔵庫で管理する。 給食は、長らく施設の一部として管理運営がなされてきたが、非効率的であるとして管理運営の一部を給食産業へ委託するケースも見られるようになってきた。「外部委託により質の低下が起こるのではないか」と保護者の心配もあり、実際に異物混入や大量の食べ残しが発生しているところもある(#外部委託による問題)。そのため自治体と保護者などが協議会を作り、委託状況を監視している所もある。その一方で、学校給食は、学校の地位を高めるとして、同志社小学校と立命館小学校ではホテルに給食を委託したり、神奈川県横浜市では「ハマ弁」と称し複数業者による多彩な組み合わせによる給食提供が行われている。 このほか、おかずの調理は単独調理で行うが主食の米飯、パンなどは給食センターから配送されるハイブリッド方式や、親子方式と呼ばれる方式(1校の給食室で調理した給食を近隣校にも配送する方式)がある。
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