計算機科学における経歴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 15:37 UTC 版)
「ジョン・マッカーシー」の記事における「計算機科学における経歴」の解説
卒業後はプリンストン大学で短期間勤めた後、1955年にダートマス大学で助教授となり、マサチューセッツ工科大学に移り、1962年にはスタンフォード大学で教授となった。その後は2000年に引退するまでスタンフォード大学に勤務し、その後も名誉教授としてとどまった。マサチューセッツ工科大学に勤めていたころには既に学生から愛情をこめて「アンクル・ジョン」と呼ばれていた。また、ハッカー文化で有名なMITのテック鉄道模型クラブ(英語版) (TRMC) のメンバーでもあった。 マッカーシーは人工知能のために数理論理学を使って知識を表現することに尽力した。1956年、人工知能 (AI) に関する世界初の国際会議を主催。この会議に参加したマービン・ミンスキーもAI研究者となり、1959年にはMITでマッカーシーに合流した。1956年秋、マッカーシーはMITの研究奨学金を得た。その後ALGOL設計委員会の委員を務めている。ALGOLはその後主流となる様々な新たな要素をプログラミング言語にもたらし、大きな影響を及ぼした。1958年には advice taker を提案し、それが後の質問応答システムや論理プログラミングに影響を与えることとなった。1959年、LISPにおける問題を解決する手段として「ガベージコレクション」技法を発明。ラムダ計算に基づくLISPは、1960年に発表されると、AIアプリケーションのためのプログラミング言語として使われはじめた。彼は MIT で Project MAC の創設に関わったが、1962年にスタンフォード大学で職を得て MIT を離れた。スタンフォード大学では Project MAC のライバルとなるスタンフォード人工知能研究所の設立に関与した。 1961年、マッカーシーは MIT の100周年記念式典でのスピーチで、タイムシェアリングシステムの技術によって(水道や電力のように)コンピュータの能力や特定のアプリケーションを販売するビジネスモデルを生み出すかもしれないと述べた。このいわゆる「コンピュータユーティリティ」という考え方は1960年代後半には非常に人気となったが、当時のハードウェアもソフトウェアも通信技術も未熟であったために1970年代中ごろには消えていった。しかし、21世紀になるとこの考え方はアプリケーションサービスプロバイダにはじまり、グリッド・コンピューティングを経てクラウドコンピューティングへと昇華し再浮上してきている。同僚のレスター・アーネストはロサンゼルス・タイムズ紙で「ジョンがタイムシェアリングシステムを開発しなければ、インターネットの発展はもっと遅れていただろう。タイムシェアリングは様々な呼称で呼ばれてきた。サーバと呼ばれるようになり、今ではクラウドコンピューティングと呼ばれているが、それらはジョンが始めたタイムシェアリングそのものだ」と述べている。 マッカーシーの指導でアラン・コトックが開発したチェスプログラムは1966年、ソビエト連邦が開発したチェスプログラムと史上初のコンピュータ同士で対戦した。結果はマッカーシー側の2敗2分だった。 1969年には、パトリック・ヘイズと共に人工知能の分野で常に議論の対象となるフレーム問題を提唱する。 1978年から1986年にかけて、非単調論理におけるサーカムスクリプション(英語版)の手法を開発。 1982年、「スペースファウンテン」と呼ばれる軌道エレベータの一種を考案した。 ジョン・マッカーシーはしばしばネットニュース上で世界情勢についてコメントした。彼の考え方は自身の持続可能性 (Sustainability) に関する Web ページでも部分的にわかる。それは、「人の物質的な進歩が望ましく、持続可能であることを示すため」のページである。彼は真面目な読書家で楽天主義者であり、言論の自由の忠実な支持者だった。ネットニュースでは特に rec.arts.books での発言が多く、同カテゴリのサンフランシスコ周辺の読者の(今で言う)オフ会に参加したこともある。 2001年には短編小説 "The Robot and the Baby" を発表している。これは、ロボットが感情を持てるかという問題をコミカルに扱ったもので、今後インターネットやソーシャル・ネットワーキングがさらに重要になってくるだろうという予測を交えて書かれている。
※この「計算機科学における経歴」の解説は、「ジョン・マッカーシー」の解説の一部です。
「計算機科学における経歴」を含む「ジョン・マッカーシー」の記事については、「ジョン・マッカーシー」の概要を参照ください。
- 計算機科学における経歴のページへのリンク