製造と試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 03:46 UTC 版)
ボーイングは757の最終組み立てラインを707、727、737を生産していたワシントン州のレントン工場に設けた。開発プログラムの初期にボーイングとブリティッシュ・エアウェイズ、ロールス・ロイスの3社は英国の航空機メーカーにも757の主翼の生産に参加するよう働きかけたが、話はまとまらなかった。結局、主翼、機首部、尾翼を含む機体の約半分がボーイングの自社設備で生産され、残りの部分は主に米国を拠点とする下請け企業によって生産された。フェアチャイルド社は前縁スラット、グラマン社はフラップ、ロックウェル・インターナショナル社は主胴体を生産・供給した。この新しいナローボディ機の生産立ち上げは、在来機種である727の生産縮小と歩調を合わせて行われ、1981年1月に初号機の最終組み立てが開始された。 757のプロトタイプは1982年1月13日にレントン工場にてロールアウトした。この機体はRB211-535Cエンジンを装備し、計画よりも1週間前倒しされ1982年2月19日に初飛行が行われた。この初飛行では油圧低下の表示に続いてエンジンストールが発生した。ボーイングのテストパイロットはシステムによる診断内容を確認してからエンジンの再始動に成功し、以降は正常に飛行した。その後、この初号機は週7日のスケジュールで試験飛行を行った。この時までに、エア・フロリダ、アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、デルタ航空、イースタン航空、モナーク航空、トランス・ブラジル航空の7社から計136機の受注を獲得していた。 7か月におよぶ757の試験飛行には初号機から5号機までの5機が投入された。試験内容には飛行システム・推進システムの試験、高温・低温気象下での試験、路線実証飛行が含まれた。767の開発過程で得られたデータも活用された。設計上の問題点が洗い出された後、757の非常口ドアには取り扱いを簡単にするために2重ばね構造が採用されたほか、バードストライクに備えて胴体が強化された。実際に製造された機体は、当初の計画値よりも1,630キログラム軽くなったほか、燃料消費率が3パーセント向上した。このことにより航続距離が200海里(370キロメートル)延び、ボーイングは、ますます757の経済性を宣伝するようになった。1,380時間の試験飛行の後、1982年12月21日にRB211エンジン搭載仕様の757に対して米国の連邦航空局(Federal Aviation Administration、以下FAA)の型式証明が交付され、続く1983年1月14日には英国の民間航空局(Civil Aviation Authority)の型式証明を取得した。最初の引き渡しはローンチカスタマーのイースタン航空に対して1982年12月22日に行われた。これは767の初引き渡しの約6か月後のことであった。PW2037エンジン仕様の最初の757は約1年後にロールアウトし、1984年11月5日にデルタ航空に対して引き渡された。
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