花の進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 00:12 UTC 版)
種子植物がシダ植物から進化するに伴い、雄蕊は小胞子のうをつける胞子葉が、雌蕊は大胞子のうをつける胞子葉が各々変化してできたと考えられる。また、花びら、萼も葉が起源のものと考えられる。 被子植物の花が、どのようにして進化したかについては、大きく2説がある。 1雄蕊1雌蕊1花被1の花を原始的なものと見なし、次第に複雑な構造のものが出現したとする説で、新エングラー体系の根拠となっている。 軸を中心に多数の雄蕊、雌蕊、花被が螺旋状に並んだ花を原始的なものと見なし、次第にその形が整理されてきたと見なすもので、クロンキスト体系はこれを基礎とする。 クロンキスト体系では、双子葉植物綱ではキク目を最も進化したものとし、単子葉植物綱ではラン目を最も進化したものとする。
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花の進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 09:06 UTC 版)
花は変化した葉であり、被子植物(顕花植物)の化石が出現するのは比較的遅い。ソテツ綱やグネツム綱などには、球果を覆う構造で、カラフルだったり、尖っていたりするものがあり、これらを考慮すると「花」の正確な定義は難しくなる。 ソテツ類 イチョウ属 球果植物門 被子植物 ベネチテス目 グネツム綱 被子植物 被子植物 裸子植物 ソテツ類 ベネチテス目 イチョウ属 球果植物門 グネツム綱 古来の見方現在の見方被子植物と裸子植物の系統「en:Gnetophyta#Classification」を参照 長いあいだ、被子植物は、裸子植物の中から進化したと考えられてきた。伝統的な形態学的観点によれば、顕花植物はグネツム綱と同列に置かれる。しかしながら、上記でも触れたように、近年の分子系統学的研究は、この仮説と適合しない。そしてグネツム綱は、被子植物より、同じ裸子植物とより近い関係にある。また現生の裸子植物は被子植物と別の分類群を作り、それらは約3億年前に分岐したことになっている。 花の進化を解明するためには、被子植物のステムグループの特定が最重要である。ステムグループは、現在の状態に至る初期の「分岐」についての情報を与える。収斂はステムグループを誤認するリスクを高める。大例えば、伝統的な観点では、花はグネツム類の類似の構造から派生したと考えられてきたが、分子系統学的研究が進んだ今日では、その考えはあまり有力ではない。このため化石記録を元に判断する時には慎重さが求められる。 配偶体の保護は進化的に望ましいため、多くの分類群が独立にその保護器官を進化させたと考えられる。花においては、胚珠の保護は心皮によってなされる。心皮は、胚珠を覆い保護するため、葉が変化したものだと考えられている。この胚珠はさらに二重壁の珠皮によって保護されている。 これらの保護層を通過するには、微小配偶体には自由浮遊性以上のものが求められる。被子植物の花粉粒は、3つの細胞からなる。一つは、外皮を穿孔し、2つの精子細胞を通す道を作る役目を持つ。巨大配偶体は7つの細胞を持つ。このうちの一つと、精子細胞が融合し、卵の核となる。そして別の細胞が別の精子と受精して、栄養分に富む胚乳となる。他の細胞は予備的な役割を持つ。このプロセスは「重複受精」と呼ばれ、被子植物に独自のものである。 化石植物の中には、花と類似の構造を持つ、興味深い3つのグループが見つかっている。一つは、ペルム紀のシダ種子類グロッソプテリス Glossopterisであり、それはすでに心皮に似たカーブした葉を持っていた。三畳紀のカイトニア Caytoniaはさらに花に似ていて、一重だけだが胚珠が包まれていた(被子植物は二重)。また、花粉と雄蕊の詳細が、被子植物とは異なっていた。 ベネチテス類 Bennettitalesは、著しく花に似た器官を持っていた。真の花の花弁・萼と同様の機能を持った、渦巻状の苞葉に守られていた。しかし、ベネチテス類は被子植物よりもソテツやイチョウ類に近く、これらの花に似た構造は独自に進化した。 しかし、真の花を持つと言えるのは、現生の被子植物に限られる。多くの形態学的、分子的分析によれば、アムボレラ、スイレン、アウストロバイレヤ科が原始的な分類群にまとめられ、これらは頭文字で「ANA」と呼ばれる。この分類群は、前期白亜紀、およそ1億3000万年前の、ちょうど最古の被子植物の化石が発見された頃に分化したようである。またそのすぐ前の1億3600万年前には、被子植物的な花粉が見つかっている。すぐ後に急速に初期の被子植物(モクレン類)は放散し、1億2500万年前までには真正双子葉類と単子葉類を生み出した。6550万年前の白亜紀の終わりまでには、現生の被子植物の目の50%以上が進化し、全体の種の70%を占めるようになった。およそこのころには、被子植物の樹木が針葉樹を圧倒するようになっていた。 原始的な「ANA」グループの特徴は、被子植物の起源は、暗い、湿っている、しばしば攪乱される環境にあったことを示唆する。被子植物は白亜紀の間、このような環境に制限され、初期においては小型草本のニッチを占めていたようである。このことは被子植物の基本的な性質を規定したかもしれないが、他の環境へ適応する柔軟性をも与えた。
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