耽美派の作家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/12/20 06:26 UTC 版)
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目次
永井荷風
明治12年(1879)~昭和34年(1959)。本名壮吉。別号断腸亭主人。東京小石川の生まれ。広津柳浪門下生。ゾラ、モーパッサンの影響を受け、明治35年『地獄の花』を発表。父の命で渡米、後、フランスに渡り、明治41年帰国、『あめりか物語』などの作品を発表した。同43年、森鴎外の推挙で慶大文学部教授になり、「三田文学」を主宰した。荷風の生涯は反抗で貫かれており、初期はゾラの影響を受けた自然主義文学作品を、そして帰国後は自然主義的手法ではあるが、江戸文化に傾倒し、花柳界に取材した享楽的作品を書き、一種の世紀末的美が追究されている。
おもな作品
小説『地獄の花』『あめりか物語』『ふらんす物語』『すみだ川』『新橋夜話』『腕くらべ』『おかめ笹』『つゆのあとさき』『墨東綺譚』 日記『断腸亭日乗』翻訳『珊瑚集』
腕くらべ
長編小説。大正5~6年、雑誌「文明」に連載。荷風中期の代表作である。浮沈激しい東京一流の花街を舞台に、男女の表裏、心理の機微を流麗に描いた作品である。
あらすじ
- 旦那に死なれて再び新橋の芸妓になった駒代は、今は実業家となっている。昔なじみの吉岡に逢い、よりをもどす。だが、女形(おやま)の役者瀬川への恋が吉岡に知れてしまい、吉岡は同輩芸妓を見受けし、駒代の鼻をあかす。また、瀬川は、旦那の遺産を貰った元芸妓だった女のもとに走ってしまう。駒代は瀬川の無情を恨み、荒れ狂うが、折しも抱え主の女主人が死に、その亭主の好意で芸者屋の女主人になる。
墨東綺譚
長編小説。昭和12年、「東京・大阪朝日新聞」に連載。荷風復活を告げる随筆風の名作。私娼街(ししょうがい)という背景に、時代の風俗・人情と季節の推移とが巧みに織り込まれている。
あらすじ
- 小説「失踪」の腹案ができ、その小説の主人公が世を忍び住む場所を探し求め、玉ノ井近辺を歩くうちに、老作家大江はお雪となじみになる。彼は、日本髪しか結わないこの女に過去の世の懐かしい幻影を見、小説を完成させた激励者だと思う。だが、自分に対する女の愛情を感じた大江は事情も話さず女から遠ざかる。
久保田万太郎
明治22年(1889)~昭和38年(1963)。三田派の作家。東京都の生まれ。ままならぬ世の中で、寂しく諦め生きる人間の心情を、東京の下町の風物を織り交ぜて描いた。『朝顔』『末枯』『市井人』などがある。
戦後の新劇
新協劇団・俳優座・劇団民芸など多くの劇団が生まれ大衆化される。森本薫・久保田万太郎・三好十郎らの作品を上演。新進作家では、『彦市ばなし』『夕鶴』の木下順二、『なよたけ』の加藤道夫、『鹿鳴館』の三島由紀夫らが活躍した。
佐藤春夫
明治25年(1892)~昭和39年(1964)。三田派、スバル派の作家。和歌山県の生まれ。孤独・不安・倦怠を伴う近代人の傷付きやすい神経を、幻想味を帯びた耽美的姿勢で描いた。『田園の憂鬱』『都会の憂鬱』などがある。
反民衆詩派
口語自由詩と象徴詩を結合させた朔太郎により、口語自由詩が完成された。感情の表出を唱え、芸術性の深化を目指すもの。 代表的な詩人とその作品として、萩原朔太郎『月に吠える』『青猫』、佐藤春夫『殉情詩集』などがある。
口語自由詩
明治末期から大正にかけての自然主義は、詩にも影響を及ぼし、川路柳虹、相馬御風らによって、日常を自由にうたう口語自由詩が試みられた。 しかし、詩壇の主流はむしろ、北原白秋、木下杢太郎、三木露風らの文語自由詩であった。白秋、杢太郎は、耽美派の芸術家グループ「パンの会」に属し、雑誌「スバル」を拠点として活動し、官能美をたたえた作品を発表した。
象徴詩
明治38年、上田敏の訳詩集『海潮音』と蒲原有明の詩集『春鳥集』によって、詩壇は象徴語という新しい傾向を迎えた。象徴語は、思想や感情を、直接に表出せず、諸官能の調和・合奏の世界を構成することによって暗示するというものである。 明治末から大正の初めにかけては、北原白秋、三木露風らが象徴詩壇の中心で、優れた作品を書いた。
木下杢太郎
明治18年(1885)~昭和20年(1945)。スバル派の作家。静岡県の生まれ。美しい生の息吹への憧れを耽美的情調で描いた。詩人でもある。小説『荒布橋』、戯曲『南蛮寺門前』『和泉屋染物店』などがある。
思潮
フランスの象徴主義に影響された詩壇の新しい傾向として象徴詩が生まれた。言葉による説明ではなく、暗示によって情緒を生み、内面を伝えるものとされる。また、耽美派では、「スバル」を拠点に反自然主義的に官能美をうたった。主な代表的詩人とその作品では、上田敏訳『海潮音』、蒲原有明『春鳥集』、北原白秋『邪宗門』『思ひ出』、三木露風『廃園』、木下杢太郎『食後の唄』などがある。
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