絹本著色潮干狩図とは? わかりやすく解説

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絹本著色潮干狩図〈葛飾北斎筆/〉

主名称: 絹本著色潮干狩図〈葛飾北斎筆/〉
指定番号 1950
枝番 00
指定年月日 1997.06.30(平成9.06.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 1幅
時代区分 江戸
年代
検索年代
解説文:  葛飾北斎かつしかほくさい】(一七六〇-一八四九)は浮世絵代表する絵師ひとりであり、九〇年に及ぶ生涯浮世絵あらゆる分野わたって大量作品制作した。しかし、従来北斎指定作品はなく、本図含めて四点肉筆画重要美術品認定されているのみである。
 北斎多彩な画業なかでも肉筆画代表作数多く生み出され分野であるが、本図に捺される「亀毛蛇足【きもうだそく】」印を有する作品には、優れたものが多い。同印の使用時期の上限としては、享和三年一八〇三)にはすでに狂歌絵本夷歌 月微妙』に使用例があることから、少なくともこの年以前さかのぼるとされている。また下限は、同印を門人北明に譲るという墨書のある「鯉魚図」(埼玉県立博物館)が文化十年一八一三)の作であることから、このころまでは確実に用いていたと推測できる。同印を有する作品少なくとも五〇余点が知られており、印の周囲長方がしたい欠損していくことが指摘されている。
 本図登場する女性は、文化年間後期以降北斎美人画にしだいに顕著となる退廃的な雰囲気ちりちりとした独特の線質、やや歪んだ体躯造形といった特徴がまだ明らかではなく健康な上品さ保っている。三人のうちには眉をそり落とした年輩の女、模様小袖着た年長の娘、黒地振り袖着た若い娘と、衣装風俗巧みに年齢差表現されており、富裕な町方母親子どもたち三月三日潮干狩興じる様子表したものかとみえる女たち含めた右側人物群が一様にの上の貝に注意を向け、左側少年たちは砂を掘る手元関心集中することにより画面緊張感もたらされている。
 北斎摺物版画同様の主題何度制作しており、本図よりさかのぼる「宗理画」(東京国立博物館)あるいは「先ノ宗理北斎画」落款シカゴ美術館)のある摺物等には同種の図様が見いだされる北斎本図より下る時期の「富嶽三十六景」中の図では登戸舞台として潮干狩描いている。その景観表現富士山を望む遠浅の海である点で本図に近いところがあるが、近景稲毛浅間宮の大鳥居描かれており、同一地点ではない。肉筆画版画とは異なり個人による注文制作であった可能性考えると、本図富士山を望む景観もあるいは特定の土地意味しているかもしれないが、その点はまだ解明されていない
 本図もうひとつ特徴は、当時司馬江漢しばこうかん】(一七四七-一八一八)等によって喧伝され新し洋風画技法学んだ広大な風景表現である。濃い青色の空、山々からわき上がるような白いちぎれ雲青色灰色表される遠山といった遠景描写にはとくに洋風画技法影響強くみられる
 北斎あらゆる日本人画家のうちで世界的に最も知られており、外国での研究盛んに行われているが、本図は、北斎美人画風俗表現および風景表現特質融合した希有な作例として、数ある北斎肉筆画中でもことに高い評価得ている作品である。


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