系統論とは? わかりやすく解説

系統学

(系統論 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/19 14:19 UTC 版)

系統学(けいとうがく、英語:phylogenetics)とは、生物の系統的な発生、つまり生物の進化による系統分化の歴史を研究する学問。種や系統群の分化と進化を研究目的とする。

研究技術として、比較解剖学比較発生学などによって得られた形態などの情報を、統計学を駆使した分岐学などを用いて解析する。生化学的手法も古くから植物色素などの代謝産物の比較研究が系統解析の手法として用いられてきたが、これに加えて1980年代以降は、DNARNAといった情報高分子の塩基配列の解析などによる分子系統学も発達してきた。

系統学と分類学との関係

ヘッケルの系統樹(1866年)
分類群は、単系統群であることも、側系統群多系統群であることもある。

分類学は多種多様な生物を把握しやすいように(場合によっては造物主によるデザインを研究するという自然哲学的目的から)分類体系を作るのが初期の目的であった。進化論が提唱されて以降は、これに進化の様子を表現する目的(つまり系統学的な目的)が加わったのであるが、従来の分類を主目的とする考え方がすぐに消滅したわけではない。系統(系統樹の枝で示される)のみでなく、進化の段階(ヘッケル流の系統樹では進化したものが上に描かれる)でも分ける考え方が続いた(例として爬虫類の1分派である鳥類を爬虫類から分ける考え方など)。

20世紀半ばに、従来の分類学の考え方に恣意的あるいは不正確な点が多いとして、それに代わる表形分類学分岐学(分岐論)の2つの考え方が提唱された。

表形分類学(phenetics)とは、生物の多くの形質を同時に比較し、近いもの・遠いものを定量的に明らかにする考え方である。これは分類を客観的に行うことに主眼を置き、進化系統は必ずしも考慮していない。この考え方は現在はあまり重視されないが、分子系統学は塩基配列などの表形分類的な比較から始まっている(現在は分岐論的あるいは種々の統計学的方法も用いている)。

一方、分岐学(cladistics)とは、進化に伴う分岐パターンを正確に明らかにしようとする考え方で、(分岐分類学という言い方もされるが)どちらかといえば系統学の方法論である。これは生物の多くの形質を同時に比較する点では表形分類学と共通するが、想定されるいろいろな進化の道筋から、分岐回数がなるべく少ないものを正しいと考える(最節約の原理)のが特徴である。この考え方はその後次第に分類学にも取り入れられ、恐竜など化石生物の研究で主流となっている。現在では特に分子系統学に基づく分類においても重要な考え方である。

生物学以外の系統学

比較言語学においても、生物学と同じように、系統学的手法で語族語派が確立される。ただし言語は混合等の過程を経て複雑に形成されることが多いため、生物種間のような純粋な系統樹を作成できる場合は多くない。比較的系統を追いやすい語族としてインドヨーロッパ語族オーストロネシア語族があげられる。

またヒト集団の社会制度習俗写本の系統等を広く扱う文化系統学も存在する。

関連項目


系統論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 05:07 UTC 版)

双子葉植物」の記事における「系統論」の解説

そういったものを体系づけるため、被子植物の各群の系統関係について様々な説立てられた。その一つは、ヤナギドクダミなど、個々の花が雄蘂雌蘂一本ずつ備える花が原始的な花の姿で、進化段階でそれが増加し、形を整えていったとするのである。これに基づいて整理されたのが新エングラー体系である。これに対してモクレン見られるような、中心に多数雄蘂雌蘂螺旋配置したものが原始的な花であると見て、それが次第に数を減らしつつ形を整えた見て、その考え整理したのがクロンキスト体系である。 以前からも、被子植物は多系的な集団ではないか考える説はあったが、1990年代以降ゲノム解析発展により、双子葉植物単系統群としては扱えない、つまり側系統群であることがいよいよ明らかになった。そのような知見元にしたAPG植物分類体系では、従来双子葉植物グループは、単系統群真正双子葉植物 (Eudicots)と原始的な双子葉植物群に分かれる。つまり被子植物全体は、真正双子葉植物単子葉植物という2つ大きな単系統群と、若干数かつ多系統原始的双子葉植物から成ることになる。 真正双子葉植物=ユーディコッツ(Eudicots)の別名は、トリコルパテス(Tricolpates)すなわち三溝型花粉植物であり、形態の上からも、他の単溝型花粉植物であるところの原始的双子葉植物群から区別することができる。

※この「系統論」の解説は、「双子葉植物」の解説の一部です。
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