系統論との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/08 15:00 UTC 版)
原腸胚は、その構造として外胚葉と内胚葉を中心として形作られ、消化管の源基としての原腸は原口というただ一つの出入り口だけを持つ。これを刺胞動物の体制に相当すると見たのがヘッケルによる動物の系統論である。つまり、動物の進化の初期に、まず中空で外側に繊毛を持つ細胞層が並んだのが多細胞動物のはじめであり、その細胞群の一部が内部に潜り込んで消化管のもとを作ったのが後生動物の進化の最初であったとするのである。 それ以外の動物群では消化管が通り抜けになるから、これは原口の反対側に新たな開口ができることになるが、それが口になるか肛門になるかは群によって異なるため、この二つが大きな別個の系統を形成する、とする。 ただし異論は多い。何しろ証拠の少ない分野の論議なので諸説あるのは当然であるが、発生の面からは中実胞胚の例が問題となる。ハッジはこれをヘッケルへの反論の理由の一つにあげ、まず中実な多細胞動物が生まれたと説いた。彼の説は常に主流とならず、ヘッケルの説が支持されてきたが、ヘッケル支持層からもむしろ中実胞胚にあたる動物を出発点に考えるべきとの修正案が何度か提出されている。 そのあたりの当否には議論も多いが、少なくとも後生動物全般において、発生の過程においておおむね原腸胚までを共有している。
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