空間除菌用途での有効性と安全性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 07:35 UTC 版)
「二酸化塩素」の記事における「空間除菌用途での有効性と安全性」の解説
2008年(平成20年)、強毒性H5N1型鳥インフルエンザの人型変異とそれに起因する世界的大流行(パンデミック)への懸念から、空間消毒薬として二酸化塩素ガスが注目され、日本の経済報道番組でも紹介された。それ以後も日本のプロ野球団で使用されているとスポーツ紙で取り上げられるなどしている。また、2010年には、インフルエンザ様疾患の発生を減じる可能性が報告された。 しかし、二酸化塩素の安全性は経口摂取では確認されているものの、長期間低濃度雰囲気での暴露に係る安全性の検証(毒性試験)は不安定で反応性の高いガスである為か、世界的にみても十分とはいえない状況である。 このような状況ではあるが、アメリカ産業衛生専門家会議(英語版、イタリア語版)(ACGIH)が定める作業環境基準においては、二酸化塩素の酸化力は塩素よりも小さな値とされており、また、ラットの吸入による急性毒性を表す半数致死濃度(LC50)も塩素より低濃度であり、二酸化塩素の方が塩素よりも毒性が弱いと考えられている。 アメリカでは、労働安全衛生局(OSHA)は1日8時間暴露(TWA:時間加重平均値)で0.1ppmを暴露限界として設定しており、日本では製造事業者側がこれを二酸化塩素に依る空間消毒薬の暫定的な安全基準として提示することがある。他に、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が1日8時間又は週40時間暴露(TLV-TWA)で0.1ppm、かつ常に15分間のTWAが0.3ppm以下でなければならない(TLV-STEL:短時間暴露限界)と暴露限界を設定しており、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)も別の条件下における暴露限界を設定している。これらの基準値は一般家庭ではなく、工場などでの成人の職業性曝露を念頭に設定された値であることに注意をしなくてはならない。 日本においては、労働安全衛生法で「名称等を通知すべき危険物及び有害物」の一つとして指定されているほか、一部地方自治体の生活環境保全条例や化学物質環境安全管理指針等で排出が規制されている。暴露限界に関する基準は存在しない。 業界団体である「一般社団法人 日本二酸化塩素工業会」は空間除菌製品に係る室内濃度指針値(自主基準)を0.01ppmに設定しているが、目安値であり、「定常状態における濃度水準を示したものであり、最大許容濃度や二酸化塩素ガスの有効濃度を示したものではない」。
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