私設無線の種類とその操作資格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/08 21:47 UTC 版)
「無線電信法」の記事における「私設無線の種類とその操作資格」の解説
私設を認める無線電信法のもとに必要な詳細規則を定め、同時に施行された。 私設無線電信規則(大正4年逓信省令第46号、1915年10月26日公布、同11月1日施行) 私設無線電信通信従事者資格検定規則(大正4年逓信省令第48号、1915年10月26日公布、同11月1日施行) 私設電信私設無線電信公衆通信取扱規則(大正4年逓信省令第53号、1915年10月26日公布、同11月1日施行) 無線電信法第二條により第一号から第六号の私設無線を定義し、その操作資格を私設無線電信通信従事者資格検定規則に定めた。私設無線電信通信従事者の制度化である。 < 私設無線の種類とその操作資格 >局種定義操作資格第一級第二級第三級第一号 航行の安全に備える目的を以って船舶に施設するもの ○ ○ 補助 第二号 同一人の特定事業に用いる船舶相互間に於てその事業の用に供する目的をもって船舶に施設するもの ○ ○ 補助 第三号 電報送受の為電信官署との間に施設者の専用に供する目的を以って電信、電話、無線電信又は無線電話による公衆通信の連絡なき陸地又は船舶に施設するもの ○ 補助 補助 第四号 電信、電話、無線電信または無線電話による公衆通信の連絡なく前号の規定によるを不適当とする陸地相互間又は陸地船舶間に於て同一人の特定事業に用いる目的を以って陸地又は船舶に施設するもの ○ ○ 補助 第五号 無線電信又は無線電話に関する実験に専用する目的を以って施設するもの ○ ○ ○ 第六号 前各号のほか主務大臣において特に施設の必要ありと認めたるもの ○ ○ 補助 なお私設無線の免許人を「法人に限定する」ような想定は無線電信法には全く見受けられない。同法施行直後の頃より、逓信省は個人の申請者にも許可を出している。 法第2条第1号施設 航行安全のための「船舶無線施設」 法第2条第2号施設(社内連絡回線) たとえば同一会社に所属する捕鯨船団やトロール船団が、その操業海域において自社の業務連絡を目的とする「船舶無線施設」。もし船団中の母船が最寄りの海岸局と公衆通信(電報)を交わすことを望むなら、その母船については次に述べる第3号の許可も同時に受けなければならない。 法第2条第3号施設(公衆通信回線) 公衆通信の取扱い操作には私設無線電信通信従事者の第1級資格が要求されている。その施設は大きく三つに分けことができる。最寄りの海岸局、または公衆通信(電報)を扱うことが認められた船舶局との間に公衆通信(電報)を交わすことを目的とする「船舶無線施設」。 最寄りの海岸局、または公衆通信(電報)を扱うことを認められた船舶局との間に公衆通信(電報)を交わすことを目的とする、海底ケーブルが敷設されていない離島の「陸上無線施設」。 電信または電話サービスが行われていない地域(電報の直配達区外または電話の加入区外を指す。以下「直配達区外または加入区外」と称す)内にあって、最寄りの海岸局と公衆通信(電報)を交わすことを目的とする「陸上無線施設」(陸-陸通信)。これは「直配達区外または加入区外」でなければ私設は認められない。 法第2条第4号施設(社内連絡回線) 海底ケーブルが敷設されていない離島の「陸上無線施設」同士で社内連絡回線を形成するものも第4号施設となる。 「直配達区外または加入区外」の「陸上無線施設」で、同一会社に所属する船舶施設との社内連絡を目的とするもの。 法第2条第5号施設 学術研究または機器に関する実験を目的とする無線施設。 法第2条第6号施設 無線技術の進歩により、第1-5号では適合できない新たな無線施設への対応。無線電信法の成案時には、近い将来に航空機への無線搭載が想定されていたため、それに備えたものである。しかしその後、航空無線には用いられることなく、銚子海岸局JCSや海軍船橋送信所JJCが定時送信する報時電波(タイムシグナル)の受信施設などをこの第6号で許可していた。 のちの1925年(大正14年)にはじまった東京放送局JOAK、大阪放送局JOBK、名古屋放送局JOCKのラジオ放送の送信免許に第6号が適用されたたけでなく、ラジオ放送を聴くためのラジオ受信機の使用許可にもこの第6号が用いられている。すなわち放送側もリスナー側も同じ根拠による無線局免許であった。なお、ラジオ放送開始に際して「放送無線電話ノ放送取締事項ニ関スル件」など、現代の放送基準に該当する規則(放送禁止事項)が定められたが、これは事前検閲であった。
※この「私設無線の種類とその操作資格」の解説は、「無線電信法」の解説の一部です。
「私設無線の種類とその操作資格」を含む「無線電信法」の記事については、「無線電信法」の概要を参照ください。
- 私設無線の種類とその操作資格のページへのリンク