福島第一原子力発電所事故後の健康診断の是非
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「橋本昌」の記事における「福島第一原子力発電所事故後の健康診断の是非」の解説
2011年11月9日以降、福島第一原子力発電所事故後の茨城県での子どもを対象とする健康診断について、必要ない旨を発言し、一貫して健康診断を実施しない立場をとっている。 2011年11月9日の定例記者会見では「確かにご心配はあるかもしれないけれども、これまでも、専門家から見て、今のレベルで調査を大々的にやるような必要はないだろうという意見を何人もの先生から聞いております。それを踏まえて、例えば、個々人の方々が非常に心配な状況があるというものに対してはきちんと対応をしていきたいと思っておりますが、一般論として、子どもたちの健康診断を実施するかどうかということについては、福島県の例を見ましても、その内部被曝調査や甲状腺簡易測定調査の結果などを参考にしても、本県では実施する必要はないのではないかという意見でありますので、それを尊重していきたいと思います」と述べた。 2012年9月19日の茨城県議会の一般質問において、福島第一原子力発電所事故後の健康影響調査について、次のような答弁をしている。 チェルノブイリ原発事故において甲状腺がんの増加が見られたのは事故後4、5年を経過してからであり、専門家からはその前段階で検査を実施しても、被爆による甲状腺がんがみつかることは考えにくく、かえって受診者が不必要な医療を受けたり不安になるという弊害をもたらす可能性があるとのアドバイスを受けている 福島県での甲状腺超音波検査では8万174人のうち99.5%が2次検査の必要なしと判定され、残り5%のうち1人から甲状腺がんが発見されたが、専門家は進行の遅い甲状腺がんが1年で発生することは考えにくいことから福島原発事故の被爆による影響を否定している 茨城県内では、WHO(世界保健機関)の推計からは、福島県の近隣県という区分で1歳児で1~10ミリシーベルトという数値が示され、また、つくば市の高エネルギー加速器研究機構の空気中放射性物質濃度データも東海村より十分低い数値であり、いずれものデータもIAEA(国際原子力機関)で示された安定ヨウ素剤の服用基準である50ミリシーベルトより低い値になっている 福島県で行われているような疫学調査は、国がその必要性を十分に検討し、何を検査すべきか、どの地域を対象とすべきかなどについて統一的基準や方針を示し、系統立てて実施するべきである 健康影響調査については国の適切な対応を求めるとともに、県としても状況の変化に応じて適切に対応してまいりたい その後、2013年6月から希望者に対し、茨城県立中央病院内の放射線検査センターでホールボディカウンターによる検査が受けられるような体制がとられた。 2014年2月10日、茨城県内の被災状況視察に訪れた小泉進次郎復興大臣政務官に対しても、 国において幅広く疫学的な調査を実施し、結果及び評価の情報提供等により国民の不安の払拭に努めること さらに、「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針に規定する支援対象地域、準支援対象地域に応じた必要な施策を講ずることにより、被災者の不安解消に努めること 以上2点をこれまでどおり、要望している。 2017年6月の茨城県議会の一般質問において、健康影響調査について、次のような答弁をしている。 (これまでの県の対応)本県では、事故直後に移動式のモニタリングポストを設置したほか、食品や水道水の検査を早くから細かく実施し、早期に農作物などの出荷制限や水道水の乳幼児への飲用自粛を呼びかけるなどの必要な措置を講じてきた。 これら細かい食品検査の結果や、モニタリングポストのデータに加え、福島県で内部被ばく検査として実施したホールボディカウンタの検査でも、極めて少ない被ばく線量であったことなどを基に、専門家から内部被ばく検査は、必要ないとの意見を踏まえ県として判断した。 しかしながら、どうしても心配なので、有料でもホールボディカウンタの検査を受けたい、という強い県民の声もあり、希望者に対し実費相当分を徴収して、平成26年6月から県立中央病院で実施することとし、平成29年6月までに167人実施している。 (国の判断)国の「事故に伴う住民の健康管理にあり方に関する専門家会議」の中間報告においても、現段階で、甲状腺被ばく線量が、福島県より高いというデータは認められず、まずは福島県の健康調査を見守る必要があると示され、甲状腺検査を希望する強い不安に対しては、個別の相談とリスクコミュニケーションの取組みを行うべきとされている。 (知事の見解)ただ一方で、疫学的な調査として、放射線健康影響調査をやっていくべきであり、一番心配される子どもについて言えば、進学や就職、結婚などによって他県等に転出する場合も多いので、広島及び長崎の被爆者の長期健康影響調査のように、国の機関が、全国的にきちんとした基準をもとに長期的に実施していくべきであり、それに対して県としても積極的にいろいろと協力していく考えである。 (国へ要望)この疫学調査については、これまでも強くその実施を要請しているが、今後も引き続き、国に要望するとともに、国や福島県の検討結果を注視しながら、不安をお持ちの方には、保健所等において個別の相談に応じ、その中で、甲状腺検査や内部被ばく検査を希望される方には、専門の医療機関を紹介するなど、県民の放射線による健康不安の解消に努める。
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