しれとこ‐いおうざん〔‐いわうざん〕【知床硫黄山】
読み方:しれとこいおうざん
⇒硫黄山
知床硫黄山(北海道)
1562m 北緯44度08分00秒 東経145度09分41秒 (硫黄山) (世界測地系)
概 要
知床硫黄山は、安山岩(SiO2 61%)の成層火山で、知床半島に存在する第四紀火山のうちで最も大きく、少なくとも今から24万年前には活動を開始した。山頂部に2つの爆裂火口が北東-南西方向に並び、このうち南側の火口形成時には岩屑なだれが発生した。その後、南側の火口底と2つの爆裂火口が接する火口壁上には、溶岩ドームが生成され、その麓には噴気が認められている。北西側中腹の爆裂火口(1号火口)は今なお活動を続け、しばしば多量の溶融硫黄を噴出する。世界的に珍しい噴火形式の火山である(北海道防災会議、1982)。
最近1万年間の火山活動
1万年間の活動については不明な点が多いが、山頂部の2つの爆裂火口内で形成された厚い溶岩流と2つの溶岩ドームは地形的にも新鮮である。 記録に残っている活動には、1857~1858、1876、1889~1890年および1935~1936年の噴火がある。 特に、最近2回は、火山灰の他に溶融硫黄や熱湯が噴出している。1935~1936年の噴火で硫黄の噴出量が1日当たり最大数千トン、総噴出量は約20万トンに達し、カムイワッカ川や海浜は黄色い硫黄で覆われた。 これらの噴火はいずれも、北西側中腹の爆裂火口で起こり、この火口は現在でも噴気が認められている(北海道防災会議、1982)。
記録に残る火山活動
- 1857(安政4)年~1858(安政5)年 噴火
- 硫黄を流出。
- 1876(明治9)年9月24日 噴火
- 1889(明治22)年 噴火
- 8月9日 噴火
- 噴煙活発、硫黄を多量に流出。
- ~10月頃 小爆発を反復。
- 1890(明治23)年6月15日 噴火
- 爆発で火口西壁が破壊。約半月間熱湯噴出。
- 1935(昭和10)年12月 噴火
- 小爆発。
- 1936(昭和11)年5月4日~10月末 噴火
- 3~6日の周期で、次のような活動を繰り返す。
- (1)溶融硫黄の噴出 (2)熱湯と蒸気の爆発的噴出 (3)沸騰した湯と蒸気の間欠的噴出 (4)休止期
- 1日の噴出で最大数千トンの硫黄を流出。硫黄の総噴出量約20万トン。
- 1937(昭和12)年8月 火口底の水が沸騰。
知床硫黄山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/04 15:23 UTC 版)
知床硫黄山(しれとこいおうざん)は、北海道羅臼町と斜里町にまたがる知床国立公園の知床半島に位置する活火山である。山頂部は斜里町に属していて、一等三角点に指定されており、そこの標高は1,562.5mである[1]。
注釈
- ^ 10か月にわたり硫黄鉱床が噴出しカムイワッカ川に沿って流れ海岸に一時、黄砂浜を作った(『角川日本地名大辞典1北海道』、p.103)。
出典
- ^ 山と渓谷社(硫黄山)ヤマケイオンライン(2018.7.28アクセス)
- ^ a b 『角川日本地名大辞典1北海道』、p.103
- ^ a b 知床硫黄山気象庁HP(2017.7.27アクセス)
- ^ 『地名大事典7 北海道』、p.19
- ^ 『北海道の地名』、p.1310下
- ^ 『北海道大百科事典 上』、p.919
- ^ 知床半島西岸の地名と伝説(郷土学習シリーズ第6集):斜里町立知床博物館協力会編
- ^ 『改訂日本山岳誌』、p.206
- ^ 『北海道の地名』、p.1311上
- ^ 知床硫黄山 有史以降の火山活動気象庁HP(2018.7.28アクセス)
- ^ 羅臼岳・知床連山羅臼ビジターセンター(2018.7.28アクセス)
- ^ 硫黄山登山口の利用について知床自然センターHP(2018.7.28アクセス)
- ^ らうす町防災ハザードマップ - 噴火情報を見る羅臼町HP(2018.7.28アクセス)
- ^ 『北海道大百科事典 上』、p.920
- ^ 『北海道の山と谷・下』、pp.197-200
- 1 知床硫黄山とは
- 2 知床硫黄山の概要
- 3 特徴
- 4 主な噴火歴
- 5 参考文献
固有名詞の分類
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