直通運転とマスコン形状の統一
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 07:00 UTC 版)
「マスター・コントローラー」の記事における「直通運転とマスコン形状の統一」の解説
他の鉄道会社と直通運転と行う場合、異なる鉄道会社の境界駅で、もう一方の鉄道会社に運転士が交代する運転方法が多く採用されているため、運転士の熟知の問題から、運転室のスイッチの位置や色に規格統一が求められるケースが多く存在する。マスコンの形状も例外ではなく、直通する全形式で1種類、多くても2種類に統一されているケースが目立つ。 特徴的な例を挙げる。前述の201系と205系で縦横併用式を採用していた国鉄が、営団千代田線直通用に製造した203系では縦軸マスコンを採用した。一方、東西線では05系の初期型は直通先の中央・総武緩行線に103系が多かったことや、自社の5000系も一気に置き換えず、当面は界磁添加励磁制御化改造を行って運用を続ける予定だったことなどから、それらに合わせる形で縦軸ツーハンドルを採用し、後期型の05N系や近年の05系B修繕車では中央・総武緩行線のE231系投入に合わせて左手ワンハンドルマスコンに変更、有楽町線から転属した07系も縦軸ツーハンドルマスコンから左手ワンハンドルマスコンに変更する改造を施した。その他、京浜急行電鉄では右手→両手、西武鉄道では両手→左手→両手と変化した。 反対に1社のみ異なるケースとしては、自社の13000系・東武70000系が登場するまでは全車両が縦軸ツーハンドル式のマスコン・ブレーキ弁を採用した東京メトロ日比谷線において、ワンハンドルを最初に採用した事業者でもある東急のみが1000系でワンハンドルを採用していた例がある。 また、統一ないし種類を減じる措置がとられていない例として、新京成電鉄新京成線から京成千葉線への片乗り入れおよびかつて実施されていた新京成線と北総開発鉄道(現・北総鉄道)北総線・住宅・都市整備公団(現・千葉ニュータウン鉄道)千葉ニュータウン線(2路線合わせて北総・公団線(1988年〜2004年)を経て現・北総線)との相互直通運転(1979年〜1992年)があげられる。新京成線と北総線との直通開始当初は双方縦軸ツーハンドルの形式のみ在籍していたが、横軸ツーハンドルの新京成電鉄8800形の登場(1986年)、両手ワンハンドルの北総開発鉄道7300形の登場(1991年)と1992年の直通廃止までの間にハンドルの種類は増え続けた。直通廃止の前年である1991年に北総から京成・都営地下鉄・京急への直通を開始したがこちらとの間では縦軸ツーハンドルと両手ワンハンドルで種類が統一されている。一方で新京成線から京成千葉線への直通は1955年に暫定的に実施した時点では種類に差異はなかったが、2006年に再開した時には双方に存在する縦軸ツーハンドル(8000形)と両手ワンハンドル(N800形)の形式のみならず前述の横軸ツーハンドルの8800形も形状を変更されることなく投入され、京成におけるハンドルの種類が増えることとなった。なお、京成では2010年に左手ワンハンドルの2代目AE形の登場で種類はさらに増加した。同様の例は名古屋市営地下鉄鶴舞線と直通運転を行う名鉄(犬山線・豊田線)でも見られる。地下鉄鶴舞線と名鉄豊田線が相互直通運転を開始した1979年(昭和54年)当時は縦軸ツーハンドルの車両(3000形・名鉄100系)のみであったが、名鉄犬山線との相互直通運転が開始された1993年(平成5年)に横軸ツーハンドルの車両(3050形)が登場した。さらに3000形置き換えのため、2011年(平成23年)に右手ワンハンドルの車両(N3000形)が登場した結果、鶴舞線ならびに相互直通運転を行う名鉄犬山線・豊田線のマスコン形状は3種類に増えた。 他方で東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線直通用として1997年に製造された30000系は、直通先の両路線が両手ワンハンドルを採用していたため、従来車が採用していた縦軸ツーハンドルではなく、両手ワンハンドルを東武鉄道としては初採用したため、東武におけるハンドルの種類は増えた。また東武では2016年以降に投入された500系、70000系の投入によって転属改造が行われた20400型(元20000系列)では左手ワンハンドルを採用したことで東武車のハンドルの種類は3種類に増えた。
※この「直通運転とマスコン形状の統一」の解説は、「マスター・コントローラー」の解説の一部です。
「直通運転とマスコン形状の統一」を含む「マスター・コントローラー」の記事については、「マスター・コントローラー」の概要を参照ください。
- 直通運転とマスコン形状の統一のページへのリンク