直流整流子電動機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/10 04:21 UTC 版)
直流整流子電動機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 14:44 UTC 版)
「電気車の速度制御」の記事における「直流整流子電動機」の解説
直流と交流 直流 - 流れる方向が変化しない電流。電池のようにプラス・マイナスの電源電極が定まっている。 交流 - 時間とともに流れる方向が変化する電流。家庭用のコンセントから得られる単相交流や、3系統からなる三相交流などがある。 電動機は回転する軸を持つ回転子と、回転子との相互作用によりトルクを発生させる固定子から構成される。電気車には、回転子に電機子、固定子に界磁と呼ばれる電磁石をそれぞれ配置した直流整流子電動機(電磁石界磁形整流子電動機)が古くから用いられてきた。この電動機は、電機子の回転に応じて極性を変えるための整流子やブラシを必要とするが、始動トルクが大きい、速度制御が容易などの利点を持つ。 さらに直流整流子電動機は、界磁と電機子を並列に接続する分巻、直列に接続する直巻、これら双方を合わせ持つ複巻に分類され、下表のように特性が異なる。このほか界磁を別電源とする他励方式もあり、その特性は分巻に類似する。 直流整流子電動機の種類と特性図中 - M-電機子 ・ f-界磁 種別分巻電動機直巻電動機複巻電動機界磁電機子と並列(図-A) 電機子と直列(図-B) 並列および直列(図-C) 特性トルクは負荷電流に比例定速度特性 始動トルク大トルクは電流の2乗に比例負荷に応じ速度変化 分巻と直巻の中間特性 上記の中では、始動トルクが大きく速度変化の容易な直巻電動機が電気車の電動機として適しており、黎明期から搭載し活用された。また、界磁の制御がしやすい複巻電動機も、定速度制御や回生ブレーキを目的に採用された製品が存在する。 ここで、直巻電動機の特性について整理しておく。整流子電動機においてトルク( T {\displaystyle T} )は、界磁による磁束( ϕ {\displaystyle \phi \,} )と電機子電流( I a {\displaystyle I_{a}\,} )の積に比例する。 T = k ⋅ ϕ ⋅ I a {\displaystyle T=k\cdot \phi \cdot I_{a}} また、磁束は界磁電流( I f {\displaystyle I_{f}\,} )に比例し、直巻電動機では界磁電流と電機子電流が一致することから、磁束は電機子電流に比例する。したがって、直巻電動機のトルクは電機子電流の2乗に比例する。 ϕ = k 1 ⋅ I f = k 1 ⋅ I a {\displaystyle \phi =k_{1}\cdot I_{f}=k_{1}\cdot I_{a}} T = k ⋅ ϕ ⋅ I a = k 2 ⋅ I a 2 {\displaystyle T=k\cdot \phi \cdot I_{a}=k_{2}\cdot I_{a}^{2}} (ここに k , k 1 , k 2 {\displaystyle k,k_{1},k_{2}\,} は任意の定数) 一方、電動機は発電機と基本構造が同じであり、界磁の中で電機子が回転すると起電力が発生する。これは電動機に与える電圧と逆向きに作用するため、逆起電力と呼ばれる。逆起電力は回転数と磁束の積に比例して増加することから、回転数が上がると電機子電流が流れにくくなりトルクが低下する。 これらの結果をまとめると、直巻電動機の特性は、 電流は回転数に反比例する。 トルクは回転数の2乗に反比例する。 となり、右図に示す性能曲線が得られ、電気車が求める特性に合致したものとなる。
※この「直流整流子電動機」の解説は、「電気車の速度制御」の解説の一部です。
「直流整流子電動機」を含む「電気車の速度制御」の記事については、「電気車の速度制御」の概要を参照ください。
直流整流子電動機と同じ種類の言葉
電動機に関連する言葉 | 分巻整流子電動機 直巻整流子電動機 直流整流子電動機 同期電動機 発電電動機 |
- 直流整流子電動機のページへのリンク