直流新形電気機関車とは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 16:07 UTC 版)
「国鉄ED60形電気機関車」の記事における「直流新形電気機関車とは」の解説
国鉄では戦後、商用周波数による交流電化に取り組み、その結果1955年(昭和30年)に試作形交流電気機関車のED44形・ED45形を開発し、1957年(昭和32年)には量産形交流電気機関車のED70形を開発した。交流電気機関車はそれまでの直流旧形電気機関車とは構造が全く異なっており、機関車の開発のために数多くの新技術が開発された。その技術の中には、直流電気機関車に応用できるものも多くあった。 そこで、それらの技術を活かし、設計を抜本的に変更して、全く新しい方式の直流電気機関車が開発された。この新方式による直流機関車を「直流新形電気機関車」と呼ぶ。いずれも形式が60番台であることから、「60番台機関車」ともいう。またそれまでの直流電気機関車の最新形式であったEH10形は車体長が22.5 mに及び「マンモス機関車」と呼ばれたのに対して、このED60形とその兄弟形式であるED61形は車体長がそれぞれ13 m・14.3 mと小形でありながらハイパワーなことから、当時人気の高かった漫画『鉄腕アトム』にあやかって「アトム機関車」と呼ばれた。もっともED61形以降に新造された直流新形電気機関車はすべてF形(6動軸)となり、車体も長くなっている。 直流新形電気機関車が旧形電気機関車に比べて改善された点として、次のような点が挙げられる。 端子電圧750 V時1時間定格出力400 kW前後の大出力主電動機の採用(旧形機は200 - 300 kW前後) 電気部・機械部の改良による粘着性能の大幅向上 駆動方式を吊り掛け式から、主電動機や線路に与える衝撃の少ないクイル式へ(しかし、異常振動などの問題からのちに再び吊り掛け式が主流となり、本形式についても1977・1978年に特修工事としてリンク式へ駆動装置を改造している) 台車構造の改良 新しい制御方式の追加による制御能力の向上 各種電気機器のブロック化 車体構造の改良による軽量化 このほかに乗務員出入り用デッキの廃止や先輪・従輪の廃止(完全なボギー台車化)も新形機の特徴とされることがあるが、在来旧形機でもデッキ廃止はEF58形(改良型)で、先輪・従輪を廃したボギー台車方式はEH10形で、それぞれ既に実現をみていた。
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