発売後から現在まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 14:05 UTC 版)
「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の記事における「発売後から現在まで」の解説
2002年の年末(実質的には2003年の年始)に、『Dungeons & Dragons 3rd edition』(3eと略)のプレイに最低限必要な三分冊のコアルールブックの最初の一冊目が『ダンジョンズ&ドラゴンズ プレイヤーズハンドブック』の名前で翻訳された。翻訳が始まった当初は展開速度は遅めで、コアルールの三冊が揃うのに半年くらいの時間がかかったことから、メディアワークス版の時以上に先行きが危ぶまれもしたのだが、コアルールの翻訳が揃ってからも展開が打ち切られることはなくサプリメントの翻訳は定期的に続けられた。翻訳については新和やメディアワークスように外部の会社に任せる形でなく、ホビージャパン自体が桂令夫や岡田伸などのゲーム翻訳家と契約して独自の翻訳チームを組んでいる。 翻訳が開始されたときはちょうどアメリカでは改訂新版に当たる『Dungeons & Dragons 3.5 edition』(3.5eと略)が出版され、その後のサプリメントも全て3.5eのものにシフトしていくことが告知されていたため、いまさら3eというのはタイミングが悪いのではないかという不安もあったが、2005年には日本語版の3.5eも翻訳され、アメリカ本国の商品展開とのすり合わせに齟齬はないようになっている。なお、日本語版の3eが展開している時には、3.5eで内容が大きく変わるサプリメントは翻訳されなかった。 2008年6月にはルールや世界観を根幹から大幅に刷新した『Dungeons & Dragons 4th edition』(4eと略)がアメリカで発売されたことを承けて、ホビージャパンも同年12月に4eの翻訳販売を開始。アメリカ本国との発売時期の差は数箇月にまで縮まった。 だが上述したように、4eはアメリカ本国では賛否両論であり、3e系を好んでいたファンが『パスファインダーRPG』へ移行するというコミュニティの分断が起こった。それを取り返すために2014年には『Dungeons & Dragons 5th edition』(5eと略)が発売されたのだが、当時のWotC社が経営上の判断から、5eは英語圏以外での展開は当面は行わないことを宣言。さらに5e発売と同時に4eの展開は終了したため、そこからしばらくの間は日本国内でのD&Dの商業展開は休止状態にならざるを得なくなる。日本国内では『パスファインダーRPG』の翻訳が当時はされていなかったのでこのようなコミュニティの分断騒動はほぼ見られなかったのだが、逆に言えばD&Dが展開終了した時の受け皿が存在しなかったということでもある。厳しい状況の中、2015年にホビージャパンは5eの基幹ルール部分を抜粋した「ベーシック・ルール」を日本語の翻訳したものをオリジナルのサンプルシナリオとともに無料公開し、日本語で5eに触れる最低限の環境の整備や国内のコミュニティの維持に努めた。(ホビージャパンが配布した「ベーシック・ルール」は英語版で無料公開されているものの私家訳である) 2017年にWotC社は5eの非英語圏への展開を解禁。これにあわせてホビージャパンから正式に5eの日本語版展開が開始された。 ホビージャパンでの製品展開がそれ以前と異なる点として、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社からの強い要請で、翻訳にあたってレイアウトや体裁を原書版から一切変更していないことがある。そのため、メディアワークス版であったようなローカライズは、ABC順をアイウエオ順に変更する以外は行われていない。しかし原書版に忠実な製品作りの反動として、製品の価格が他の国産テーブルトークRPG製品の平均よりも倍近い物になってしまっている。これは翻訳製品は価格帯が高くなりがちな上に、フルカラーである原書版を日本語版でも再現しているために起こっている弊害の一つである。また、ホビージャパンはD&D関連製品を通常の問屋流通でなく返品不可の玩具流通の経路で卸しているため、高価格なD&D関連製品は書店では取り扱われにくい。価格の高さと流通の弱さは「ユーザーの間口を激しく狭くしている」と展開の初期から指摘されているが、この点を改善することは現状の日本のテーブルトークRPG市場規模ではほぼ不可能であり、ウェブ上での通販に力を入れたり、独自の玩具流通を持つことを生かして『ダンジョンズ&ドラゴンズ ミニチュアゲーム』やダンジョンタイルを展開したりと、現状の弱点を受け入れる形でそれを生かすアプローチが試みられている。 原書版に忠実な展開を行っているという点では新和版に近いものがあるが、閉鎖的な印象の強かった新和版よりも日本のテーブルトークRPG市場とのマッチングが意識されている。日本独自のサプリメントも柔軟に製作されており(一部はD&Dではなくd20システムのサプリメントという形で販売している)、リプレイの雑誌連載などを積極的に行ったりしている。
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