用途と人気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 03:45 UTC 版)
日本では、サクラの中でも最も多く植栽されている樹種であり、最も馴染みが深いサクラである。花の美しさや華やかさは抜き出て広く認められ、明治以降に花見の用途で他のサクラを圧倒する人気の品種であり、公園、河川敷、街路、学校などに広く植栽されている。その起源がクローンのため全ての個体が同一に近い特徴を持ち、その数も非常に多いため「さくらの開花予想」(桜前線)に主に使われるのもソメイヨシノである。日本各地にはソメイヨシノが植えられた名所が多い。植栽の北限は、北海道の札幌市周辺地域といわれている。 4月上旬の小学校の入学シーズン中にソメイヨシノが満開になる地域も多く、入学の記憶を校庭に植えられたソメイヨシノの満開の景色と重ね合わせて持っている人も多い。校門や校庭に植えられた満開のソメイヨシノの下で撮られた入学記念写真も多く、新聞やテレビのニュースでもそうした場面が取り上げられることが多い。 接ぎ木などのクローンで増殖された栽培品種であるため環境特性が同じ同地では同時に開花し満開になること、母種のエドヒガンの特徴を受け継いでいるため葉より先に花が咲き大量に花が付くことで開花が華やかであること、父種のオオシマザクラの特徴を受け継いでいるため成長が速く若木から花を咲かし、なかでも桜の中では圧倒的に成長が速く大木になりやすいことなどを理由として、桜の名所を作るのに適した品種と認識され、明治以来徐々に広まり第二次世界大戦後に爆発的な勢いで各地に植樹され日本で最も一般的な桜となった。 ソメイヨシノは街中で他種より目にする機会が圧倒的に多い人気の品種であることから、以前からその起源についてとともに、ソメイヨシノ一種ばかりが植えられている現状やソメイヨシノばかりが桜として取り上げられる状態を憂慮する声もあるなど、愛桜家の間で論争の絶えなかった栽培品種である。(#起源について、#遺伝子汚染も参照) 欧米には1902年にカンザン(‘関山’)と共に最初に渡っている[疑問点 – ノート]。アメリカ、欧州、中国、韓国など世界各地に多くのソメイヨシノが寄贈されており、ワシントンのポトマック川のタイダルベイスンで毎年春に行われる全米桜祭りでのソメイヨシノが有名である。 さらに秋の紅葉も美しい種である。 歴史的に見て、かつて『万葉集』が編纂された時代から、日本で和歌で詠まれたり歌われた「サクラ」は、大部分はヤマザクラであったが、明治時代に入ってからはソメイヨシノに取って代わられたところが多い。
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