生物の供給元
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 15:06 UTC 版)
最初の近代的アクアリウムに入れるための魚と植物は、野生から採取されヨーロッパとアメリカの港へ(通常船で)輸送された。20世紀初期には、小さなカラフルな熱帯魚の多くの種が捕獲され、ブラジルのマナウス、タイ(シャム)のバンコク、インドネシアのジャカルタ、オランダ領西インド諸島、インドのカルカッタ、その他の熱帯の港から輸出された。アクアリウム向けの商業ルートのために天然から魚、植物および無脊椎動物を捕獲することは、今日も世界中で続いている。世界の多くの場所で、貧しい地元住民が、収入の主な手段としてアクアリウム用標本を集め売りさばく。それは、今なお人工繁殖に成功していない多くの種の供給源であり、また熱心なアクアリウム保有者に新しい種を供給し続けている。 最終的にアクアリウムに展示するために天然の生物を捕獲することは、いくらかの問題をはらんでいる。捕獲旅行は長く、高価になりえ、必ずしも成功するとは限らない。輸送のプロセスは、輸送される魚には非常に危険であり、死亡率は高い。そうでなくとも多くのものがストレスによって弱り、到着したときには病気になっている。魚も収集プロセス自体で痛めつけられることがある。最も顕著なものは、捕獲をより容易にするため暗礁魚を気絶させるためにシアン化合物を使用するものである。 より最近では、魚と植物を集めることの潜在的な環境への悪影響は、世界的にアクアリウム保有者たちの注意するところとなった。これらの悪影響は、珊瑚礁および目標でない種への毒散布、自然の生息地からの稀少種の減少、および主要種の大規模減少による生態系の劣化などである。さらに、使用される破壊的な技法は、環境保護論者とアクアリウム保有者への憂慮するところとなってきた。したがって、人工繁殖計画および天然で捕獲された魚の認証プログラムによって、商業ルートに乗った天然で捕獲された標本への依存を減らすよう、多くの関係のあるアクアリウム保有者による申し合わせ運動があった。1997年に行われた調査では、アメリカの海水アクアリウム保有者たちの3分の2が、天然で採取した珊瑚の代わりに人工養殖した珊瑚を購入することを好むと答えた。また、持続可能なように捕獲されたまたは人工的に養殖した魚だけが貿易に許可されるべきと答えた人が80%以上だった。 ベタが1893年にフランスで最初に養殖に成功して以来、人工繁殖の技法が次第に発見されてきた。アクアリウム貿易のための人工繁殖は、現在南フロリダ、シンガポール、香港およびバンコクに集中しているが、ハワイとスリランカにも小さな産業がある。アクアリウム貿易用の海生生物の人工繁殖プログラムは、1990年代中頃以来、急速に発展しつつある。海水の種よりも、真水の種のための繁殖プログラムのほうが比較的進んでいる。 養殖は管理された環境中で水生生物を育成することである。アクアリウム貿易へ供給するための養殖プログラムの支持者は、十分計画を練ったプログラムは環境だけでなくそのまわりの社会にも利益をもたらすことができると主張している。養殖は、成長させた成体を直接販売するか、それらをリリースして野生のストック(Tlusty 203)を補充することによって、野生種への衝撃を減少させる助けになる。ただし、そのような行為はいくつかの環境リスクに関係している。
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