特徴ある起炎菌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 15:52 UTC 版)
肺炎球菌性髄膜炎 上気道感染症状の後に髄膜炎の症状が出現する場合が多い。水頭症、動脈性、静脈性の血管障害の合併などが多い。 リステリア髄膜炎 高齢者のリステリア髄膜炎は亜急性の経過で発症することが多い。ほとんどの症例で意識障害を伴う有痛性疾患として発症する。リステリア髄膜炎では感染早期に痙攣、局所神経症状を併発する頻度が高い。またリステリア菌による髄膜炎では脳脊髄液がリンパ球優位を示すこともある。リンパ球優位の髄液細胞数増加、髄液糖低下はリステリア髄膜炎、結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎で認められる。リステリア菌による髄膜炎の頻度は60歳以上で5〜6.7%である。またグラム染色での検出率が低い。第3世代のセフェム系が無効であり抗菌薬の選択で注意が必要である。 髄膜炎菌性髄膜炎 髄膜炎菌性髄膜炎は世界的に分布し、流行地域ごとに菌のタイプ(血清型)は異なる。世界全体としては毎年30万人の患者が発生し、3万人の死亡例が出ている。流行の多発地帯は、アフリカ中央部の西はセネガルから東はエチオピアまでの地域が該当し、当該地域は「髄膜炎ベルト」とも言われている。主に乾期(12〜6月)のサバンナ地帯で多くの発症が報告される。欧米先進国でも時に局地的な流行がある。世界では健常者の鼻咽頭上5~20%の保菌状況に対し、日本では約0.4%程度とされる。保菌率が下がった理由は不明であるものの、一般的な衛生状態がよくなったこと、また長年国内で抗菌薬が濫用されてきたことと関係していると言われる。。なお、アジアは抗生物質の処方率が非常に高く、抗生物質の乱用問題が深刻と報告されている。なお髄膜炎菌が定着している率は、経済的困窮者や様々な地域から集まった人たちの間で高いと指摘されている。 髄膜炎菌性髄膜炎は発症が急激なこと、皮疹を伴いやすいこと、ウォーターハウス・フリードリヒセン症候群という劇症型髄膜炎菌性髄膜炎(DICや副腎不全を伴う)なども知られる。二次感染を防ぐために髄膜炎菌性髄膜炎予防にリファンピシンを用いることがある。 インフルエンザ桿菌髄膜炎 成人では中耳炎、副鼻腔炎、乳様突起炎など傍髄膜感染症、咽頭炎、肺炎、髄液漏出を等もなう頭部外傷、免疫不全などの存在が示唆される。小児例でもワクチンが普及している欧米と比べて発生率が高く、抗菌薬の耐性化もすすんでいる。日本ではBLNARとよばれる多剤耐性のインフルエンザ菌が蔓延している。ペニシリン結合タンパク(PBP)が変化しているためβラクタマーゼ単剤で治療は困難である。カルバペネム系とセフォタキシムの併用療法などで治療されている。 シャント感染 シャント感染では頭痛、嘔気、意識障害は認められるがしばしば発熱が認められない。
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