髄液漏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 06:51 UTC 版)
髄液漏 cerebrospinal fluid leakage は、脳脊髄液が瘻孔を通って(髄液瘻 cerebrospinal fluid fistula)、頭蓋外へ漏れる状態をいい、非外傷性髄液瘻と外傷性髄液瘻とがある。外傷性髄液瘻では髄液鼻瘻 cerebrospinal fluid rhinorrhea が最も多く、髄液耳瘻 cerebrospinal fluid otorrhea がこれに次ぐ。開放性頭部外傷の創に生じるものはまれである。髄液耳瘻は髄液の流出経路が複雑なこともあり長期に持続することは少ない。髄液鼻瘻はほとんどの場合、前頭洞と篩骨洞を経由し、蝶形骨洞を経由するものは少ない。乳突蜂巣を経由する場合は髄液耳瘻となることが多いが、耳管を通じ髄液鼻瘻となることもある。 非外傷性髄液瘻では下垂体腺腫、水頭症、髄膜脳瘤などが頭蓋底の骨を破壊してクモ膜下腔と副鼻腔とが通じるため、ほぼ全ての場合、髄液鼻瘻となる。非外傷性髄液瘻の治療は難しいことが多く、直達手術による瘻孔閉鎖が困難な場合にシャント手術で髄液圧を低下させて瘻孔閉鎖を促すこともある。 外傷性髄液瘻は自然閉鎖が起こることがあるので、通常2週間安静に保って抗生物質を投与し、2週間以上流出の持続するものや再発するものに対して手術を行うが、受傷直後から流出が顕著であれば早期手術を施すこともある。流出部位の正確な診断は困難なことが多く、クモ膜下腔に放射性同位元素を入れてガンマカメラで追跡、あるいは水溶性造影剤を入れてCTで追跡するなどの方法がある。
※この「髄液漏」の解説は、「脳脊髄液」の解説の一部です。
「髄液漏」を含む「脳脊髄液」の記事については、「脳脊髄液」の概要を参照ください。
- 髄液漏のページへのリンク