日馬富士による暴行事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 10:01 UTC 版)
「貴乃花光司」の記事における「日馬富士による暴行事件」の解説
2017年11月場所中(11月14日)に、弟子の貴ノ岩に対する日馬富士による暴行が発覚した。それを受けて日馬富士と9代伊勢ヶ濱が貴乃花のもとに事前連絡なしに謝罪に訪れた際に、出かける車中にいた貴乃花がそのまま車を発進させたためすれ違いとなり、謝罪拒否とみなされる形になった。日馬富士は自著「全身全霊」の中でこの時の貴乃花の行動が引退決意の直因としており、「自分はともかく師匠は角界の先輩。師匠に対してああいう態度を取ったことで、自分は師匠に迷惑掛けた気持ちになり引退を決意した」と記している。 貴乃花と9代伊勢ヶ濱の人間関係については、9代伊勢ヶ濱は2016年の理事選で貴乃花に投票をしており、それまではおおむね良好なものであったとみられる。 相撲協会によると、この件について鏡山危機管理部長が11月3日に両人に電話で聴取したが、2人ともその時点では事実関係について「分からない」と返答している。又、暴行被害後の貴ノ岩の行動について、暴行直後の巡業も通常通り参加し取組も行ったこと、日馬富士と和解の握手をしたことを複数の力士、関係者に目撃されていること(貴ノ岩はこのことについては自分の意思ではなく第三者から言われ渋々応じたと語っている)、九州場所に備え福岡入りし、宿舎がある福岡の田川市長を表敬訪問し「二桁勝利目指し頑張る」と九州場所出場へ意欲を見せていたことから春日野広報部長は「何もなかったんだ、というのが我々の認識だった」とコメントしている。 しかしその後、貴乃花が協会聴取の5日前に鳥取県警に被害届を提出していたことが判明し、11月17日には警察に提出された診断書と協会に提出された診断書の内容の食い違いが判明した。協会に提出された診断書を書いた医師は「頭蓋骨骨折は過去に生じたもので事件と因果関係は不明、髄液漏についても疑いであり確定診断ではない」としている。また日馬富士が貴ノ岩をビール瓶で殴ったと報道されていたが白鵬がそれを否定、貴ノ岩本人が警察の聴取に「目をつぶっていたので、何で殴られたのかはわからない」と述べたという報道もなされた。更にスポーツニッポン紙面にて事件が明らかになる前日まで貴ノ岩が部屋で稽古していたのを目撃されているなどの報道がなされ、これについて貴ノ岩や師匠の貴乃花から具体的説明がないことも事件を混迷化させた要因となった。 事態収拾を目指す協会側としては、協会への報告なしに警察の被害届を出した貴乃花に対し「被害届を提出したことをなぜ協会に報告しなかったのか」「なぜ伊勢ヶ濱の謝罪に応じなかったのか」という不可解の念を抱くことになった。貴乃花は警察の捜査終了後に応じるとして、協会危機管理委員会による貴ノ岩に対する聴取の要請を複数回にわたって断っている。それによって、八角理事長率いる協会執行部に対する貴乃花の不信感と対立関係が明るみに出た。
※この「日馬富士による暴行事件」の解説は、「貴乃花光司」の解説の一部です。
「日馬富士による暴行事件」を含む「貴乃花光司」の記事については、「貴乃花光司」の概要を参照ください。
- 日馬富士による暴行事件のページへのリンク