漏洩電磁波の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 20:27 UTC 版)
問題の技術的背景電力線は高周波を重畳することを想定してはいなかった。このため、電力線に高周波を重畳すると、電力線がダイポールアンテナとして作用し、漏洩電磁波が発生する(同軸ケーブルを使用したPLCは、この様な問題は発生しない)。またその周波数が短波帯の電波と重なるため、短波ラジオ、アマチュア無線、非常通信用無線など、無線通信の混信、電波天文学などに影響が出る。そして、どの距離で電力線搬送通信をするか分からず、そもそも電力線配線図の図面さえ各建築物の図面に残っていない。PLC反対派[誰?]は「無線LAN(Wi-Fi)」で、LAN構築は充分対応可能であると断言している[要出典]。 このような現状から、PLC推進派(PLC推進団体・企業)[誰?]と、既存の短波利用者を中心としたPLC非推進派(アマチュア無線家・電波天文学・日経ラジオ社・短波放送聴取者)[誰?]間で、論争が絶えない[要出典]。 漏洩電磁波の実証実験日本国内では、2004年1月に高速電力線搬送通信設備を用いた際の電灯線からの漏洩電界低減技術確認のための実証実験制度が導入された後、PLC推進派企業などによって実証実験が行われ、高速電力線搬送通信に関する研究会において、自主的な目標であった微弱無線の許容値 (54dBμV/m @ 3m) を満たすことが報告されたが、同研究会構成員からも「微弱無線レベルを下回っているからいいとは言えないのではないか」との意見も出され、さらに、「これらの実験環境は、建物が密集した都市内の住居等の利用環境とは異なっており、漏洩電界を低減するためモデムの改良や通信方式の工夫などが実際の利用では生かされないのではないか」との批判[要出典]が、一部のPLC非推進派[誰?]からなされている。審議を経て許容値が決められたものの、この許容値を満たしたPLCモデムを屋内電力線に接続した場合、想定通りに99%の家屋で漏洩電磁波強度が周囲雑音以下になることを確認する実験は行われなかった。 市販されているPLCモデムを屋内の電力線に接続したところ、環境雑音を約30dB越える漏洩電界が測定されたとの報告もある。 2003年に日本アマチュア無線連盟より、BPLの漏洩電磁波による無線通信への影響について懸念が表明されている。 2007年に日本アマチュア無線連盟より、全てのPLC機器にノッチを設けることを義務づけるように活動を行う必要性がある旨の方針が示されている。 非常通信用周波数非推進派の一部は、影響を受ける帯域の中に非常通信用の周波数も含まれている点を特筆すべきと主張している。 推進派は、非常用の周波数をPLCの影響から保護する技術(フレキシブルノッチなど)は存在している為、非常通信用の周波数を理由にPLC自体に反対することには無理があると主張している。 電波天文観測への影響日本天文学会は、2002年(平成14年)、総務大臣に対し懸念を表明した。 周波数利用に関する問題アマチュア無線等、無線通信設備が近傍にある場合、電波の影響を受け、PLCの通信速度が低下するが、高周波利用設備であるPLC機器利用者には、電波法上、通信に対する優先権がない(無線局免許状を受けて運用される他の無線設備からの有害な混信を受忍しなければならない)。 他の通信機器との相互干渉が発生する可能性VDSLは通信線が異なるものの、3MHz以上の周波数帯も利用するため、PLC機器とVDSL機器を至近距離(概ね10cm以内)に設置すると、機器同士の相互干渉が発生する可能性があるとの意見があったが、その後の解析により通常の条件下においては影響がないことが分かっている。
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