無線通信の混信
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 01:30 UTC 版)
国際電気通信連合憲章では、連合の構成国や構成国の無線局に対し、有害な混信を避けるように定めている(第6条、第45条等)。 日本では、電波法第56条に、無線局は他の無線局等に混信を与えずに運用しなければならないことが定められているほか、他の条文でも混信に関しての規定が定められている。 二周波複信で運用される業務無線の場合は、混信が発生しないように、使用周波数・サービスエリア・局数が管理されているので、混信なく通信できるようになっている。ところが、異常伝播発生時や高層ビルの高層階、山岳の山頂付近では、いわゆるスピルオーバーが発生し、混信となる。また、同一周波数または隣接周波数で不法無線局が運用されても混信となり、社会問題に発展することもある。 一周波単信で運用される業務無線の場合も、混信が発生しないように、使用周波数・サービスエリア・局数が管理されているが、移動局は他の移動局が送信中かどうかを知ることができないため、例えば、他の移動局が基地局と通信中で、かつ、その移動局の電波が弱くて受信できない時に、空き状態であると判断し送信すると、基地局に対して混信を発生させることになる。 アマチュア無線の場合は、総務省告示アマチュア局が動作することを許される周波数帯(通称、アマチュアバンド又はハムバンド)に基づき割り当てられた周波数で告示アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別(通称、バンドプラン)により指定された電波型式を使用することが義務付けられているのを除き、局数・運用時間などを管理するルールや仕組みがないため、混信を防止する手立ては基本的に無い。VHF帯以上のFMでは決まった間隔をあけて切りの良い周波数を使うことが習慣化しており、混信が発生した際は譲り合いにより解決する(一定の周波数しか使えないわけではないので、逆に柔軟に運用ができるとも言える。)。SSBやCW(モールス符号による電信)などでは、一定の間隔をあけて送受信するなどと言う概念すら無く、自由に周波数を決めて交信が行われる。そのため全く同一周波数でなくても、隣接する周波数からの混信がある状態での通信が当たり前に行われており、混信がある中で遠距離の局や小出力の局と交信すると言うこと自体が、アマチュア無線家にとっては楽しみでさえある。
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