深川駅 - 留萌駅間の存廃問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 07:23 UTC 版)
「留萌本線」の記事における「深川駅 - 留萌駅間の存廃問題」の解説
JR北海道が2018年に出した試算によれば、深川駅 - 留萌駅間を存続させる場合、沿線4市町の負担額は年間約9億円に上るとされたほか、深川駅 - 石狩沼田駅間を存続させる場合でも年間約3億円の損失が見込まれている。 深川駅 - 留萌駅間について留萌市は2016年(平成28年)4月18日時点で「(存続する)留萌 - 深川間の沿線自治体と意見交換し、JRの利用頻度を高めたい」とし、存続に向け努力する考えを強調していたが、半年後の2016年(平成28年)10月25日にJR北海道が廃止およびバス転換を検討していることが『北海道新聞』にて報道された。これについてはJR北海道が同年11月16日の記者会見で正式に認めた。 2016年7月29日、JR北海道が駅廃止や列車見直しによる経費節減、運賃値上げによる応分負担、上下分離方式の導入などを検討内容とする『「持続可能な交通体系のあり方」について』を公表し、地方路線の整理廃止を加速させる意向を表明した。 同日、北海道知事高橋はるみはJR北海道の記者会見を受け「見込まれる巨額の経常赤字を線区の見直しだけで解消しようとすれば、本道の公共交通ネットワークにあまりにも大きな影響を及ぼす」「自助努力のみで経営の再生を図っていくことは困難で、国に対し早急に必要な要請を行うとともに、地域公共交通検討会議において本道の交通ネットワークのあり方について検討を加速する」などとコメントしたが、路線名を示す形で「路線廃止に反対」の言葉を発することは無かった。 2016年8月2日、民進党北海道総支部連合会は「民進党北海道JR北海道路線維持対策本部」(本部長荒井聰)を8月3日に設置することを決定。同日、道議会民進党は「道議会民進党JR北海道路線維持対策プロジェクトチーム(三津丈夫座長)」を設置した。 2016年9月21日、留萌市議会が「税制特例措置の適用延長は必須」との意見を付した『JR北海道・JR四国・JR貨物に係る税制特例の恒久化等を求める意見書』を可決。 2016年10月24日、民進党北海道の「JR北海道路線維持対策本部」が、JR北海道・北海道運輸局・北海道に対し要請行動を実施し、要請書を手渡した。 2016年10月28日、北海道知事が定例記者会見で地域公共交通検討会議の下に鉄道ネットワークワーキングチーム (WT) を設置すると発表。知事がJR北海道に対して「一連の報道で地域に不安が広がっていることは大変遺憾、地域の不信を招かないよう慎重に対応していただきたい」との申し入れを行ったと説明した。しかし「JR北海道の事業範囲の見直しということについては、そういうこともあり得るかなという思いもある」とも発言し、路線廃止に一定の理解を示した。また知事は、「ワーキングチームは個別の路線の話などにまで踏み込んだものを想定しているのか」との日本経済新聞記者の質問に、知事は「性格上難しいと思う」と述べ、鉄道ネットワークワーキングチームが路線名を示して路線廃止反対を求めることは困難との認識を示した。 2016年11月18日、JR北海道は『当社では維持することが困難な線区について』など路線廃止関連文書を発表、深川 - 留萌間は「極端にご利用が少ない線区」との認識を示した。 同日、高橋はるみ知事はJR北海道の記者会見を受け「バス等への転換を前提として相談を行う考えが示された3線区については、これまで沿線自治体の方々から寄せられているご意見などを十分踏まえながら、慎重かつ真摯な対話を行うことが不可欠です」とコメントし、留萌本線廃止容認に含みをもたせる認識を示した。 2019年11月26日、留萌市が、国や北海道からの助成がなければ、深川駅 - 留萌駅間を存続させるのは難しいとの認識を示した。また、同区間を存続させる場合、留萌市の負担額が年間6億円が見込まれるとの試算を示した。 2020年8月18日、沿線4市町が沼田町 - 留萌市間の廃止・バス転換を行うことを容認し、通学などの利用が多い深川市 - 沼田町間は存続を目指すことを決めた。これに対してJR北海道は、「全線廃止が最適な公共交通のまちづくりの姿」と述べ、部分存続に対して慎重な姿勢を示した。その後、同年10月2日にも沿線4市町による会議が開かれ、JR北海道が、深川駅 - 石狩沼田駅間を存続させる場合、前述した年間約3億円の損失のほか、折り返し設備の整備費として約4000万円が見込まれるとした。また、この会議では、沼田町が留萌駅寄りの恵比島駅まで存続したい意向を示した。なお、2021年2月14日付『北海道新聞』では、一部区間を存続させる場合の沿線自治体の負担額として、深川駅 - 石狩沼田駅間は年間3億4500万円、深川駅 - 恵比島駅間は年間3億8800万円であるほか、それらに加えてどちらの区間においても初期費用として4000万円が見込まれると報道している。 住民側では任意団体「留萌線まだ乗り隊?」を2020年に結成し、存廃について問うアンケート調査などの活動を行っている。 2021年2月2日、JR北海道と沿線4町が、秩父別町で会議を開催し、JR北海道は沿線4市町に対して、深川市 - 沼田町間の部分存続については難しいとの意向を正式に通達した。また、この会議をもって留萌市は存続協議を離脱し、残る沼田町、秩父別町、深川市の3市町が、部分存続を目指して、協議が進められることになった。
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