海洋細菌 [Marine bacteria]
海洋細菌のほとんどが従属栄養性で、海洋の動植物の死体や溶存している有機物を分解して、炭素、窒素、硫黄、リンなどの物質循環に働き、食物連鎖の底辺を支える重要な役割をもっている。この点は陸上細菌と同じであるが、その総量はきわめて多い。また、海洋環境によって、生理的にかなり異なった細菌が生息している。すなわち、寒帯や極地の海域には低温菌が、深海には好圧菌が生息している。また、熱帯の海域には色素をもった細菌が多く、強い紫外線から身を守っていると考えられている。さらに栄養分が極端に少ない海域には低栄養菌が生息している。ほとんどの海洋細菌は非病原菌で動物の腸内や藻類の表面で共生している場合もあるが、増養殖が盛んな沿岸の海域には魚介類や藻類の病原菌もかなり多い。これらの病原菌も多くは常在しているが、水産動植物の生育環境の変化で生体に異常をきたすと、感染、発病させる条件性病原菌である。
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