好塩菌とは? わかりやすく解説

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こうえん‐きん〔カウエン‐〕【好塩菌】

読み方:こうえんきん

ある濃度上の食塩存在する所でだけ発育増殖する細菌食中毒原因となるものもある。好塩細菌


好塩菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 17:31 UTC 版)

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好塩菌(こうえんきん)とは、至適増殖に0.2 mol/dm3以上のNaCl濃度を要求する原核生物である。

範疇

至適増殖NaCl濃度の違いによって、以下4つの範疇に分けられる。ただし、この分け方はあくまで至適増殖NaCl濃度に基づいたものであり、自然環境中においては海洋細菌が淡水系で分離されるなど、数多くの例外が存在する。

  • 非好塩菌…0-0.2 mol/dm3:ほとんどの土壌細菌が該当する。
  • 低度好塩菌…0.2-0.5 mol/dm3:海洋細菌の多くが該当する。
  • 中度好塩菌…0.5-2.5 mol/dm3:様々な含塩試料から分離される細菌が該当する。
  • 高度好塩菌…2.5-5.2 mol/dm3:大半が高度好塩性古細菌に占められる(高度好塩古細菌のみを高度好塩菌とすることもある)。

高度好塩菌とされる生物には

  • 古細菌
    • ハロバクテリウム綱の古細菌(狭義の高度好塩菌。30属以上が含まれる)
    • Methanohalbium evestigatum(メタン菌の一種)
    • "Nanohaloarchaea"(未培養のユリアーキオータ)
  • 真正細菌
    • Actinopolyspora halophila
    • Ecthiorhodosphira halophila
    • Halobacteroides halobius
    • Salinibacter ruber

などがいる。

また、以下の分別法も提唱されている[1]

  • 嫌塩菌…培地に塩を添加すると増殖が抑制される。(例:|Escherichia coli和名・大腸菌、)
  • 耐塩菌…塩による抑制が弱く、10-20%の塩にも耐える。
  • 好塩菌…塩を好む、塩の在る方が好きな菌。生理的食塩水程度の微量の塩で増殖するが、塩の添加により増殖が抑制される。(例:Vibrio parahaemolyticus、和名・腸炎ビブリオ)
  • 高度好塩菌…高濃度の塩を好む菌。微量の塩でも増殖するが、10%程度以上の塩存在下で最適に増殖する。(例:Bacillus saliphilus、和名・バシラス属)
  • 嗜塩菌…塩に依存する菌。微量の塩では増殖せず、少なくとも海水塩濃度(3-3.5%)以上の塩を要求する。(例:Kushneria indalinina
  • 極度嗜塩菌…塩中毒、塩耽溺菌とも。嗜塩菌の中でも特に塩依存度が強く、増殖に10%程度以上の高濃度の塩の添加を要求する。それ以下の濃度では瞬時に死滅するものが多い。(例:Natronobacterium gregoryi)

脚注

  1. ^ 亀倉正博. "「好塩菌」、「嗜塩菌」から「好嗜塩菌」へ"、『極限環境生物学会誌』9巻2号、極限環境生物学会、2011年3月、pp.57–60.

関連項目


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