浜中のケヤキキョウダイ(契約姉妹)
名称: | 浜中のケヤキキョウダイ(契約姉妹) |
ふりがな: | はまなかのけやききょうだい |
種別1: | 風俗習慣 |
保護団体名: | ケヤキキョウダイ(契約姉妹)保存会 |
選択年月日: | 1993.11.26(平成5.11.26) |
都道府県(列記): | 山形県 |
市区町村(列記): | 鶴岡市大字大岩川字浜中 |
代表都道府県: | 山形県 |
備考: | 所在地が同一都道府県内のもの(このデータは種別1から移行しています) |
解説文: | 浜中は、小国川の河口に広がる戸数七〇戸ほどの小さな集落である。この習俗は、満一二歳と一三歳の少女らが、十二月二十日過ぎの吉日を選んで籤【くじ】を引き、キョウダイ契りを結ぶ相手を決める。ただし、近年は二十八日に行うことが多い。籤は藁【わら】を二つ折りにし、同じ藁を引き合った者同士がキョウダイの契りを結ぶ。籤を引く場所は、産土【うぶすみ】神社の境内の場合もあるが、公民館の場合もある。籤引きの世話は、前年および前々年のケヤキキョウダイが行う。 籤でキョウダイが決まると、籤を握ったまま川へ下り、岸辺から川へ流す。籤が川を下って見えなくなるまで見送り、先輩から大晦日【おおみそか】の宿のしきたりや守るべきことなどの注意を受ける。その後神社の境内まで戻るが、その時決して後ろを振り返ってはいけないとされている。 大晦日の午後、まだ陽のあるうちに早めの夕食を取り、かねて定めた宿に寝具を持って集まってくる。大晦日の夜から翌元旦の昼までは、少々の餅や菓子・果物以外のものを食べてはいけないとされ、これを断食とよんでいる。この時、各自が持参した丸餅をキョウダイが交換して食べる。その後、一つの床に一組のキョウダイが寝る。これは一種の儀式であり、三年にわたって同様のことが行われる。 古老の間では、元旦の昼までの断食のことを「ホウジケ、ダンジケ」と言い慣わしてきた。ダンジケは断食であるが、ホウジケとは、ホウズキ(酸漿)のことで、女の子たちの遊び具になる植物である。青い実が順次赤く熟することを、少女から大人になることにたとえているといわれている。昔は、「ケヤキキョウダイの行【ぎよう】がすめば、嫁にいってもよい」といわれ、成女儀礼の一つとも考えられる。 ケヤキキョウダイは、子どもの頃、共に遊びや勉強をしているうちに仲よくなる。さらに学校を卒業してのち、田畑仕事などではユイの相手にするほか、お産や病気の時にも力になり、生涯を通じた相談相手として交際が続けられる。しかも、ケヤキキョウダイは、二人の関係のほかに大勢の仲間という二重の関係をもっている。この二つの関係が、女の一生すなわち娘・嫁・主婦・老後の各時代を通じて続くものであり、村のなかでの同年齢的集団の基盤となり、かつての農村社会を支えてきたとされる。 |
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