民間企業における「天下り」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 15:36 UTC 版)
「天下り」の記事における「民間企業における「天下り」」の解説
民間企業に対しては普通、天下りという言葉を使用しないが、次のような雇用調整を揶揄して「天下り」と呼ぶ場合がある。 親子関係にあるグループ企業や、元請会社と下請会社の関係にある企業間において、親会社や元請会社の従業員が子会社や下請会社に出向し、子会社や下請が管理職として迎えることがある。このこと自体は以前から行われていることであり、かつては、対象者に子会社・下請で管理職の経験を積ませて、将来親会社に呼び戻すことが行われてきたが、最近ではリストラの一環として行われる場合が多くなっている。この場合、管理職としての資質を持たない人が子会社・下請の要職に配置されることが多くなる。受け入れる子会社にとっては迷惑極まりない事であるが、会社の資本関係や上下関係から親会社の意向に従わざるを得ず、事業への悪影響を避けるため、「部下を持たない管理職」として受け入れざるを得ないなど、業務効率の悪化や無駄な人件費の増大など経営への影響が懸念されている[要出典]。 また、場合によっては親会社の意向で「部下を持つ管理職」に就いてしまう場合もある。部下の適切な管理や人心掌握といった管理職にある者として基本的なスキルすら持たぬ者や、根性論や企業戦士システムに基づいた前時代的なリーダーシップスキルに固執するといったように時代や社会の変化に対応する柔軟な発想の無い者がそのような管理職に就いた場合、パワーハラスメント等の問題を起こしやすく、職場の士気を下げたり、長年勤続した生え抜きの社員との確執から業務の妨げになる等の問題が出る恐れがある。部下の手柄を横取りしたり、不祥事に対して「私はこの会社のことは全く知らない」などと言って、自分だけは責任を逃れたりするケースも多々ある。 新聞社が株主であることを理由だけで、新聞社の社員が放送局の社長や役員に天下るケースもある。RKB毎日放送の役員等は毎日新聞社からの出向であることがその例である。同局の生え抜き社員が役員になるのはほぼ不可能である。この他にも民放テレビネットワークのキー局幹部社員が系列局の社長や役員に就任する事例もある。 2016年現在FNS系列の仙台放送・テレビ静岡・テレビ新広島社長はいずれもフジテレビ出身者である。 東京証券取引所の建物を管理する平和不動産には東証出身者が社長に就任している。 近年では国家資格の試験であっても実施は財団法人などに委託されているが、実施団体の役員として業種を所管する官庁だけでなく、業界の大手企業の退職者が就任している例がある。例として電気通信設備工事担任者試験を実施するデータ通信協会にはNTT、KDDI、NEC、富士通、東芝など通信関連企業のOBが就任している。電話応対コンクールを実施する日本電信電話ユーザ協会は公益財団法人であるが役員にはNTTグループのOBが就任しており、実質的にNTTの傘下にありNTTの業務に関与しているという指摘がある。
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