民間企業における懲戒事由および処分の内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 18:29 UTC 版)
「懲戒処分」の記事における「民間企業における懲戒事由および処分の内容」の解説
懲戒制度をどのようなものにするかは公序良俗に反しない限り各企業の任意であるが(民法第90条)、使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為を性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効となる(労働契約法第15条)。 特に裁判例では手続の適正が重視される傾向にあり、労働者の行為と懲戒との釣り合い(平等取り扱いの原則)、社会通念上の相当性、事前弁明の機会の付与などを要件としていることが多い。さらに、刑事犯罪等に該当しない場合には、事前の指導や注意、警告、段階的懲戒も必要とされることが多い。 一般的に見られる懲戒事由としては、犯罪行為、職場規律違反、経歴詐称、業務命令違反、機密漏洩・営業上の秘密漏洩、背信行為(競業避止義務・職務専念義務違反)などがあり、これに対する懲戒処分としては、戒告、譴責、減給、停職、諭旨解雇、懲戒解雇などがある。公務員と違って懲戒免職ではなく懲戒解雇と呼ばれる。また、停職を「出勤停止」と読み替える会社もある。 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、また、総額が1賃金支払い期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない(労働基準法第91条)。賞与から減額する場合も同様である。 ただし実際には、企業は従業員の長期的キャリアを重視して、服務規律の違反があっても他の事実上ないし人事上の手段(上司による叱責、査定上の不利益、左遷、昇進取りやめ等)による処理を旨とし、懲戒処分の発動は、非行の性質・程度が重大なケースないしは企業秩序への挑戦の性格の濃いケースに限る傾向にある。このような実態を反映して、労働基準法において就業規則に関係する条文数は少ない。
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