毎週金曜日の首相官邸前抗議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 05:23 UTC 版)
「首都圏反原発連合」の記事における「毎週金曜日の首相官邸前抗議」の解説
毎週金曜日に 首相官邸前・国会議事堂前のデモを主催。小熊英二は「官邸前抗議は、法律的には「デモ」ではない。地域の所轄警察を窓口に都道府県の公安委員会に申請する通常のデモ行進においては、車道をデモが行進することになる。しかし官邸前抗議は歩道上の抗議であるため、デモの申請を出していない。法律的には、歩道上で看板を持ち、声をあげているサンドイッチマンと変わりはない行為なのである」と説明している。 原則的に歩道上で行われる抗議活動であるが、後述のように2012年夏には、歩道に収まりきれなくなった多数の参加者が自然発生的に車道に溢れだし、官邸前の車道を埋め尽くす事態となった。田村貴紀・田村大有によれば「このとき警官が尽力したのは歩行者の車道からの排除ではなくて、交通整理だった。この車道開放の後、五野井郁夫は、歩道上の抗議に関する警察の意見を聞き取りし『憲法21条 表現の自由にもとづいて、歩道上の抗議は合法で届け出の必要もないという回答を得た』と、2012年7月6日付のツイートで報告している。」 こうしてできた首都圏反原発連合は、10月にはその主催名でデモを行なった。当初の参加数は1000人ほどで、その時期の平均的な参加者数だった。2012年1月に横浜で行なわれた「脱原発世界会議」で、会議参加者を中心とした約4500人のデモの運営を手掛ける。官邸前抗議が行なわれるころには、後述のように13の小グループのネットワークという形態になっていた。小熊英二によると、こうしたグループは、基本的には個人有志のゆるやかなプロジェクトチームで、固定的組織といったものではない。複数のグループに参加している者、便宜的にどこかのグループに名前をおいている者なども、官邸前抗議のスタッフには少なくない。思想傾向は多種多様で、「脱原発」の一点で連帯した人々だと小熊は分析している。 新右翼の針谷大輔は、官邸前抗議を次のように評価する。「首相官邸前に集まった人たちは左翼ではありません。彼らが暴力に訴えることなどありません。そこに参加しているのは、ベビーカーを押す女性、仕事帰りのサラリーマン、制服姿の中高生など、ごくごく一般の人たちです。(中略)特定の主義・主張のために抗議活動をしているのではなく、原発の危険から子供の命を守りたい。子供の将来を守りたい。自分たちの故郷を守りたい」という理由で活動しているのだと針谷は述べている。 毎週金曜の首相官邸前抗議は、2012年夏には 最大参加者数が20万人になり、歩道に収まりきれなくなった参加者が車道に溢れ出すことになった。小熊英二は6月29日の様子を次のように記述している。「主催者たちは懸命に、警察と人々のあいだに割って入り、トラブルを起こすまいとしていた。首都圏反原発連合は、十三のグループから常時集まっている中核メンバーのほか、臨時スタッフを各地から集めていた。しかしそれを総計しても、当日は一〇〇人に満たなかったという。(中略)午後八時を前に、首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフ氏が、抗議活動終了を告げた。一部には昂奮して、官邸におしかけることを主張した参加者もいたようだが、多くの人々はあっさり帰っていった。そしてあとには、ゴミ一つ残っていなかった。」 2012年8月22日、メンバーが 首相官邸で内閣総理大臣の野田佳彦と面談している。首相が市民団体と面会する事態は、読売新聞やJapan Times など多くの新聞などマスコミが報道するところとなり、新聞報道に関して学術書の分析対象となった。辻中(編)では次のように述べられている。「首都圏反原発連合の代表が野田首相と面会した際、『読売新聞』や『産経新聞』は特定の市民団体と首相が面会することが極めて異例とし、禍根を残しかねないと主張する。(『読売新聞』『産経新聞』ともに、2012年8月23日朝刊)。対して、脱原発デモに対して肯定的な報道を続けてきた『東京新聞』は、首相が直接市民団体の意見を直接聴く場を持とうとしたと評価し、国民の「声」を受け止めて原発の伴止を決断すべきだと主張する(『東京新聞』2012年8月23日朝刊)。このように、デモという直接行動に対する評価もまた、新開社によるスタンスの違いをみてとることができる。」 2021年3月7日、同団体の活動を同年3月末で休止することが発表された。活動休止の主な原因は、参加者が減少し、資金難になったことだった。抗議活動は月1度にペースを減らした「原発いらない金曜行動」に引き継がれている。
※この「毎週金曜日の首相官邸前抗議」の解説は、「首都圏反原発連合」の解説の一部です。
「毎週金曜日の首相官邸前抗議」を含む「首都圏反原発連合」の記事については、「首都圏反原発連合」の概要を参照ください。
- 毎週金曜日の首相官邸前抗議のページへのリンク