殺害の共謀成立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 00:14 UTC 版)
「山下」はいったんは「杉浦」と2人だけで犯行を犯そうとしたものの、「やはり、KTや堀は犯罪経験が豊富そうだから、それを利用したい」と思い直した。同日1時ごろ、「山下」はKT宛てに謝罪のメールを送信。これを受け、KTは堀に対し、「山下」について「使えるうちは使いますか」などと伝え、これを受けた堀は「山下」と直接電話で話をした後、KTに対し、「これで山下さんも下見や情報がどれだけ大事か分かったと思うので、(中略)使うとかじゃなく仲間としていいのではと思いますが…甘いですかね?とりあえず明日一緒に行きます」などというメールを送信した。KTも堀の意見に賛同し、24日午後に再び3人で会うことになった。 「山下」は同日13時ごろに堀を自宅まで迎えに行ったほか、15時ごろにKTと鳴海のTSUTAYAで落ち合った。その上で、3人で新たな犯罪計画について話し合ったが、「山下」はリバティの車内で「杉浦」の盗んだ包丁を見せ、「これなら人やれますよね」(=この包丁なら人を殺せるか?という趣旨)などと発言した。堀が「今週中に30万円ぐらいどうしても必要だ」と発言したところ、それに対しKTが「それならば、今日中になんとかしなければいけない」と、前日に出た女性を拉致し、キャッシュカードと現金を奪う計画を改めて出した上で、拉致した女性について「最後は殺しちゃうけど、いいよね」と確認したところ、2人とも「いいですよ」などと言って了承した。名古屋高裁 (2011) は、このように堀と「山下」がKTの「最後は殺しちゃうけど、いいよね」という言葉に承諾する返事をした時点(24日15時ごろ)をもって、「殺害(および死体遺棄)の共謀が成立した」と認定している。 さらに犯行計画を練るため、3人は名古屋市北区内のファミリーレストランへ入店し、計画について話し合った。先述の理由で風俗嬢は候補から外された一方、堀はOLの拉致を提案。その標的は、「黒髪で地味そうな(多額の貯金をしていそうなため)女性で、年齢は20歳代後半 - 30歳代前半ほど」とされたほか、KTは「今日(8月24日・金曜日)なら給料日になるだろうし、しばらく拉致・監禁すれば、ある程度まとまった金を引き出せるだろう。標的は(家族と同居していると、家族がすぐに警察に届ける虞があるため)1人暮らしが良い。1人暮らしなら、その部屋に居座って監禁することもできる」と提案した。 次いで、堀は監禁場所として、名東区高針のアパートを提案したが、その部屋はかつて堀が起こした碧南市パチンコ店長夫婦殺害事件の共犯者である元仕事仲間の部屋だった。次いで、KTは「闇の職安」で現金自動預払機 (ATM) から預金を引き出す「出し子」を探したが、ふさわしい人材が見つからなかったため、「山下」が引き出しを行うことになった。そして、拉致場所について相談し、堀の提案通り、高級住宅街の多い名古屋市営地下鉄東山線の沿線(覚王山・一社・上社・本郷方面)に決まった。また、KTは「山下」に対し、被害者が騒ぐといけないので、「車の中でレイプはしないで下さい」「監禁した後は、一緒に寝泊まりしてくださって結構ですから」と言い、「山下」もそれを了承した。 こうして、3人は19時過ぎに話し合いを終え、レストランを退店。通行中のOL(20歳代後半 - 30歳代)を拉致して金品を奪い、犯行の発覚を阻止するために殺害して、死体を遺棄する旨の犯行計画が決められた。
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