歌風と享受とは? わかりやすく解説

歌風と享受

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 09:03 UTC 版)

新古今和歌集」の記事における「歌風と享受」の解説

新古今調といえば唯美的・情調的・幻想的絵画的韻律的象徴的技巧的などの特徴挙げられる定家の父・俊成によって提唱され幽玄有心概念を、定家発展させて「余情妖艶の体」を築き上げ、これが撰歌大きく反映されている。また、鎌倉幕府成立以降政治実権奪われ貴族社会衰退の中で、滅びや自然への見方哀調があると指摘されるまた、このころ題詠盛んに行われていたことにより、より華やかな技巧あふれている。題詠によって現実的な心情変化の歌ではなく定められお題の中でより複雑に工夫され象徴的な歌が主流になっていった。特に、上代以来数々和歌歴史可能にした数多く本歌取り特徴がある。また技法として、余韻余情かきたてる体言止め七五調初句切れ三句切れなどが使われている。 『古今和歌集』を範としてそれまで七代集集大成する目的編まれ新興文学である連歌今様侵蝕されつつあった短歌世界典雅な空間復帰させようとした歌集であり、古今以来伝統引き継ぎ、かつ独自の美世界現出した。「万葉」「古今」と並んで三大歌風の一である「新古今調」を作り和歌のみならず後世連歌俳諧謡曲大きな影響残した。 しかし近代以降、『新古今和歌集』を含めた勅撰和歌集への評価一変するアララギ派の祖である正岡子規が『歌よみに与ふる書』のなかで『古今和歌集』を「くだらぬ集」と激しく罵倒し、『新古今和歌集』についてもその歌が「(『古今和歌集』よりも)ややすぐれたり相見え候。古今よりも善き歌を見かけ申候」というものの、その「善き歌」も「指折り数へるほどの事」と断ずる。また「代々勅撰集如き者が日本文学城壁ならば、実に頼み少き城壁にて、かくの如き薄っぺらな城壁は、大砲一発にて滅茶苦茶砕け申候」とも述べている。要するそれまで重要視され勅撰和歌集おおむね価値の低いものとして退けたのであり、『新古今和歌集』もその中に入っていたのである。 しかしこうしたアララギ派評価に対して、『新古今和歌集』を高く評価したのが北原白秋であった白秋はその和歌について「日本短歌最上の象徴芸術」であり「日本詩歌本流」と賛美している。白秋アララギ派唱えるいわゆる短歌における「写生論」に対し、「写意写生上の香気ある象徴世界」を求めて短歌を詠もうとしていたのであり、その手がかりとしたのが『新古今和歌集』の和歌だったのである以後短歌においても前登志夫塚本邦雄などがそれぞれ新古今和歌集』から影響受けている。

※この「歌風と享受」の解説は、「新古今和歌集」の解説の一部です。
「歌風と享受」を含む「新古今和歌集」の記事については、「新古今和歌集」の概要を参照ください。

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