柄物(得物:えもの)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 14:28 UTC 版)
殺傷性の少ない柄物 鼻捻 鼻捻(びねん)とは鼻捻棒(はなねじぼう)ともいい、元は馬具である。馬の鼻抜き緒が棒の末端についていて鼻面をねじりあげ厩の横棒や馬の首くらいの高さの樹の枝に太く重い棒身を錘としてかけて馬を繋いでおいた。これを護身用の警棒として応用したのがこの捕具である。材は樫や栗、桜など重硬な堅木。かつて馬具だった頃は上記の錘の役割もあるため長さ35 - 48センチメートル、太さ4 - 8センチメートル程度と上皿天秤用分銅型のずんぐりとした形だったがその後護身具・捕具となった時は長さ45 - 65センチメートル、太さ2.7 - 3.5センチメートル程度とスリムな棒身になった。用いるときはかつての鼻ねじの緒を手貫き緒(戦闘時抜け落ちないようにするための紐)として手首に巻きつける。鼻捻棒術ほか短棒術・半棒術の一環として鍛錬されることが多い。ももろい(腿牢または腿篭) 一方の紐を馬の足首に結び馬の腿下に当てて動けなくした棒状の馬具を簡易的に捕具または武具として使ったもの。後に形状がよく似た鼻捻棒として統一された。 三つ道具 三つ道具とは刺股(さすまた)、突棒(つくぼう)、袖搦(そでがらみ)の三種。 熊手 熊手(くまで)とは鍛鉄製の爪で三つ道具同様敵刃を受け止める、衣服を絡め取り動きを封じるといった用法に使われた。 殺傷性のある柄物(えもの) 大刀・太刀・野太刀 大刀(たち)・太刀(たち)・野太刀(のだち)とは、この場合は実戦用の官位刀を指す。なお、「大刀」は奈良時代以前の長尺の直刀(上古刀)、「太刀」は平安時代以降に出現した反りのある長尺刀(いわゆる日本刀)を表す。黒造大刀 黒造大刀(くろつくりのたち)とは黒作大刀とも表記し、奈良時代の武官が佩用した実戦用の大刀のこと。元は金造り(鞘・柄まで金属製の造りをいう)だった兵部刀を黒漆を防水のために柄・鞘に塗った大刀をいう。(兵部とは軍事・野戦用という意味)黒漆太刀 黒漆太刀(くろうるしのたち)とは、平安時代以降の黒造大刀の流れを汲む、武官および令外官が佩用した黒漆を防水のために柄・鞘に塗った軍用実用刀をいう。白造太刀 白造太刀とは、白作太刀とも表記しそれぞれ「しろつくりのたち・しらつくりのたち」とも読む。黒漆太刀のうち金具には漆をかけないものを言う。 毛抜形太刀 毛抜形太刀とは、平安時代から武官が佩用した実戦刀を兼ねる儀礼刀および儀仗をさす。蕨手刀に共通した茎 (刀)と柄が一体となった特徴を残している。 革包太刀 手鉾 手鉾(てぼこ)に関しては槍の分類の手鉾の項を参照。馬針(ばしん・うまばり:刃針とも書く) もとは馬具の一つで馬が疲労で脚をうっ血した際や病気等で悪血が溜まった時に瀉血をするための道具。隠剣や咄嗟の際の手裏剣としても使用された、戦国時代になると首実検の際の貫級刀(つらぬき)と統一された。脇差の櫃などに笄と共に収められ後の江戸時代により実用性の高い小柄に取って代わられた。このころ馬具出自の武具・捕具が多いのは武官・武士ともに騎馬を尊重する騎兵の性格を元来併せ持っていたためである。
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