映画経歴
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「マックス・ラインハルト」の記事における「映画経歴」の解説
ラインハルトは、同時代の多くの演劇人よりも映画という媒体に興味を持っていた。監督として自身の作品を制作し、時にはプロデューサーとしても活躍。映画のための最初の作品は、『スムルン(Sumurûn)』(1910年)である。その後、ウィーンに映画会社を設立し、文学映画化された『ダス・ミラケル(Das Mirakel)』(1912年)を監督することになっていた。1912年にウィーンのロトゥンデで上映されたこの奇跡の演出について論争が巻き起こった後、ラインハルトはこのプロジェクトから撤退した。脚本の作者でありラインハルトの友人であり親交のあったカール・グスタフ・フォルメラーは、ベルリンのプロデューサーであるヨーゼフ・メンヒェンと相談して、フランス人監督のミシェル・カレに、始まっていた本作の監督を手配し、彼の脚本通りに仕上げた。 1913年、ラインハルトはパウル・ダフィットソンのベルリンの映写会社「ユニオン」(PAGU)と契約を結んだ。200.000 Reichsmark(1.085.597ユーロ)の料金で、彼はイタリアのプロダクションの無声映画を撮影した。彼の友人であるカール・グスタフ・フォルメラーの作品である『恵みの島(Die Insel der Seligen)』と『あるヴェネツィアの夜(Eine venezianische Nacht)』。ラインハルトは、両作品ともカメラマンのカール・フロイントに多くを要求し、月明かりの中のラグーンのような特殊なショットも要求している。 『恵みの島』は、特にラインハルトが「表現の明瞭さと表情のアニメーション性をより重視した」点で批評家から賞賛された。エロティックな演技スタイルが際立つ本作は、一部は海の神やニンフ(ニュンペー)、ファウナが登場し、役者が裸で登場する古代を舞台に、一部は厳しい風習に合わせた現代を舞台にしている。俳優の多くはベルリン出身で、当時の無声映画でよく見られたように、過去と現在の二役を演じなければならなかった。このように、ヴィルヘルム・ディーゲルマンとヴィリー・プラガーは、ブルジョワの父親と海の神々を演じ、エルンスト・マトライは独り者とファウヌスを演じた。レオポルディーネ・コンスタンチンはキルケーを演じている。しかし、この映画の大部分は検閲で削られている。ヌードシーン以外にも、「巨匠の手によって撮影された初のセックスシーン」がある。 『あるヴェネツィアの夜』(1914年)には、ドイツ劇場の俳優も出演している。花嫁役のマリア・カルミ、見知らぬ青年アルフレート・アーベル、エルンスト・マトライは今回ラインハルトからアンセルムスとピピストレロの役を得た。ヴェネツィアの鉄道駅で始まった撮影は、ドイツ語を話す映画製作者に対するヴェネツィア人の熱狂的な態度がエスカレートし、撮影装置に飛び乗って撮影を阻止するほどだった。しかし、警察が到着すると、逮捕されたのはトラブルメーカーではなく、フィルムメーカーだった。ドイツ領事が介入して初めて、警察の立会いのもとで撮影が継続され、完了することができた。 1935年、ラインハルトはアメリカで唯一の映画『真夏の夜の夢(Ein Sommernachtstraum)』をウィリアム・ディターレと共に監督した(映画音楽はフェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディを原作としたエーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルントが担当)。ワーナー・ブラザースの映画は、多額の費用をかけて製作され、スターを大勢起用したが、興行的にはほとんど成功しなかった。この間、ラインハルトは本作でデビューしたオリヴィア・デ・ハヴィランドも発掘している。しかし、彼の映画は演劇作品に強く影響を受けていた。彼は劇場の様式化の概念を映画に転嫁しすぎて、自分の表現手段を創造的に使う方法を知らなかったために、彼の映画は批評家や観客に冷遇されるだけのものになってしまった。 他の多くの舞台監督が「エンターテインメント」として「映画(Kintopp)」を考えていたのとは対照的に、ラインハルトは俳優に映画のために働くよう奨励した。 ベルリンに演技学校、ウィーンにマックス・ラインハルト・ゼミナールを設立し、多くの卒業生が映画界で活躍している。ラインハルトが創設したベルリンのカバレット「シャルル・ウント・ラウフ(Schall und Rauch)」のアンサンブルに所属していた俳優(トゥルーデ・ヘスターベルク、ローザ・ファレッティなど)も重要視されていた。
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