日本における信託
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 13:45 UTC 版)
日本においては日露戦争の時代である明治38年にロンドンで起債して資金調達ができるようにする目的で担保附社債信託法(現在の担保付社債信託法)が立法されて導入され、その後、旧信託法が立法された。 日本においては、信託法3条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう(信託法2条1項)と定義され、信託法によって規律される。 信託は、金融制度のインフラとして活用されている(年金信託・投資信託・資産流動化など)。なお、生命保険信託は高齢者・障害者のための財産管理制度(福祉型信託)として普及しつつある。 商事信託は信託法のほか信託業法によっても規律される。1948年から2004年まで、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(兼営法)による認可を受けた金融機関(信託銀行等)がもっぱら担い手となってきた。このため投資信託等に用いられることが多い。しかし、動産・不動産を運用するスキームにも使われ、また、遺言信託や公益信託等、商事信託とは異なる用いられ方もする。2004年11月26日の信託業法改正によって、運用財産には知的財産権等が加わることになった。 信託会社は、終戦直後以降、信託業務だけを取り扱う会社は皆無で、日本では長らく信託銀行7行(三菱・住友・三井・安田・中央・東洋・日本の各信託銀行)および旧・大和銀行のみの「信託兼営」の時代が続いてきたが、2004年の信託業法改正で銀行併営でない信託会社の新たな設立・発展が期待されている。 総務省は2020年をめどに、個人が健康状態や購買履歴などの情報を一括で企業へ信託し、ビジネスに役立ててもらって報酬を得る仕組みを作る。パーソナルデータ・サービスの一つである「情報銀行」は、2013年から東京大学空間情報科学研究センター教授の柴崎亮介が代表を務める情報銀行コンソーシアムがシンポジウムを開いて有用性を説いており、ベネッセコーポレーションの顧客情報流出やLINEのアカウント乗っ取りなど受託者の危機管理に対する信頼性が揺らぐ事件が相次いだにもかかわらず、基礎インフラとなるであろうブロックチェーンの開発が進むにともない具体化されてきた。これまでも系列企業間での個人情報利用と企業買収による個人情報取得は個人情報保護法の規制外であったが、総務省による個人情報の「投資信託化」は企業が直接に獲得した顧客以外の個人情報を得る新たな手段となる。
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