日本における信仰と造像例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 15:39 UTC 版)
「千手観音」の記事における「日本における信仰と造像例」の解説
千手観音の造像例は、インドにはほとんど知られないが、中国ではユネスコ世界遺産になってる唐代の龍門石窟や宋代の大足石刻などに遺例がある。日本での千手観音信仰の開始は古く、空海が正純密教を伝える以前、奈良時代から造像が行われていた。東大寺には天平年間に千手堂が建てられたことが知られ、同寺の今はない講堂にも千手観音像が安置されていた。日本における現存作例では、8世紀半ばの制作とされる葛井寺像が最古とされ、唐招提寺像も8世紀末~9世紀初頭の作品である。和歌山・道成寺の秘仏である北向本尊像の胎内からは、大破した千手観音像が発見されている。これは道成寺草創期の本尊と思われ、奈良時代に遡るものである。 その他、千手観音をまつる著名寺院としては、京都市の清水寺や三十三間堂、西国札所の粉河寺(和歌山県紀の川市)などがある。京都・清水寺本尊(立像)は、33年に一度開扉の秘仏で、42本の手のうちの2本を頭上に挙げて組み合わせる独特の形をもち、「清水型」といわれている。同じ清水寺の奥之院本尊の秘仏・千手観音像は珍しい27面の坐像である。
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