日本におけるハクビシン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 13:45 UTC 版)
「ハクビシン」の記事における「日本におけるハクビシン」の解説
日本では本州から九州にかけて断続的に分布しており、日本での初めての確実な記録は1943年の静岡県浜名郡での狩猟記録で、1952年以降は国の狩猟統計にも登場している。静岡県では1965 - 1966年に急増したとされ、1972年時点での分布に関するアンケート調査がある。関東地方では1958年の神奈川県山北町での記録が初めてとなる。東京都では1980年に八王子市で初めて報告され、現在でも山手線の線路沿い等で、夜間に目撃されることがある。北海道の奥尻島では1985年に捕獲記録があり、2002年になって再び生息が確認されている。長野県では1976年に県の天然記念物に指定されたことがある(1995年に解除)。 これら日本のハクビシンが在来種なのか外来種なのかは確定していない。江戸時代に記録された「雷獣」とされる動物の特徴がハクビシンに似ているため、江戸時代には既に少数が日本に生息していたとする説や、明治時代に毛皮用として中国などから持ち込まれた一部が野生化したとの説が有力である。根拠としては、国内においてジャコウネコ科の化石記録が存在しないこと、中国地方や九州に連続的に分布していないことが挙げられる。ただし、導入個体群の原産地や詳細な導入時期に関しては不明である。 日本産と東南アジア産の個体のミトコンドリアDNAシトクロムbの分子系統解析では、日本産の個体はそのいずれもが東南アジア集団のものとは一致しないが、2つが台湾集団に見いだされる6つの遺伝子型のうちの2つと同一であること、西日本で優占する遺伝子型が台湾東部に、東日本で優占する遺伝子型が台湾西部に由来することが示されている。 環境省は、「移入時期がはっきりとしない」として、明治以降に移入した動植物を対象とする外来生物法に基づく特定外来生物に指定していない。このため、アライグマと異なりハクビシンは駆除対象とはならないが、鳥獣保護法により、狩猟獣に指定されている。 住宅被害などのために、川崎市では2009年(平成21年)度に市民からの相談を受け46頭を捕獲するなどの例はあるものの、捕獲には民家に巣を作ったり果樹園を荒らすなどの実害を理由とした、鳥獣保護法に基づく都道府県知事などの許可(「有害鳥獣」認定)が必要で、「住宅街をうろついている」など民間人の予防的捕獲は許されていない。
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